
こんにちは。渡辺菊眞です。
まだまだ暑い日が続きますが、もう御盆。日ざしの傾きが感じられすこしづつですが夏も終わりに向かっています。今日、今年はじめてのツクツクボウシ(夏の一番最後に鳴くセミです)が鳴くのを聞きました。
さて、とうとう8月15日の東アフリカ渡航まであと二日。にも関わらず準備することが多く、ここ一週間は怒濤の日々でした。冒頭にある写真も、そんな主たる業務のひとつです。
これは15日からウガンダで建設を始めるエコビレッジの住棟の断面模型です。縮尺は1/30。ですので高さが30センチ近くもある、なかなか巨大な模型です。僕、江崎(黒い研究員)、高橋(緑の研究員)はもちろんのこと、来年から研究員となる大阪市立大学の荒木くん(黄色の研究員予定)も交えて総動員で制作しました。「もっと早くつくっときゃいいのに」と思うくらいのテンパリ方でしたが何とか完成にこぎつけました。

インドで震災復興住居モデルをつくったり、小学校の読書室を建設した時もそうでしたが、建設に向けて一番伝達力があるのが模型です。これは建築専門家だけでなく、現地の一般住民の方にもわかりやすく、作るべき建築の魅力をダイレクトに伝えてくれます。
また、これがあることで完成までの建設モチベーションを保つことができ、とてもとても有効なのです。

今回の建設の最大のポイントは、天理で実際に研修をおこなってきた小ドームの上に大ドームをかける部分です。上の模型写真で大ドームの中に小ドームが顔をのぞかせてるのが見えるかと思います。
今回はこの住棟をひとつ建設に行くわけですが、これもすぐに完成するわけではありません。小ドーム二つをきっちりと作り、そのあと大ドームをていねいに築きあげ、そこから放射状にのびる廊下に接続されたトイレやベッドルームなどのドームをつくっていかねばなりません。ドーム建設後にはトップに草葺きの屋根をふきます。これらが順番で少しずつ進んでいくわけです。その間の建設風景は刻々と変化していきます。
大規模な重機の導入なしにゆっくりと建設が進む今回のような建設の場合は、刻々と変化する建設風景そのものがどの時点でも魅力的でなければいけないと思っています。ですので小ドーム建設の風景、大ドームを作るための足場がある風景、住棟ドームが完成した時の風景など、どの風景も素敵な絵となることに留意しています。

住棟完成したときはこんな風景なわけですが、この後、さらに3つの住棟を建設して一つのクラスターができます。

その時にはこんな風景が現出するわけです。ひとつの住棟を見ていたときには想定できないような風景です。

さらに建設が進んで3つのクラスターがそろってエコビレッジが完成するときにはこんな風景があらわれます。東アフリカ泥曼陀羅が彼の地に描かれるわけです。これも1クラスターだけのときには想像もできなかった風景です。
この泥曼陀羅を目指してすこしづつ、すこしづつ建設が続いていくわけです。その第一歩をようやく踏み出します。まずはそのために現地にこのデカイ模型を運びこみます。サイズだけでなく、この模型が現地でデカイ役割をはたしてくれるものと信じています。