いよいよ、本日ウガンダへ出発ですが、その直前にひとつお知らせ。
小生、4月から高知工科大学へ赴任しておりますが、そこでの出来事を全くお伝えしておらず、「本当に高知にいるのか」という疑惑(?)が発生しつつある今日このごろです。
そこで今回は大学の有志で発足したフィールドデザイン研究会のお話をさわり程度に少しいたします。フィールドデザインとは、フィールドワークをして、その地区の魅力や問題点を抽出し、それを提案のヒントにしながら新たな空間の在り方を模索するというものです。昨年、小生が講師として加わった滋賀県立大学での「三巨匠をハメル」ワークショップや、小生が運営委員長をつとめた京都CDLでの「京都地区型住宅設計競技」などと同じ位置づけのものです。
さて、高知の話に戻りますが、大学は高知市にあるのではなく、香美市の土佐山田にあります。高知市はそれなりの大きな城下町で、そこでフィールドワークをすれば、いろんな可能性を紡ぎだせるとは思うのですが、その前に大学のある、より身近な場所で何かできないかと考えました。
そこで土佐山田の地図を引っぱりだし、それを学生とともにじっくり眺めてみました。
基本的には東西方向の街路が全体を支配する線形都市(都市は大げさかも)であることがすぐにわかりました。中央を背骨のように走る国道とそれに並行する旧街道、北部のJR線。そして最後に物部川の河岸段丘線です。最後のラインにより北と南は崖でくっきりとわかれてしまいます。その他の東西ラインは、地方都市によく見られるものですが、河岸段丘はこの土地の大きな特色をなしてます。あとはこれらのラインとは別に物部川からひかれた水路網が地域を縦横無尽に走ります。
このようにラインで規定されるのが土佐山田であることがわかってきたのですが、このライン、かならずしもこの領域を良好な環境に導いているわけではなさそうです。そこで
土佐山田のラインの在り方に改めて着目して、そこに新たな空間改良装置を設置することで土佐山田をより魅力ある空間へと変革しようではないかという機運が高まってきました。
そうして、発足したのが「土佐山田LINEーPROJECT」です。この主旨に興味を持ったデザイン関係3研究室の有志がメンバーとなっており、小生は監督としてこの活動に積極的に加わっています。先日、このメンバーとともにまずは第一次調査にくりだしました(14キロにわたる前領域歩行調査)。そこでは予想以上に面白い発見がありました。
これらの発見をもとに、どんな提案が可能かを、まずは学生メンバーだけでこの夏、即日設計をおこないます。そこから「NICE LINE」への道が開けるのを期待しています。ウガンダからの帰国後、それら提案を見るのが楽しみです。またプロジェクトの進行状況をお伝えできたらと思います。それではウガンダへ行って参ります。
追伸、土佐山田の水路体系は人工ラインそのものです。巧妙に分岐させつつ見事に田畑を潤していきます。ちなみにこの記事に挿入した写真たちは、このプロジェクト監督代行(修士二年の学生さん)の撮影したもの。勝手ながら使わせていただきました(ありがとうございます)。
では、また高知で。