昨日の早朝、高知の河川敷を歩いていたら、北側の山にうっすら雪が積もってました。
関西から離れたことがなかった小生は、高知のことを勝手に「もっと南国」だと思っていたので、「まっとうに」寒い冬にややとまどいを感じる今日このごろです。
さて、今回は小生が執筆したエッセイについてのお知らせです。「建築にさかのぼって」という題目で、「traverseー新建築学研究」の第10号に掲載されてます。
「traverse」は京都大学「建築系教室」を中心とするグループを母胎として、その多彩な活動を支え表現するメディアとして2000年に創刊された機関誌です。今年で10号を迎えます。「traverse」という命名には限定された専門分野に囚われず、自由で横断的な場を目指したいという願いが込められているようです。
小生が執筆した「建築にさかのぼって」ですが、基本的には2001年から世界各地(インド、アフガン、ヨルダン、東アフリカ)で実践してきた土嚢建築と、2002年に太陽建築研究所に修行させていただいたことをきっかけにゆっくりながら取り組んできた太陽建築研究ー太陽の家ーの軌跡をまとめながら、それに考察を加えたものをベースにしています。
そして、ここが肝心なのですが、約10年の特殊な実践を経ることで、建築において何が思考しうるのかということです。ここでは詳しくはいいませんが、小生はキーワードとして「中心」「地形」「重力」「宇宙」という4つの言葉を挙げています。
これは古来から建築にとって欠くことの出来ない根源的な要素です。それゆえに「建築にさかのぼって」なのですが、それだけでは単に過去へ遡行するだけです。それではあまりにも退行的で、わざわざ取り上げるまでもありません。ここではこの4つの要素に新たな可能性があることを指摘しています。
いま、この時代に「建築をめざして」(お気づきと思いますが、これはコルビュジェの名著 toward an architectureです)いくならば、まずは「建築にさかのぼってーback to an architecture」いくことが必須であり、その根源的な位置からさまざまな問題と可能性を現代に投げ返す必要があることを指摘しています。
その胸のうちには現代建築が、明らかに根源から切り離され波間に漂いキラキラ光るペットボトルのようだという思いがあります。みなさんはどう思われるでしょうか?
いずれにしても10年の軌跡をまとめられたのはとてもとてもありがたかったです。ふと思うとD研究所のホームページ、upが滞ってます。これはいけません。ということで、一気にアップする予定ですので、乞うご期待。ではまたよろしくお願いします。