2010年08月30日

「いい家」第一期。

こんにちは。渡辺菊眞です。

昨日金沢から高知にもどってまいりました。高知の酷暑から少しでも逃亡可能かと思いきや。むちゃくちゃ暑かったです。金沢。ヨルダンと匹敵するかもです。

さて、今回の金沢行き、いうまでもなく金沢21世紀美術館、高嶺格「いい家」展製作のためです。8月18日に金沢入りで、26日にはとりあえずの完成までこぎ着けねばなりません。製作期間は一週間。とんでもなくスーパーハードなスケジュールです。

この「いい家」展、高嶺格さんと小生の共同製作なのですが、19日に金沢で高嶺さんと落ち合うまでは、ほとんど何も決めてませんでした。決めてたのは「よい体」展の写真撮影に使った鋼管足場を存置し、これを活用すること、土嚢ドーム設置の概ねの位置。展示場となるプロジェクト工房外壁に「客よせ土嚢ドーム」を置くということぐらいです。

製作は高嶺さんと小生、そして、この企画に全国から集まったボランティアスタッフのみなさん、最後にD工房の片岡佑介氏+高知工科大メンバーで行いました。人数はいるものの、一週間はやはり厳し過ぎ。しかし奇跡的に完成にこぎつけました。

具体的な製作模様などはまた改めてご報告しますが、今回は出来上がった「いい家」の見所を少しご紹介します。

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おそらく世界初の半分土嚢ドーム。頂部にそよぐ植物とガチャ目がチャーミングです。

gaikan-hiki.jpg

恐ろしくマッシブな展示空間。王冠を戴いた土嚢ドームと鋼管足場の頭デッカチキューブ。

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粗い外部と違って、静謐な土嚢内部空間。おなじみ胎内回帰の空間です。

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金沢で解体された家屋の廃材で覆われた空間の上部に浮かぶ「フラワーな」壁紙空間。その境界にはシンプルながら驚くべき仕掛けが仕組まれています。

8月28日から一般公開され、おとずれた人たちが活き活きと出来上がった空間を廻り歩くのを見て、ようやくホッとできました。子供たちがワーワー、キャーキャーいいながら夢中であちこちを走るまわる風景を前にうれしく感じました。

建築も、そしておそらく美術もそうですが、製作側のコンセプトとそこに投げ出された空間は、そのまま一対一で対応するわけではありません。制作側の意識とは関係なく空間体験者はそこを体験します。しかしそれはまったく別物ではなく、見えにくい「何か」でつながっているのです。もし、コンセプトそのものしか意識できないような場所になってしまったなら、ここにはお仕着せがましい、とてもとても嫌な空間しかなくなってしまっていたでしょう。そうではないものができあがったこと、要するに(製作側も含めて)「読めない何か」が漂う場所になったことに強い可能性を感じました。

何気なくひろがっていく均質な住宅風景を前にして、何かとても「インチキ」な匂いをかぎとった、その嗅覚に高嶺さんと小生が共鳴してはじまった展示会。会期終了の3月まではメンバーたちが作り続けて変わり続けます。おそらくこの第一期完成時では読めない何かが展開していくはずです。小生も9月には再度金沢入りします。

「いつの間にかパッケージ化され、カタログから選んで買わされるモノになってしまった住処(すみか)を、自分の手に取り戻すことを目指します」これが単なる言葉でなく、何か実感をともなったものとなって迫ってくることを、作り続けながら願いたいと思います。

それでは今回はこのへんで。








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