2011年01月13日

ガーナのエコビレッジ国際コンペ。

こんにちは。渡辺菊眞です。

南国高知といえど、冬は普通に寒く、しかもここ数日は普通を超える寒さになってしまってます。山の頂あたりは雪化粧。風邪引かないようにしたいものです。

さて、年末年始にかけて小生が審査員をつとめていた、ガーナのエコビレッジ国際コンペの審査も終わり、結果も発表されました。
以下のページをご覧ください。

http://www.nkafoundation.org/competitions.html

審査はスコアボードのさまざまな評価項目につき、1〜5点を割り振るというもので、その芸術性、経済性、技術移転としての意味、現地文化のリサーチ、未来へ向けての可能性など、建築を支えるあらゆる観点が網羅されたものでした。

小生は、東アフリカエコビレッジの設計者ということ、そして、ありがたいことに、その設計がアフリカで高く評価されているということもあって、この審査員に選ばれたわけですが、東アフリカエコビレッジ設計と建設の時の経験、そして通常考えていることから、特に以下の点を重視しました。

1、現地に潜在している根源的なカタチが空間転換されているか。
これは当方が進めてきた「泥曼荼羅」的な思考のこと。通常、気づいてはいないが、潜在意識の中にある根源的カタチは、現地の人々の想像力を刺激し、また本来的な意味で癒されることにつながります。今回エントリーしている作品のなかで、現地のシンボルから着想を得てマスタープランを作成している案がいくつかありました。ただ、これがプランの単なる絵模様に終わっているケースがほとんどで、そのシンボルから建築空間へ転換されてあるものは1作品のみでした。

2、現地で展開可能な技術が数種あること
当方、ベーシックには土嚢建築を主にエコビレッジ等を設計してますが、現地にて使用可能、あるいは展開すべき技術は積極的にとりいれ、混淆構造にすることを心がけています。インドやアフリカでは草葺き屋根を導入しましたし、ヨルダンでは石造+RC造+土嚢建築の混構造を手がけました。現地ではさまざまな事情があり、こちらが用意した単一の技術だけでは、後々うまくその技術移転が展開しないことが多いです。すでに使われているもの、これから使えるものを、新たな、しかし、自力で展開可能なように提示するのはとても重要なことです。それゆえ、単一技術のみでの建設を提示しているものは例え、美しいデザインのものでも評価はしませんでした。

3、中間スケールの魅力ある空間の提示
規模の大きなエコレビッジ建設の場合、ユニットの決定とマスタープランの決定だけでは不十分です。ユニットが幾つか組合わさってできる中間スケールにおいて、魅力ある空間が形成されることが重要です。というのも、ユニットの建設は早く進むものの、それがマスタースケールまで完成するには相当の年月を要します。そんな中、幾つかのユニットが完成した状態だけのときは互いに疎遠な無機的なユニット集合になってしまう時期が建設期間のほとんどになってしまいます。ところが中間スケールでの有機的複合空間を用意しておけば、建設の比較的早い時期に、コンパクトな集住空間が得られ、それが小さな村として機能していくこともできます。ただ、今回のコンペでは中間スケールの空間提示は1作品しかありませんでした。

応募された作品はそれぞれに魅力的で、何よりしっかり現地文化や現地建設技術をリサーチしているものが多く、空疎なデザイン戦のレベルを超えていたので、この審査をさせていただけたのはとてもありがたいことですし、楽しかったです。このプロジェクト、コンペ作品の実現だけにとどまらず、さまざまな展開が今後もあるようで、おそらく小生も現地にとぶことになるかと思います。その時には、より魅力ある、そして現地の未来を切り開いていけるような建築空間の提示ができたらと、思っております。

それではまた。
posted by 渡辺菊眞 at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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