また、ずいぶん間があいてしまいました。10月以降、一気にバタバタしはじめて正直忙殺されておりました。
その間に、あったのか、なかったのか、わからぬままに秋は過ぎ去ってしまい、もう冬に突入してしまいました。高知は日が照る昼間はポカポカしますが、朝夕はグッと冷え込みます。体調くずさぬよう注意したいところです。
さて、バタバタしながらも、以前に報告したプロジェクトはどんどん具体化しております。今回はその模様をご報告します。
まずは年末の建設が目前に迫ったタイ国境の「虹の学校」。
3:4:5のピタゴラス三角形の頂点に配置された三つの土嚢の島と、その上に浮かぶ床。土嚢は大地が隆起してできた島に、穿たれた洞窟のような空間です。その上に単管で組まれた軸組の床が浮かびます。そこに大きな屋根が被さるという構成です。
下部の土嚢の島は、浮かぶ床を支える不動の構造です。高床を支える基盤たる大地の象徴でもあります。それに対して上部の浮かぶ床は、状況に応じて、組変わったり、増築したりすることも許容する、生活に応じてうつかわりゆく空間として設定しています。動かぬ世界と、人の暮らしのなかでうつりかわっていく空間。それが対置され、結合された全体が「虹の学校」なのです。
島の空隙を縫うように大地と床、床どうしをつなぐ階段や滑り台が交錯します。ここを昇って、下って、滑り降りながら躍動する子供たちの姿が、少しでも早く見られたらと願っています。
次は「宙地の間」です。似た模型が二つならんでいますが、右側がRC部、左は木部含めた全体模型です。要するに木とコンクリートの混構造となっています。RC部は住宅に内蔵された日時計など、太陽や天体と呼応する空間です。大きな世界のなかにある建築です。一方木部は日を浴びて伸びていく森のイメージです。住空間として主たる空間をなす場所ですが、人とともにある、身近な世界のなかの建築です。時がたって、木部が朽ちてしまったとき、この建物は古代遺跡のように大きな世界の中のものとなり、その風景が日常世界の背後に隠れた広がりを感じさせることになります。
最後に、新プロジェクトです。とある町の歴史庭園と、休憩施設です。まだ、構想をはじめたばかりですが、この施設では休憩施設がひとともにある、身近な世界のもの。庭園が大きな世界と呼応した変わらない場所として設定されています。
どのプロジェクトにも共通なのが、うつりゆく身近な世界と、変わらない大きな世界が対置され、結合されていることです。わたしたちは、身近なこの場所にいると同時に、その背後に隠れている大きな世界の中にも生きています。そんな二つの世界に在ることを常に感じられる場所。それは、特殊な事ではなく,建築にとってとても普遍的な在り方だと考えています。D研究所が「すぐこことはるかかなたをつなぐ」をテーマにしている所以はまさにそこにあります。
次のご報告では、より具体化した姿を、特に「虹の学校」では建設模様をおつたえできるのではと思っております。では、またその時まで。