2007年03月07日

ヨルダン視察報告002(070216)

視察2日目。

 2日目の目的は、ヨルダン伝統建築様式の設計建設をてがける2人目の建築家マアイ氏と会談し、いろいろお話をうかがうことである。

 ただ、そのこと以上に昨日の重たい不安を吹き飛ばすような事態が到来してくれた。現地スタッフが、ヨルダン農村建築をまとめた書籍を手渡してくれたのである。そう、昨日架空ではないかとさえ、思えてしまっていたヨルダン土着様式の住居建築なるものが確かに存在することがわかったのだ。

syoseki-hyoshi.jpg

 これがこの書籍の表紙。著者のアンマール氏は、ヨルダンを代表する著名な建築家のひとりであり、今回の視察最終日に彼との会談を予定している。この表紙からわかるようにヨルダン伝統建築の形態タイプは大きく4種に分類できるらしい(おそらくイスラム圏に共通の特質ではあろうが)。
1、アーチ
2、ヴォールト(かまぼこ状の屋根)
3、クロスヴォールト(かまぼこ状の屋根が直角に交差する屋根)
4、ドーム

 ただ、上記4つの中でも1のアーチを連続して並べた形式の住居がもっともポピュラーなものらしい。書籍内に紹介されている住居も、そのほとんどが、この形式だ。

jyukyo-zumen.jpg

 この形式の住居の特色は、アーチによる矩型全体空間の分節であり、世帯ごとに1アーチ空間を所有するということである。そして世帯が増えた場合は、アーチを増設して空間を拡張するシステムをとるらしい。

 この本との遭遇により、今回の視察の目的が改めてはっきり見えてきた。まずはこれらの農村建築を実見して、その特色を把握し、その上で今後計画する建築にこれらの技術をどのように適用できるかを考察する素地を形成することだ。

 マアイ氏のオフィスを訪れ、今回の視察の目的を告げる。マアイ氏はヨルダン伝統様式の建設技術を使用していくつかの施設をものにしている。またヨルダン国内にある農村土着建築に関する知識も有している。そこで例の書籍を彼女に示し、これらが今現在も見ることが可能かどうかを問うてみた。答えはやや微妙なものであった。「あるとは思うが確信はもてない」とのことである。

 この書籍が書かれたのが1986年。20年も前である。安定期の20年だとたいした時間ではないのだが、ヨルダンは高度成長期である。この20年での劇的な変化は予想してあまりあるものだ。またまた不安に襲われた。

jyukyo-naikan.jpg

 書籍中の写真にも「この家は、もはや現存しない」とのコメント。重たい空気に包まれてしまう。

 この後、マアイ氏が手掛けたクロスヴォールト屋根のレストハウス、そして
ローマ時代からオスマン朝時代にかけての遺跡である、ウムケイクを探訪。
それらの空間を味わいながらも、やはりあるかどうかわからない農村建築のことを、ただただ想っていた。

rest-cross-vault.jpg

 上の写真がマアイ氏が関わったクロスヴォールトのレストハウス。下がウムケイク遺跡。ローマ時代まで遡れる建築には、イスラム建築の特色である尖塔アーチではなく正円アーチ構造が随所に見られる。

 gekijo-zenkei.jpg

gekijo-turo.jpg
posted by 渡辺菊眞 at 18:42| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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