
こんにちは。渡辺菊眞です。本日、二回目の広島土嚢ハウス建設から戻ってきました。
11月13日午後3時40分に広島土嚢ハウスが「完成」しました。今回の土嚢ハウスでは、ドーム上部部分を厳密にコンパスを当てることをしないで積み上げていったので、すこしずつ捻れながら上へ上へ伸びあがって渦をまいていき、最後は、その頂部に小さな口(トップライト)が開く、まるで生き物のような不思議なかたちのものとなりました。
なので外観はなんともいえないユーモラスな風貌なのですが、圧巻は内部で、まさに胎内空間が現出しています。当方が設計建設に関わった土嚢ハウスはこれが17基目ですが、いままでで一番胎内的な内部空間が現出しました。
完成直後、この内部で広島大学院教授の町田宗鳳先生による落慶法要が行われ、この日、建設に関わった全員(25名)がこの中に入って読経(町田先生オリジナルのもの)し、それが胎内空間に響き渡って、全くの異空間の中にみなが溶けていくようなとても不思議な経験をさせてもらいました。
さて、この土嚢ハウス、当初は竹の子学園の本格的な土嚢ハウスプロジェクト展開のための実験的建設といった位置づけだったのですが、建設が進むにつれて、どんどんその位置づけが変わってきました。
建設に関わっていただいたみなさんが、この土嚢建築に愛着を持ちはじめ、単なる実験台ではない、確かな核として、この土嚢ハウスを捉えはじめたのです。なのでドームのまわりに土嚢ベンチをまわすことになり、今後は、さらにドームへのアプローチとなるような土嚢壁を設計することになりました。その壁などは学園の子供たちが少しずつ建設をしていくことになるようです。
最初にはドームだけの図面を作成しましたが、建設が進んで、ドームが具現すると、それが盛り上がった第二の地形と化して、今度はその「地勢」に応じたような壁を築くことになったわけです。ドームを地形に見立てつつ図面を新たに描きます。おそらくですが、この壁ができたとき、今度はそれも新たな地形と化して、また違う何かがこの地形に加わっていくのではと思っています。
まさに大地が脈打ち連鎖していくのです。いま、壁の図面を引きはじめていますが、それが今回できたドームに少しずつ加わっていく「脈打つ大地の風景」を楽しみに感じています。この土嚢ハウスプロジェクトはエンドレスにつながっていくような予感がしています。
今回、冒頭で土嚢ハウスが「完成」したと記したのは、そういった理由からです。また同地を再訪して、地形の脈打つ姿を見たいと願っています。