こんにちは。渡辺菊眞です。本格的にGWに突入しましたね。黄金週間。何となく邦訳してみました。特に感慨ないですね。
さて、そんな本格的黄金な時間に突入する前にD研究所総出で鳥取県の三佛寺の調査に行ってきました。もちろん、現在佳境を迎えている日本建築空間研究の完成に向けての調査(おそらく最終調査かも)です。
三佛寺。ご存じでしょうが、奥の院投入堂で有名な寺院(ちなみに上の写真は文殊堂と、その欄干のない縁にひるむ緑の研究員)です。実は小生、この寺院には13年前と10年前、計二度探訪しています。ただその頃は日本建築の空間構成を研究している時期ではなく、むしろこの研究を始めようと思うきっかけになった探訪でした。それぐらい面白いと感じたわけです。
ただ、皮肉なことに空間構成の研究を本格的にはじめて、逆にこの寺院への関心が薄れていた時期が長くありました。奥院は経路の始点となる宿入橋を越えて、両腕両足をふんばって急斜面をよじ登り、迫力ある懸造建築の文殊堂、地蔵堂を経て、観音堂、元結掛堂などがある薄暗い岩窟を回りこみ、とうとう、飛翔するような投入堂へと至る一本道の空間です。めくるめくシーンの展開がとっても魅力的であり、アスレチックのようにスリリングでもあるのですが、逆に構成としては「それだけやん」ってな気持ちがありました。言ってみれば「投入堂というとびっきりの目玉がある、シークエンシャルなアスレチック」という位置づけだったわけです。
しかし、それ以降、有名無名問わず、数多くの社寺空間を探訪し、それらの空間構成を考察し、空間構成というもの自体への考察も深めていくなかでそんな考えが変わってきました。
どの構成にとっても根幹となる幾つかの基礎構成があること、また回転や分解、結合、縮小といった空間操作というものがあること、そしてそれら基礎構成や空間操作を複合する方法があること、さらにはそれらをもとに進化昇華して成り立つ「高度な空間構成」があり得ることなど、空間構成というものが整理深化されていった段階で改めて(小生の日本建築研究の原点となった)三佛寺の空間を解析してみようという気になったわけです。
そこで足りない資料を集め、配置図を再度解析し、、、。すると、どうも「高度な空間構成」が複合して成り立つ、「超高度な構成」の存在が見え隠れしだしたわけです。これは、再度、現地へ調査し確認せねばなるまい。となって、今回の探訪とあいなったわけです。
結論から言うと、確かにありました。高度な空間構成を複合させて成り立つ確固とした構成-「超高度な構成」-が!!
ここに来て、小生が10年かけて考察を続けてきた日本建築の空間構成研究の完成がはっきり見えてきました。
この寺院を「シークエンシャルでエンターティメント性溢れるアスレチック空間」ととらえていた時期には、投入堂へ至るまでの引き立て役にしか見えなかった建築たちが確固とした構成的役割を担う存在としてくっきりとその存在感を放ちはじめました。
その構成とはいったい?いま急ピッチでまとめております。完成した折りにしっかりとお伝えできたらと考えております。