2008年05月14日

ミースをハメル。-後編-

さて、今回は「ミースをハメル」後編です。ファンズワース邸がとてもハメられなそうな敷地が目の前にあらわれて、半ば悲壮な面持ちのメンバーだったわけですが、それでも各自、何かハメル方法の欠片(かけら)を見出しつつ、制作会場である滋賀県立大学へと向かったのでした(実際は、そんな悲壮な感じではなく雨の中でも楽しんでました)。

kiro.jpg

 ちなみに上の写真で皆の先頭を切って闊歩するのは当研究会主催のひとり、高橋渓くんです。

 さて、滋賀県立大学に戻り、ここから制作をはじめます。いよいよミースを場所にハメルわけです。ここで場所にハメルために守るべきルールを少し。

 ルール01 元ネタであるファンズワース邸がもっている部材の総量は保持します(通称「質量保存の法則」)。

 ルール02 ルール01を前提にして、ファンズワース邸を切断、回転、積層などの形態操作を加えるのは可です(回転した場合、スラブが壁へと変換されることもあります)。

 ルール03 ルール01の「質量保存の法則」を原則厳守としますが、例えば積層させた場合、どうしても必要となる階段などを付加するのは(必要最小限に限り)可とします。

 ルール04 造り上げる建築の機能は住居です。単なるオブジェは不可です。なおそこに住む住民の数は、原案以上とします(例えば、ファンズワース邸の場合は原案の住民が一人なので、新たにハメル住居の住民数は一人以上となります)。

 さて、このルールのうち、最も規制力があるのが01の「質量保存の法則」です。部材総量を保持させながら形態操作するには、形態を分解する際にも常に総量を頭にいれておかねばなりません。かなりキツイのですが、逆にこのルールがあることで何でもありなユルイ状況に陥るのを防いでいるわけです。

sikichi-mokei.jpg

 制作会場には、1/100の敷地模型と、同じく1/100のファンズワース邸が並んでおいてあります(即日設計集団=三巨匠場所ハメ委員会のみなさんの制作です)。上は敷地模型です。皆、これらを確認しつつ、設計を始めます。設計時間は11時半から16時半までの5時間です。この間に1/100のラフ模型と、図面やコンセプトなどを記載したA3サイズのペーパーを完成させねばなりません。みな、必死です(みな必死ゆえにこの制作現場の写真はありません)。

 5時間は長丁場ですが、実は時間は刻々と過ぎていき、あっという間に終了時間がせまってきます。イヤな汗をかく時間帯へと突入します。そしてとうとう終了です。

mokei-gun.jpg

 計11のハメル・ファンズワース邸が何とか完成しました。体力残量はほぼナシです。

 ですが、ここから休む間もなく、制作者によるプレゼンがはじまります。

 kohyo01jpg.jpg

 みな、中央テーブルにおかれた模型と、図面などを食い入るようにながめながらプレゼンに耳を傾けます。各自が思ってもいないようなさまざまな着想があったことに驚きます。

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 上はプレゼンの一コマ。半地下になって、テラスが目の高さくらいの屋上として浮上している案です。座って模型を見つめるのが県立大学の頼もしいOB中川くん。その背後でヒゲをなでて眺めるのが当会主催のひとり中浜くんです。

 pre-nakamura.jpg

 プレゼンのもう一コマ。一階部分に共用のテラスが現れ、上層にガラスの部屋がぽこぽこ浮かぶ案の説明。周辺住宅の外壁がこのテラスへと導く壁として表現され、バルセロナパビリオンの壁のように見立てることもできます。

 この他に全体を短冊状に分節して、それをずらしながら再構成を試みる案、上方、下方を含めて、六方向すべてにファンズワース邸のシークエンスが現れる案、一枚のスラブ性の保持と多層階化の両立をはかるためにスラブを一枚のスロープ化にした案など、さまざまな案が提示されました。地面にファンズワース邸を斜めに突き刺した案なども。

 全員がプレゼンを終えた後、4つの観点から、自分以外の人の案の採点をつけます。1観点25点。計100点満点で、ついた点数はとってもリアルです。今回は11人いたので自分を除く10人の点数をつけることになりました。なので合計点数は1000点満点。とてもセンター試験ばりのリアルさです。人の作品をある観点から分析、評価することで、一番ためされるのは採点する自分自身の批評眼です。つける方がたいへんなわけです。下はホワイトボードに各自の採点を合計して書き出している風景です。各自につけられた点数にいやがおうにも緊張感が走ります。

saiten.jpg

 さて、今回はワークショップの流れのみをざっと紹介してきましたが、ミースを場所にハメようとして何が見えたのか。本当はここが重要なわけです。これについては各自が後日レジュメをまとめ議論する場が設けられます。ですので、これについては後日、あらためて報告いたします。

 無理にヒッパリたいわけでなくて、それくらい内容が濃い研究会なのです。細切れの報告ご容赦ください。


posted by 渡辺菊眞 at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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