2013年04月29日

「双隧の間」ー内臓感覚 @金沢21世紀美術館ー

こんにちは。渡辺菊眞です。

4月19日に高知を発ち、奈良で準備をして、20日に金沢入り。 21日から金沢21世紀美術館にて「双隧の間」の製作を行い、26日に内覧会、27日にオープン+アーティストトークと、とても目まぐるしい時間を過ごしてきましたが、何とかそれらも無事終えることができました。金沢は晴天かと思えばいきなり暗雲立ちこめ、落雷と凄まじい雨、その後、奇麗な晴天に戻ったかと思えば、また!といった感じで北陸ならではの天候でした。

さて、今回は製作した「双隧の間」をご紹介いたします。

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これは「内臓感覚」展の出展作品です。普段忘れがちな、人間のうちにある太古の声に再び耳を傾けようという意図の展示会です。

本来、建築が宿命的に持つ「重さ」と「不透明」さ。現在建築はそれを徹底的に忌避し、軽さ、つながり、透過性を盲目的に追求してきました。ガラスの向こうにある重たい、不透過な異物。まずはそれを目指しました。

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この、拒絶の壁の中はというと、

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美術館の天井ギリギリまでに達する鋭角なトンネルが口を開けます。

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朱のトンネルは伏見稲荷の千本鳥居をどこか彷彿とさせます。

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やがて、曲がり角へと至るとそこに空いた横穴には、丸い壁のある、白い空間。長新太氏の絵本リーディングスペースです。

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いざ、ここに入ると拒絶の壁も朱のトンネルも、全てが後退して、絵本そのものと向き合い、その中の世界へ旅立てる空間へと変転します。

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折れ曲がった先のもうひとつのトンネルを抜けて

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出て来て、振り返ると、

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また、馴染めない異物が重たいままに、そこに在るだけの状態へと戻ります。

外側から内へ向けて、ガラスの表皮、黒くて重たい拒絶の壁、朱のトンネル、絵本のある異界(秘密の庭)という、3重入れ子の空間となっています。

「トンネルの横穴に落ちると、そこは」これは長新太氏の絵本スペースに願った思い。
「脳天気な平穏と享楽と雑然のなかで忘れ去られた、建築的宿命としての重さ」これには現在建築の集団感染症的「軽さ」に対する執拗な忌避があります。

いつも何か大切なものを忘れていて、天変地異が来ると、それを思い出し、一時、悲しみと喚きを共有すると、また忘れる。そんな人間の性に楔を打ち込むのが、本来の建築の役目ではなかったかと、今回の製作を通じて改めて感じました。

内臓感覚展は表現分野、アプローチもさまざまな13の作品がまさに内臓に迫って来るような展示会です。

内臓に迫りすぎて、体調を少し崩してしまいました。いまいちど内なる声に耳を澄ませたいと思います。

その声に導かれながら、「すぐこことはるかかなたをつなぐ」場所の構築という大きなテーマに向けて、改めて進みだしていきたいと思います。












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2013年04月03日

「双隧の間」ー内蔵感覚@金沢21世紀美術館

こんにちは。渡辺菊眞です。

高知は桜が9割がた散ってしまいました。山の緑も新芽がちらほら見え始め、春ど真ん中に突入したことを感じます。そして、気づけば夏になっちゃうのです。

さて、前回は年末でした。今回は年度末を通りこして、年度初め。思えば昨年度は前半は新潟「水と土の芸術祭」で産泥神社の製作に集中し、それを終えるとタイ国境の学校兼孤児院「虹の学校」の新学舎の設計と施工へ突入。基本的にこの二つの建築に終始した年度でした。タイの学校、そして会期を終えた産泥神社のことはまた次回にお話しますが、今回はオープニングが今月末に迫ってきた金沢21世紀美術館「内蔵感覚」展についてのご案内を。

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脳による思考よりもはるかに原初の感覚であるという「内蔵感覚」。脳偏重の世界を離れて、再度、人間の根源に回帰していくことを目指す同展示会ですが、D研究所はこの展示にて絵本作家、長新太氏の読書スペースを製作します。

読書スペースという機能を満足させながら、内蔵感覚という根源に向かうという難しさ。しかも数多く訪れる人々をさばくという、まことに、まことに、涙がちょちょぎれるような現在的要請をも満たせねばなりません。

そこで当方はトンネルと空間に着目しました。どこか異界に通じることを思わずにはいられないトンネルという場所。そこに入ると彼方に光が漏れるものの、もう二度と戻れないのではという不安。あるいは途中でどこかに迷いこんでしまうのではという畏れ。

そんな場所の構築とその果てにぽっかり空いた、読書スペースというものを目指したいと思います。金沢には20日過ぎに入りますが、それでは製作は全く間に合いません。

というわけで、高知で先行して早くも今週から作成開始です。その様子も追って報告いたします。また、その時を楽しみにしていただけたらと思います。

それでは、また。

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2012年09月30日

卒業設計に思う。

こんにちは。渡辺菊眞です。

今日で9月も終わり。この9月最後の高知は午前中は台風17号による凄まじい暴風。昼下がりには台風は去り、穏やかな秋の夕暮れとなりました。いまは奇麗な月が夜空を照らしています。

現在、D研究所では、前回の報告と同じく、タイの虹の学校、来春の金沢21世紀美術館でのプロジェクト、そして「太陽の家」第一号となる「宙地の間」がより具体的なレベルとなって進行中です。プロジェクトはまた進行に応じてお話します。今回はちょっと別のお話。

この一ヶ月は渡辺研究室の卒業設計に関わる敷地調査にいくつか同行しました。今年は5人の卒制生がいますが、テーマや方法もそれぞれです(敷地から着想する「敷地派」、実施作品をつくる「実践派」、建築の空間構成方法の開発に軸足を置く「空間システム派」など)。ただ、特色ある敷地から着想していく学生が主体であることもあり、毎年ながらその調査の同行は発見も多く楽しみにしています。

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今年は四国出身でない学生も多いです。そのうち瀬戸内の島出身の学生は、そこを舞台に何かをしたいとのこと。信仰の対象としての巨石も多い島なのですが、「採石」という産業の対象としての石が主であった時代を経て、今はそれも終わってしまい、島の人は漁業を営み、採石場は空間のみとなって、とてつもない迫力を放っていました。社会的な必然性はあるとき、無惨に失われてしまうわけですが、空間の必然性はその強度を保っています。彼はここの出身ということもあり、通常では考えられない覚悟で「なにごと」かをしようと目論んでいます。

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その他には山地のローカル線の不思議な駅に着目した学生もいます。高知市から30分くらいの距離なのに、思い切り山の中、人気のない四国で最も空に近い駅です。急傾斜の地に駅があるため、スイッチバック式という
一度、進行したのちバックしてホーム入りするという不思議な光景が見られます。この風景すべてに着想を得て構想を進めていくようです。

いまや、学生の卒制を見る立場となってしまいましたが、卒制というと自分自身の取り組みをやはりいまだに思い出します。「場所にこそおもいがけないヒントがたくさんある」ということを学生たちに言っていますが、小生が学部生の時は、敷地よりは構想する建築の造形的・空間的強度こそ求めていました(実は奇妙な場所をめぐり歩くのが好きだったので、そう思い込んでいたといったほうが正確かも)。

敷地と真剣に向き合ったのは卒制がはじめてでした。それ以降、建築の普遍性(と特殊性)と、敷地の個別生(と普遍性)を掛け合わせることで一気に飛躍する建築空間の在り方を考えるようになり、それはいまでも発展的継続を続けています。

そう考えると卒制というものは、とてもとても大きな存在だと感じます。自らしたいと強く思うことに向いながら、ボロボロになって、しかもワクワクして必死で建築を作り上げていく経験は、他にかえがたいものです。
必死でとり組む彼らに小生も負けないよう頑張りたいと思う、そんな台風一過の一日でした。

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追伸、「風景の神殿」(渡辺菊眞 卒制1994)自殺の名所、東尋坊の風景が「自殺の名所」というブランドに塗り込められて、もはや死へと誘う風景が単なる記号と化したことへの批判的提案。「自殺の名所」たりうる風景を内に孕んだパンテオン(荒っぽく、ツコッミどころ満載の卒制ですが、それなのにいつもここに立ち戻るそんな卒制です)。


posted by 渡辺菊眞 at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月30日

夏の終わりの模型制作。

こんにちは、片岡佑介です。

高知事務所ではツクツクボウシに鈴虫の声が聞こえてきました。
いよいよ夏も終わりが近づいています。
今日はやっと晴れたと思いきや、なんとも蒸し暑い一日でした。。。


さてさて、現在D研究所では複数のプロジェクトが同時進行中。
夏休みを利用して、高知工科大学渡辺研究室の新3年生がお手伝いに来てくれています。

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ここ5日の間に2つのプロジェクト模型を制作。
予定よりも随分と捗り、今日完成。とても助かりました。是非実物も見て欲しいです。

両プロジェクトともに実現はもう少し先ですが、模型完成で一気に気運が高まりました。
プロジェクトの詳細についてはまたご報告させて頂きます。お楽しみに!


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2012年08月28日

産泥神社建立日誌04ー完成ー

おはようございます、片岡です。

高知は猛烈な雨が降ったり止んだり、すっきりしない日が続いております。
体の調子まで悪くなりそうなのでそろそろ勘弁して頂きたいところであります。

さて、今回からブログを統合して「Dの扉から」でご報告をさせて頂く事になりました。
これまでの高知事務所の記事はこちらから→「Dのひだまり日記」


前回のご報告から随分日があいてしまいましたが、新潟:産泥神社建立日誌第4回目です!
日誌といいつつ、かなりざっくりしたご報告になってしまっていますが。。。
写真をベースに5月末から完成までのご報告をさせて頂きます。

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大地に製図する所長。ドーム上部に使用する圧縮リングの図面を1/1で描く。

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徐々に高さを増すドーム。内部足場もそれに応じてバージョンアップ。

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本殿ドームの土嚢部分が完了。屋根仕上げに入る。

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野地板を取り付け後、金属シートにて仕上げる。

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幣殿土嚢作業と並行して外部仕上げも開始。北側はあぜ波仕上げ。

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夕暮れの産泥神社。

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拝殿、幣殿の土嚢完了。屋根へと移る。今回初となる屋根の小屋組は単管を使用。

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小屋組と並行して外部仕上げも進む。南側はロールプランター。

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屋根、外部仕上げ共に順調に進む。

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仕上げも進み、完成形が見えてきた。

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たくさんの方々にご協力頂き、全体の9割9分が完成!ここで一旦帰高。

最後の仕上げは6月末に再度新潟入り。
石の間の仕上げ、現地の書家さんに書いて頂いた幟を上げ、完成!!
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「産泥神社」「安産祈願」の幟がはためく。奥には柳都大橋の亀裂が見える。

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拝殿小屋組(左)と朱色に染まる石の間(右)。

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本殿内観。

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本殿を経て、都市の亀裂に至る。


ボランティアさん、現地スタッフの皆さんなど、多くの方々にサポート頂き無事完成。
7/14の芸術祭開幕と同時に公開が始まっています。
近くに行かれた際は是非お立ち寄りください!!

追記:10月には現地でトークイベントが計画されています。
こちらも詳細が決まりましたらまたご報告させて頂きます!

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2012年05月25日

産泥神社建立日誌03ー土嚢ドーム建立早送り。一気にワープしてー

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こんにちは。渡辺菊眞です。

5月8日に高知に戻り、17日にふたたび新潟の現場にもどってきました。小生が現場不在の間は、「D研究所・高知」の片岡佑介氏が現場指揮をとっており、その間も着々と現場はすすんでいました(天候不順には勝てないですが。。)。

前回は「土嚢の積み始め」の模様をおつたえしていたのですが、そんなお話は随分前のことになってしまい、そこからの流れをいまさら丹念にお伝えするのも何処か違うと感じています。またD研究所のface book ページでもアルバムで施工進行の様子をお伝えしていたので、17日までの様子はまずはそちらをご覧ください。

建立日誌(5/1-5/2)

建立日誌(5/5-5/7)

都市風景の中の産泥神社

土嚢ドームは、一段一段の土嚢リングの積み重ねです。それなので少しずつ高さが増すものの、工程の変化はほぼありません。単調ではありますが、ブロックひとつひとつが構造材。それゆえ、部分部分のの構造的意味が大きいのはもちろんですが、それが積み重なった空間の中に身をおく際に、受ける感覚もまた重たく迫力に満ちています(冒頭の写真は5月20日のもの。天への孔はどんどん小さくなっていきます)。

小生が戻った17日以降は直径5m ,高さ4mの本殿ドームの建立がメインの作業。土嚢ドームは日々高くなっていき、日々建築空間化していくさまを見ていくこととなりました(見るというよりは積みながら見るのですが)。

本日、5月25日現在、本殿ドームの土嚢積みは完了。その模様は後日お伝えしますが、建築めいたものが、完全に建築空間となり、天と地をつなぐ場所が、都市の片隅の原っぱにできあがりました。これまでも何度もたちあった瞬間ではあるものの、今回のそれはいつもと違って純粋に天と地をつなぐ場所となっているので新鮮な感慨があります。

ここからは拝殿と幣殿に屋根をかけ、外部仕上げと入っていきます。いよいよ大詰めです。本殿建立の模様とあわせてまたお伝えいたします。

乞うご期待。です。

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夕暮れ時の現場。黄昏の原っぱとそこにある奇妙な「山」。不思議でどこか懐かしい風景。
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2012年03月05日

プロジェクト多方面で進行中。Dの3月。

こんにちは。渡辺菊眞です。
ずいぶんご無沙汰になってしまいました(近日中はfacebookで近況報告しているので、それが原因でもあります)。高知はずいぶんあたたかくなり、しとしと雨の降る日が多いです。この時期を過ぎると一気に春めくのではと思います。

前回、年始の挨拶をしたかと思えば、もう3月。ということで3月の近況報告をいたします。

まずはタイの孤児院建設プロジェクト(「虹の学校」建設プロジェクト)。この案件の具体化に向けて先日、研究員の江崎貴洋氏と現地視察にいってまいりました。敷地はタイと西北部のミャンマーとの国境近くのまち、サンクラブリー。木造による最長の橋、モン・ブリッジで有名な場所です。

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ここに、タイの少数民族:モン族と、ミャンマーからの移民であるカレン族の孤児たちのための孤児院があり、今度新たにこの施設を「虹の学校」として整備するとのこと。そこでその校舎の一部を土嚢建築で作って欲しいとの依頼を高知市在住の玉城秀大さんから受けたことが、D研究所が、このプロジェクトに関わることになった発端です。今回の視察では現地の風景や既存の工法を知ることで、どんなカタチで校舎を設計すべきか(土嚢建築をいかに採用するか)のヒントを得ることが目的です。

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知ってはいましたが、タイは高温多湿の国。それゆれ住居は高床式家屋となります。床下の風通しをよくし、湿気が居室にこもるのを防ぐわけです。この工法は、大地から直接立ち上がる土嚢建築とは対極の位置にあります。なので、いつものように土嚢ドーム数基を配置して魅力ある空間へと統合していくだけでは、ここに適した空間を作る事はできません。

 土嚢建築は言ってみれば第二の大地を築く工法。その原点に帰るなら、土嚢建築で大地を魅惑的に整形して、その地形にフィットするような準高床型の住居を架け渡すなどの方法を考える必要がでてきそうです。洞窟としての土嚢建築とその上部の宙に浮かぶ床。これがこの地に適した空間構成方法となりそうです(洞窟といえば、タイ西北部には洞窟が多く、そこが寺院となっているようです)。いまから早速この在り方を提示していくための作業に入ろうと思います。

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 何よりも子供たちがワクワクして出たり入ったり眠ったりする空間ができたらと思ってます。子供たちに「発見されて」、遊ばれる空間を目指したいです。

 次に「太陽の家No.00-宙地の間」。こちらは敷地候補地が決まり、基本構想も出来ています。

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 敷地は奈良県の西部にある高台の一角。周辺はびっしり住宅が立ち並んでいますが、ここだけ山地として残されたとても不思議な敷地です。斜面地にある住宅のお約束として、ほぼ全ての住宅が清水寺よろしく懸造(舞台造)のように張り出すか、ウソ!ってくらいに巨大な擁壁で平地を強引につくりあげてその上に家をポンと置くかのどちらか。しかし、この敷地だけはなぜか窪地で平地が土地全体のヘソのように残っています。

 この奇跡の平地に根をおろし、そこから真っすぐ天へと通じるような「天を吸い込む孔」のある家を構想してます。それが「宙地の間」です。宇宙(そら)と地の間に人が住まうという、コンセプトです。内部には天体の運行がわかる機構が仕込まれてます。

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 最後に新潟の「水と土の芸術祭」。年末の現地視察で電撃が走った敷地があり、それを所望。ややこしい敷地なので、まだ確定してないのですが、おそらく所望の場所で建設できそうな気配です(この場所に決めるためにチームのみなさんには大変なご尽力をいただいてます)。

 新潟はもともと一面の湿地帯。人々の気の遠くなるような水と土との格闘の果てに現在の繁栄があるのです。そしてその繁栄が「フツー」になってしまったためにその格闘の記憶が希薄になってしまっています。少なくとも視察時に見た風景にそんなことを感じました。

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 なので、今回、当方の狙いとしては、その水と土が混ざった「どろどろ」「ぐちゃぐちゃ」な原初の空間を、繁栄という名のもとに希薄化した都市空間の隙間にぶちこむことです。日々歩いて生きてるその足下が不意に「どろどろ」になり、溶け出していく、その刹那、根が切れたところで漂白する現在が浮かび上がって来る、、そんな空間をまさにいま構想中です(どれだけ「どろどろ」かが勝負!)。

 その他にも高知山中の謎に満ちた「ロンシャン」プロジェクトなど、今年から動きだしていくプロジェクト満載です。
また、それらも含めて進捗にあわせて報告いたします。

それではまた。


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2012年01月01日

2012年。D研究所、新たな局面へ。 

あけましておめでとうございます。渡辺菊眞です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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 本日から2012年が始まります。この BLOGをさかのぼっていただけるとわかるのですが、D研究所は元旦に結成されました(詳しくは「Dってなぁに」をご参照ください)。それが2007年1月1日。ですので、本日はD研究所の5歳の生誕日となります。

 元旦からはじまる組織なんてのは普通でいうと考え難いものです。当研究所の場合は、「やろう。では縁起もいいので元旦に!」という決め方でしたのでそんなことが可能でした。すぐそばの身近な場所(これは地元という意味ではありません。あちこち放浪する中で、降り立った場所は全て、「すぐそばの場所」と考えています)を大切にしながらも、それをはるか彼方(端的にいうと異界などの次元の超えた世界のことです)とつなげていきたい。そんなことが可能な「ワクワクする場所」を構築していこう、その決意だけではじめました。

 この5年で、ヨルダンのコミュニティセンター建設(2007-2009)、東アフリカエコビレッジプロジェクト(2007-2010)、国内では現代美術家の高嶺格氏と共同で金沢21世紀美術館展示「Good House」を制作しました(2010)。

 また、研究員の江崎貴洋氏はハイチで災害復興(2010)、マラウィでエコサントイレ建設(2009-2011)、気仙沼で復興建築モデル(2011)をてがけてきました。

 これらは実現したプロジェクトですが、これらの制作期間中に「エネルギー利用源としての太陽」に局限する(これはきわめて危険だと思っています。自然軽視が進むからです)ことなく、「宇宙や自然に思いを馳せるその象徴としての太陽」を感じることができる建築として、「太陽の家」プロジェクトを進めてきました。

また、小生が2000年から研究を進めてきた日本建築の空間構成研究をまとめるために、2008年から研究員の高橋俊也の協力をもとに書籍化にむけて執筆をつづけています。昨年は、それとは別に高知新聞の週間連載「この場所、この地球、あの建築」の執筆もおこないました。

 さらにはD研究所:高知(D地域空間計画工房から改称)の片岡佑介氏は2011年9月から宮城県南三陸町にテント暮らしをしながら常駐し、復興支援活動をつづけています。

 このようにD研究所はこれまで多岐にわたる活動を展開しながら、「すぐこことはるかかなたをつなぐ」、そんな場所の構築を模索してきました。今年はこれら積み重ねたことを結集して、新たな局面を切り開く年になりそうです。数々のプロジェクトや研究が具体的に動きだす予定です。

 これらについてはまた、随時ご報告いたします。本年も何卒、よろしくお願いいたします。

「すぐこことはるかかなたをつなぐ」

2012年01月01日 D環境造形システム研究所代表 渡辺菊眞

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2011年11月16日

「波動」が完成しました。

こんにちは。渡辺菊眞です。

本格的に秋になり、晴天の日はとても気持ちのいい日が続いています。南国、高知といえども朝夕はぐっと冷え込むので、風邪などひかないように注意したいと思います。

さて、前回の記事でもお伝えしていましたが、高知県安芸市の大山岬に建設していた、お遍路さんの休憩所:「波動」がとうとう完成しました。

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この休憩所のイメージを小学生が絵に描いたのが3年前、高校生が建築提案化したのが2年前。この規模の建築でいうと、とても長い期間をかけて完成したわけです。その時間の長さの分だけ、さまざまな人の思いも込められているのだと思います。

小生は、高校生案をもとに、これを具現化するために改案+実施設計化するという、大学生が担うパートの監修を行いました。ある時点までは、高校生の原案からいかに飛躍が可能かということも検討していましたが、やはり、この原案に込められた力強さ、「波動」と名付けた、太平洋に寄せる思いの強さが、時とともに胸に迫ってきました。

結果、原案の柱割りや断面構成を可能かぎり踏襲して、原案のままだと集成材を使わざるをえない曲線アーチを、容易に入手できる線材でいかに再構成するかに力を注ぎました。

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お遍路さんの休憩所であり、かつここを「くぐり抜けて」、遍路を続けるという、トンネル的な空間であることも、原案の大きな特徴でした。「太平洋を存分に見れないのではないか」という原案に対する批判もあったようですが、「波動」という波の胎内から海を見るという原案のコンセプトはユニークかつ、とても魅力的だと思っています。

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↑トンネルを構成する、波の造形。

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↑波の隙間から、海が覗きます。ゆったりとした波間に船が一艘。

夢をそのまま描いた絵画が、具体的な建築になるという、とても魅力あるプロセスを見ることができ、うれしく思っています。
今後、この休憩所がお遍路さん、そして地域の人々に永く愛されていくことを願っています。

最後に、完成から逆に時間をさかのぼっていきたいと思います。

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高校生による建築施工。

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小生が監修した、高知工科大学チームによる実施案化。線材による木造アーチ造形の再構成。

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高校生の原案。力強い建築コンセプトと、造形原理がここにはこめられていました。

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夢を描いた小学生の絵。多くの建築インスピレーションを与えてくれました。

以上、夢のリレーの遡行です。
このプロジェクトのプロセスは、今後、ある種の雛形になるのではないか?そんな予感がしています。

このような方法含め、ワクワクできるようなプロセスを持つプロジェクトを今後は創り上げていかねばと考えています。







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2011年10月16日

10月の活動Index

こんにちは。渡辺菊眞です。

先週前半は奇麗な秋晴れが続いていたのですが、週末から天気は崩れ始め大雨に。その雨もようやくあがって、ふたたび晴空が戻ってきました。今日は気持ちのいい一日でした。

さて、10月の活動模様はというと。。「これだ!」と一言ではいえないです。いくつか項目がありますので、今回はindexを記して、個々の活動については追って、ご報告するということにしたいと思います。

1、東北の被災地視察と番屋プロジェクトへの参加

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先日10月7日ー11日まで、東北宮城は気仙沼に高知工科大学の学生とともにいってまいりました。宮城大学竹内泰研究室が設計した、漁業の活動拠点:番屋建設のお手伝い、そして被災地の状況と復興プロジェクトの幾つかをこの目で見てきました。小生は震災以後、東北に入るのは今回がはじめてです。被災地の風景や現地の人々の活動を見ることで改めて感じたこと、考えることなど、多々ありました。これまで関わったアフリカやインドの復興活動の風景と重なって見えてくることもありました。

2、日本建築の空間構成研究

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日本の社寺空間では、信仰の「核となるもの」をとらえたと思いきや、それは「逃げ水」のように後退していきます。そういった「「不思議な現象」を可能にするは、建築の空間構成(配置術)に原因があるのでないか?」この仮説をもとに研究をはじめてから10年以上が過ぎました。10年過ぎて当初見えてなかったことも、かなりクリアになり、今や、この仮説にたいしてある結論を提示可能なところまで漕ぎ着けてます。年内にそのことをしたためた原稿をあげたいと思っています。原信仰空間と、それを抽象化したものとの幾度にもわたる重なりが、寺社空間を「逃げ水」的な空間にしたてあげています。

3、高知県建設系教育協議会活動:大山岬のあずまや「波動」の建設

高知県建設系教育協議会(「4K」)の活動のひとつ、あずまや建設がとうとうはじまりました。台風で破損したお遍路さんの休憩所を、安芸市の大山岬にたてようというもので、小学生の夢のある絵画を構想図にして、それを高校生が建築化し、その実施案化を大学生が、最後に施工図と施工を工業高校のみなさんが担うというものです。小生は高知工科大学の大学生チームの設計監修(要するに実施案化の監修)を行いました。 10月19日には完成予定です。とても楽しみです。

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以上が10月の活動のIndexとなります。またそれぞれの詳しい内容を近々、お知らせいたします。

それではまた。

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2011年09月07日

9月の近況など。

こんにちは。渡辺菊眞です。

暦は9月。さすがに日が落ちるのも早くなり、ずいぶん涼しくなってきました。
夏が苦手な小生にとっては嬉しいです。

さて、9月のD研究所はというと、

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高知、D工房の片岡佑介くんが、震災復興活動に尽力するため東北に出向しました。
しばらくは宮城大学の竹内泰先生と行動をともにして、現況をつかみ、後には個人で活動できることを自律的に進めていくことになります。活動は数ヶ月におよぶ予定で、その間、彼は東北に常駐することになります。
彼の活躍を心より願っています。
小生も近いうちに、東北に行きたいと考えております。何か力になりうることを考えたいです。
片岡くんの活動模様は彼のFace Bookページで随時報告されています。
是非、ご覧ください(上の写真は「南三陸町歌津/橋桁が流出した歌津バイパスの高架橋」撮影 片岡佑介)。

小生が執筆している高知新聞の年間連載「この場所 この地球 あの建築」もやうやく30回をこえ、全体の6割を終えました(逆にいうとまだ4割も残っていることになります)。現在は「高知の建築探訪」というシリーズを執筆中で、「掩体壕」(戦闘機の格納庫)、「龍河洞」、「沢田マンション」を紹介しています。

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「掩体壕」。戦争遺産ではあるものの、これを造り上げた創意には大いに学ぶべきところがある。

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「龍河洞」日本三大鍾乳洞のひとつ。弥生時代の住居跡が残る。古代人はシェルターとして活用しただけでなく、この美しさにも心打たれたはず。

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「沢田マンション」沢田夫妻が数十年かけて造り上げた自力建設の住処。力強く大らかな空間が素晴らしい。

このシリーズを終えると、アフリカでのエコビレッジ建設活動の話へと移行していく予定です。


さて、来る9月18日には「イワクラサミットin松山」にて小生は「聖域における建築の配置術」の発表をいたします。これは巨石研究者やその愛好者によって設立された、「イワクラ学会」主催のシンポジウムです。小生はイワクラそのものに関しては愛好のレベルを出ませんが、イワクラのある聖山の山中や麓に立地する社寺の建築群の配置術に関してはずっと研究を続けています。今回はその成果の一部を公開させていただくことになります。この研究も近いうちに書籍にまとめたいと考えております。

設計活動としては、建築コンペを数点、来春から工事開始予定の土佐プロジェクト、太陽の家の発展進化版を設計中です。これらに関してもまた改めて報告いたします。

今回はここまで。

それでは、また。




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2011年08月12日

8月半ば。

こんにちは。渡辺菊眞です。

前回から大分時間がたってしまいました。今年は昨年ほどは暑くないのかと思いきや、日中の陽射しが強烈で、油断しているとそのまま危ない領域へ連れていかれそうです(すなわち、あの世)。

さて、現在、何をしているのかというと、、。

1、「太陽の家」構想の深化。
これはパッシブソーラーシステムの建築に、宇宙的空間を組み込んで成立させる、D研究所独自の建築構想です。
太陽や自然の力を単に「便利で安全な」エネルギーとしてだけ捉えていると、自然の本質はどんどん隠されていきます。それを防ぐには超越者としての自然が感知できるような空間装置が不可欠です。そいう意味での宇宙的空間なわけです。初期構想から比べるとずいぶんと深化しはじめてます。

2D.jpg

ちなみにこのダイアグラムはとあるコンペで提示したもの。200作品を超える中で最終10作品までは残りましたが、最後の最後で表彰台(3位以内)を逃してしましました。残念。

2、「大地の家」の継続的展開
小生が教鞭をとる高知工科大学では、日本型土嚢建築の構築実験を展開しはじめてます。それと並行してD研究所では「ケニアプロジェクト」ならびに「土佐プロジェクト」を進めはじめています。

tosa.jpg

上の絵が「土佐プロジェクト」です。まだまだ初期案段階です。

3、「日本建築空間論」の執筆
ずっと水面下で動いている日本にとってとても重大な研究(本当にそう思ってます)。これも早期にケリをつける予定です。もうはじめて10年以上経ってしまっていますし。。。

というわけで、お知らせは滞っていましたが、かなりいろいろ動いております。
秋口には、当方が関わった木造の小作品も竣工予定です。また報告いたします。

ではまた。
posted by 渡辺菊眞 at 09:32| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月17日

登録文化財のプレート

こんにちは。渡辺菊眞です。

今年は例年よりもずいぶん早く梅雨入りしてしまいました。でも、あけるのは例年通りとのこと。
湿気が苦手(得意な人いるのか?)なので、早くあけて欲しいものです。

さて、以前にも報告しましたが、小生が2005年に移築(曳家)と増築を手がけた「角館の町家」の、移築部分(築100年)が登録有形文化財に指定されました。指定後、登録プレートが届きましたので設置しました。

panel.jpg

この建築、秋の祭りの際には、この建物がある「横町」の核施設として機能します。

現時点で築100年、今後も時を重ねて、魅力ある風景を演出し続けて欲しいと願っています。

panel-enkei.jpg

それでは、また。

posted by 渡辺菊眞 at 13:55| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月24日

連載その18「石と石工の事情」です。

こんにちは。渡辺菊眞です。

以下、連載最新号のご案内です。

連載18「ヨルダンの現場から7:石と石工の事情」 http://d-kukankobo.sakura.ne.jp/rensai/rensai.html#anchor18

ご覧ください。

posted by 渡辺菊眞 at 13:41| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月20日

週間連載。約1/3執筆完了。

こんにちは。渡辺菊眞です。

先週の高知は雨がちだったのですが、今週はカラッと晴れた日が多かったです。
今は風が吹くと涼しいですが、しばらくしたら梅雨がはじまります。湿気が異様に高い、つらい季節です。そんな季節が来る前に今の天気を満喫したいと思います。

さて、以前も報告しましたが、今年1月から高知新聞で「この場所 この地球 あの建築」という建築をめぐるエッセイを週間連載しています。一年の長丁場で大変ですが、これまでにしてきたこと、いま取り組んでいることなどを、同時に扱って書き記すので、自分自身の行動や思考を客観的に見直すこともでき、たいへん貴重な機会をいただいたと思っております。

現在17回目が掲載されてます。全部で50回程度あるとして、ようやく1/3を書き記しました(逆にいうとまだ2/3も残っているのですが)。

新聞をそのままストックし続けてると、どんどんかさばるので、web上にアップしてます。現在は長期シリーズとして「ヨルダンの現場から」を執筆中です。是非ご覧ください。

http://d-kukankobo.sakura.ne.jp/rensai/rensai.html

現在は、大学の学科全体で、日本型の土嚢シェルターを構造的観点から改めて見直す「土嚢シェルタープロトタイプ」の設計を大学院セミナーでとり組んだり、コンペを通して長らくあたためてきた建築構想を具体化する作業等を行ってます。

また、近いうちにいろいろ報告できそうです。それでは、また。

posted by 渡辺菊眞 at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月05日

5月はじめのD会議

こんにちは。渡辺菊眞です。

先のブログでもお伝えしましたが、4月は小生はじめ各メンバーともにやたら慌ただしく、定例会議の開催もままならない様態でした。
というわけで、今年度はじめの会議が5月はじめとなってしまいました。

議題としては、

1、江崎研究員が復興支援のために昨年何度となく足を運んだハイチ(斜面地に村落が営まれています)に適応可能な「もうひとつの」復興住宅モデル(すでに木造仮設住宅は建設済み)の方向性について

2、日本型の土嚢シェルターモデルの構法についての検討

3、「大地の家」と「太陽の家」を統合した果てにある「Dの建築」の構築について

などなどです。その他にも、今年度から新たに進めるべきプロジェクトについても討議しました。
今年はやることが多く、これまで蓄積してきたことが新たなカタチとなって動きだしそうです。また展開に応じてご報告いたします。

それでは、また。

dkaigi0503.jpg

追伸、上の写真は会議風景。メンバーカラーを反映した赤と緑のメモ帳が見えます。そして黒い人形。これは実は金沢21世紀美術館展示「Good House」の遺品です。「開かずの土嚢」(プロジェクト工房入り口の半分ドームのこと)の奥で半年以上ストロボを浴びて回り続けていた元フラメンコ人形です。いまはD研究所を彩るオブジェとなっています。


posted by 渡辺菊眞 at 18:23| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月28日

2011年度がはじまって。

こんにちは。渡辺菊眞です。前回からずいぶん時間があいてしまいました。

高知はすっかり葉桜の季節となり、昨日なんかは久しぶりの超土砂降りの雨で、早くも夏の近づきを感じました。

3月前半は展示会「楽園 神母木山田島」の準備でおおわらわで、何とか無事に展示会開催にこぎつけました。そして、作品講評会(新居照和+ヴァサンティさん、魚谷繋礼さんにパネリストとして参加していただきました)当日に東北で大震災が発生。衝撃でした。

3月後半は金沢21世紀美術館に向かって、「Good House いい家」の解体作業。3月かかって制作したドームとインスタレーションが、およそ3時間で完全解体(その模様は「Dのひだまり日記」で紹介されています)。震災の衝撃と、「解体」という作業がどこかシンクロしてしまい、個人的には少しどんよりした思いでした。

3月末から4月にかけては、今後、建築はどうあるべきかということを改めて考え始めました。被災地復興に向けての「急務」という考えも当然あり、現在、急場で必要とされているものを迅速に支給できるような建築的支援もあるのですが、どうも、この大震災、そしてこれからの復興というものが、文明の転回点のように思われてしかたなく、一気呵成に何かをなすよりは、今後、地球にいかに住んでいくべきか、そしてそのためには建築や都市というものがどうあるべきかの方向性をしっかり決めないといけないと思いました(もちろん、被災地から遠方であるために急場の支援に向かう立場としては不適ということもありましたが、、)。

D研究所では、インドの震災復興をはじめ、インドネシア、アフリカ、中東、中南米のそれぞれで、そこの必要に応じた建築的支援をしてきました。そして、いろいろな場所で展開している風景の流れを見つめるたびに、その地域の問題を見ながらそれが、地球全体の問題でもあることを感じてきました。今回の東日本大震災発生により、その思いはより強くなっています。

ここしばらくえらく慌ただしかったのですが、これから改めて建築のあるべき姿(絶対的なひとつだけの道というものではなく、あるべき「もうひとつの道」)を提起していきたいと思います。もちろん実践も込みで。

また、展開に応じて報告いたします。D研究所はこれからより真摯に、「すぐこことはるかかなたをつなぐ」空間の構築を目指していきたいと思います。いまいる場所に憩いながら、そこを超える遠い時空に思いを馳せる、そんな場所が本当に必要なのでしょうから。

それでは、また。
posted by 渡辺菊眞 at 06:08| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月06日

月評3月号をアップしました。

こんにちは。渡辺菊眞です。

すごく遅くなりましたが、ようやく月評3月号をアップいたしました。
今回は2月号の集合住宅特集に関する月評です。伝統的なテーマではありますが、完全に閉塞感を覚えています。
住む場所に関して、建築家側の提示が閉塞感を覚えさせるというのはとてもマズイ状況だといわざるをえません。

何はともあれ、ご覧いただけたら幸いです。

http://gezzpyo.sakura.ne.jp/getsupyo2010/getsupyo1102.html

それではまた。
posted by 渡辺菊眞 at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「楽園 神母木山田島」開幕直前。動画公開

こんにちは。渡辺菊眞です。

あっという間に2月は逃げてしまい、もう3月。8日からは小生が監督をつとめる仮想地域未来計画「楽園 神母木山田島」の開幕です。
研究室にこもりっぱなしの日々でたいへんですが、あと少し、頑張ろうと思います。

さて、今回の展示会で舞台となる、高知県香美市土佐山田の神母木地区と山田島地区の風景紹介ビデオを作成しました。
これを見ると展示されてる作品の背景がくっきりしてより楽しめるものになると思っております。是非ご覧ください。

「楽園神母木山田島」http://www.youtube.com/watch?v=xZ7rDcIg0c8

なお、展覧会の日時などは下記をご参照ください。

http://f-d-studio.sakura.ne.jp/yamada2010/nichiji.html

以上、展示会開幕直前の、ご案内でした。

それではまた。
posted by 渡辺菊眞 at 15:27| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月15日

高知新聞連載「この場所この地球あの建築」

こんにちは。渡辺菊眞です。

一時とても温かくなって、春が到来か?とかおもってたのですが、また冷え込んでしまいました。たぶんこんなことを繰り返して、いつの間にかほんとの春になるのだと思います。一年ぶりくらいに風邪をひいてしまいましたが、ようやく復調してきました。気をつけたいと思います。

さて、今年の1月10日から、高知新聞の「月曜ワイド」という枠で、週間連載「この場所この地球(ほし)あの建築」を執筆してます。1年間の連載ですので、計50回、執筆することになります。この連載にともない、書いた記事をwebで公開するページを作成しました。是非ご覧ください。

http://d-kukankobo.sakura.ne.jp/rensai/rensai.html

この連載では、当方が世界各地でおこなってきた建設風景やそれにまつわる彼の地のお話をおつたえしつつ、それと同時にいまいる高知の身近ながらも、あまり意識されてこなかった魅力ある風景を、建築家の目を通して紹介していきます。
身近なこの場所も、遠い異国の地も、それぞれに違いながら、どこか深いところでつながっているのだということを感じてもらえたらと思い、執筆しています。

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インドの建設風景

igenoki-bochi.jpgigenoki-renzoku.jpg
高知県香美市神母木の「天を結ぶ場所」と「舞台造りの連続住居」

小生は奈良出身ですが、両親は東北と北陸出身であったこともあり、奈良では「よそ者」でした。現在いる高知にも来たばかり、そして世界でおとずれる国々でもやはり「よそ者」です。でも、いつも「よそ者」であるがゆえに、全ての風景に対して等価に接することができます。どんなにありふれたように見える風景でも、みたことなかった異国の地でも、同じようにキラキラと輝きだす風景というものに出会います。そんな風景を紹介することで、「すぐこことはるかかなたをつなげる」ような場所を構築できたらと願ってます。「この場所この地球あの建築」。このタイトルにはそんな思いがこめられています。

まだ連載ははじまったばかりで、これから執筆本番となっていきますが、頑張りたいと思います。

それではまた。
posted by 渡辺菊眞 at 07:39| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする