2010年03月10日

現代美術家:高嶺格さん

こんにちは。渡辺菊眞です。

 今回は現代美術家:高嶺格さんのお話です。

 高嶺さんとの出会いは唐突でした。
1、「タイで開催される現代美術展で招待作家となっている」
2、「タイでは土作りの家がブームで、現地の若きアーティスト:Ong氏も土嚢建築による芸術家村をセルフビルドでつくっていて、とても感銘をうけた」
3、「タイでの作品はOng氏と共同で土嚢建築を導入したものにしたい」
4、「日本の建築家で土嚢建築をやってる人にもインタビューしたい」
5、「日本の建築家で該当者をさがした」
6、「渡辺さんにいきあたった」

 という流れでした。上記4までいくと必然的に6にいきあたります。そうして上記の事情がかかれたメールが当方に届いたのでした。当方としては「現代美術館の内部(!!)で土嚢?よくわからんけど、とても刺激的かつ魅惑的」と感じました。

 そのメールの5日後にはタイに発たねばならぬ高嶺さんは、メールの3日後に奈良のD研究所に来られてインタビューを敢行されました。

 インタビューのあと天理にある土嚢建築を土砂降りの雨のなか実見して、そのなかでふたりともびしょ濡れになってさらに衣服は「ひっつき虫」だらけになりつつ、その後、酒を飲んでさらにインタビューはつづき(録音テープを回しっぱなし)、酔っぱらって終了。そして高嶺さんは去っていかれました。

 いったいどんな展示になって、その展示に使うというインタビュー動画とやらはどうなるのか?まったくわからなかったのですが、その後、作品やその動画の料理のされかたを知ってとても衝撃を受けました。「そんな調理があったのか!」と。

 高嶺さんとはそれ以来、おつきあいさせていただいています。正直、予想外の動きをされる神出鬼没のすごいお方です。

 さて、氏のホームページで、タイでの作品と動画が紹介されています。
是非、ご覧になってください。

 TWIST&SHOUT:Contemporary ART FROM JAPAN


 というわけで今回は不遜ながら高嶺格さんのお話をさせていただきました。

それではまた。

 
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2010年03月06日

FDSのHP。

こんにちは。渡辺菊眞です。

 高知はすっかり暖かくなり、田んぼわきの畦道には土筆なども顔をのぞかせてます。
ただ、晴れの日以上に雨の日が多く、いきなりの土砂降りにとまどったりもしています。

 さて、前回の記事で紹介した展示会「山田弐零零九」に関連したご案内です。

 展示会開幕に先立って「山田弐零零九」の決行部隊:Field Design Studio(以下FDS)
のホームページを立ち上げました。メンバーの制作模様を紹介するBLOGなんかもありますので是非ご覧ください。

 HP→FIELD DESIGN STUDIO
 BLOG→「山田弐零零九決行日誌

 というわけでご報告でした。
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2010年02月27日

展示会「山田弐零零九」開催のおしらせ。

こんにちは。渡辺菊眞です。

 本日は3月16日から22日まで開催される展示会「山田弐零零九」のご案内です。

DMomote+.jpg

 「山田弐零零九」は高知県香美市土佐山田町を舞台にした地域未来構想展示会です。これは高知工科大学の建築デザイン、景観デザインを学ぶ学生有志が結成したField Design Studio主催によるもので、小生は総監督をしています。

 一見何の変哲もない日本の田舎町を舞台にして、さまざまな空間デザイン手法を自在に扱いながら、自由で魅力ある空間の提案をしています。

 土佐山田の地形や道のカタチ、さらには家の連なりを自在に組み合わせながら変形し、かつてないのに、それでいてどこか懐かしい不思議な地域風景。そんな風景が満載の地域未来計画、それが「山田弐零零九」なのです。

 地盤は時に隆起し長屋は縦横に疾駆をはじめ、不意に大地が陥没する。2009年、土佐山田に出現した奇跡の風景をお楽しみいただけます。

 オープニングの16日には会期中には建築家、森田一弥氏、山本麻子氏、現代美術家の高嶺格氏を招待して繰り広げる座談会も開催予定です。さらに建築の展示会としては珍しい試みとして、この地域構想を題材にした絵本の販売なども行います。

 高知県での開催ですので、「是非ご覧ください」といいきりにくいですが、何故か四国そして土佐にいきたいと気持ちになったみなさんは是非のぞいてみてください。

 というわけで展示会のお知らせでした。

以下に、展示会情報を記しておきます。ご参照ください。

<展示会>
「山田弐零零九」
■会期
3月16日(火)〜3月22日(月)
10:00〜19:00(初日/13:00から、最終日/17:00まで)入場無料

<座談会>
開幕談義    「未来計画の可能性」
パネリスト 
森田一弥(建築家)山本麻子(建築家)
高嶺格(現代美術家)渡辺菊眞(高知工科大学/建築家)
日時   3月16日(火)17:00〜19:00
定員 先着30名 入場無料

会場・問い合わせ
ギャラリーFAUST (高知県高知市本町1-2-22 喫茶ファウスト3F)
TEL/088-873-4111

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2010年02月13日

D研究所会議と開きつつあるD工房

こんにちは。渡辺菊眞です。

 高知はまだまだ寒い日があるものの、時折「あたたかい」を通りこして暑い日なんかも混じりはじめました。昨日は木の葉が強風で渦を巻いて舞い上がり、春の到来をつげていました。

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 さて、話は少し前に戻りますが、先月末に奈良のD研究所で今年度の企画会議を行いました。東アフリカ・エコビレッジの今後、ヨルダン事業の整理、そして「太陽の家」の本格的展開や新規プロジェクトなど、盛りだくさんな内容で議論を進めました。上はそのデスク風景です。

kaigi01+.jpg

 小生を含む研究所の三名がうつっていますが、資料は4部あるようですし、眼鏡がひとつ置いてあります。そして三名以外に撮影者がいるわけです。実は今回の会議は来期から高知でD地域空間計画工房(通称:D工房)の工房長をつとめる高知工科大学大学院の片岡くんを加えての開催だったのです。会議としても来期の両機関連携についての議論も進めました。

 さて、そのD工房ですが、、

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 高知に小さな平屋を借りて4月に本格始動します。上の写真を見てわかるように、
家具等もそろいはじめ、後少しで業務始動可能な様態です。当地に典型的な平屋家屋で
敷地も120坪あります。内部外部空間ともども、いろいろできそうですし、するつもりでいます。

 日本家屋におなじみの神棚があります。D工房の神棚には、、、

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 なんとも珍妙なものが鎮座しています。知る人ぞ知る、宇宙恐竜:ゼットンです。
初代のウルトラマンの最終回に登場し、なんとウルトラマンを葬ってしまった伝説の怪獣です。その回に涙した少年も少なくはないはずです。

 D工房長は、ゼットンのごとくピンとして強くありたいと願って、神棚に祀っているわけです。なんとも頼もしいことです。

 D研究のこれから、始動直前のD工房ともどもよろしくお願いいたします。

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2010年01月17日

石。そして土、そしてそして木。

こんにちは。渡辺菊眞です。
寒い日々が続きますが、時折、暖かいと思える日が混ざったりして、すこしずつですが春の近づきを感じています(フライング気味に)。

 さて、今回は奈良県の飛鳥という土地にある石たちを紹介いたします。D研究所の歳末会議開催のため、年末に高知から奈良に戻ったわけですが、それにあわせて飛鳥に探訪したわけです。飛鳥は奈良盆地の南端にある盆地の端の極小盆地ともいえる土地であり、現在はそこに農村が営まれています。ただ、古代にはここを舞台に都城(平城京みたいなグリッド企画の王都)がいくつも営まれた古都でもあるのです。

 ここには、古墳や謎の巨石が目白押しで、奈良生まれの小生は小学生のころからよくここに探訪して、巨石によじのぼったり、古墳の石室で昼寝(今思うと、なんともまぁ、、)したりしてました。また、最近では研究所に遊びにきたお客さんを飛鳥に案内したりするなどしてましたが、今回は、4月から高知で始動するD地域空間計画工房(D環境造形システム研究所の双子機関)で工房長をつとめる片岡佑介くん(現、高知工科大学大学院生)をつれての探訪となり、小生としては3年振り、片岡くんは勿論はじめての飛鳥行きとなりました。

kofun-sekishitu.jpg

 これは丸山古墳の石室内部。フリーに石室に入れるのが奈良の古墳のよいところ。きれいに切り出された整形の巨石が隙間なく積み上げられてます。

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 これは石舞台古墳。あるときに盛られた土がはぎ取られて石室が露出したわけですが、その様相が「舞台」に見立てられて銘々されたものです。おそらく飛鳥でもっともポピュラーな観光地のうちのひとつです。

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 地上に組まれた石の隙間から石室をのぞきこめます。石室の天井は結構高いのがわかるかと思います。

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 石室内部。天井にのせられた石は相当な巨岩です。

butainaibu.jpg

 これらの他にも、飛鳥には石室の中に入れる古墳が多くあります。当方が2001年に土嚢ドームを初めてつくりあげたときに、その内観が、古墳石室内部に似ており、(石室で昼寝していた小生としては)不思議な親近感を覚えたのを思い出します。

 ここまでは古墳のお話でしたが、次は巨石。

iwabune-zenkei.jpg

 これは「益田の石船」。スケールを比較するものがないので、大きさがわかりにくいですが、高さはゆうに4メートル超えます。飛鳥の石のなかでも随一の巨大さを誇ります。小生が子供のころから最も好きな巨石でもあります(あんまり観光客おらんし)。

iwabune01.jpg

 その上部がこれ。正方形の二つの穴がきれいに穿たれ、溝が刻まれています。用途は不明ですが、天文観測装置、占星台、呪術儀式の舞台など、さまざまな推測がなされており、いまだその真相はわかりません。ちなみにこれを見るには10m引いた位置からダッシュして一気に上まで駆け上がらなければなりません。片岡くんは一発クリア、小生は悲しくも二回の途中失速失敗のち、ようやく三度目に登頂しました。

 さて、なにはともあれ、いつきてもワクワクさせられるのが飛鳥探訪なのですが、その道中で、ボロボロの廃屋に遭遇しました。

mokuboroboro.jpg

 本気でボロボロでフニャフニャですらあります。木造家屋は住人がいて大切に住み続ければ長い時間存在できますが、住人不在となると急速に傷み、ボロボロに朽ち果て消滅していきます。さっきまで、永遠に不変な存在に見える石たちを見てきたので、そのことが異様にくっきりと感じられました。

 同行の片岡くんが「石は地球そのものともいえるが、木は地球の一番表皮にあるもの。その中間が土なのかな」と漏らしてましたが、小生もそんなことを感じてました。石はいったん土に埋もれても、ある時に、ほとんどそのままの姿で掘り出されます。彼らは平気で長大な時間を超えていきます。というより彼らが持つ時間は我々の想像を絶します。そんな石に比較すると木は「上物:うわもの」といわざるをえないほどはかなく弱いです。石を扱う集団には古来から神秘思想が育まれますが大工集団にそういったものはないかと思います。それがいいとか悪いではなく、永遠ともいえる時間が凝集された石に神秘を見いだすのはある意味自然なのかと感じます。

 日本人である我々にとっては木で包まれる空間が所与のものとしてありますが、それを支える土、そしてさらにその奥にある石といった、地球にあるものたちをトータルに考えた上で建築のあるべき姿を再構築する必要があるのではないかと改めて感じました。現に石の構築物がこの国にもあったわけですし、石垣なども含めればほん最近まで石造構築物は身近にあったのですから。

 昨年、石造建築にてヨルダンのコミュニティーセンターを建設し、2001年から土嚢建築を通して土に関わってきたことで、日本人としては通常感じにくい土や石という存在にたいして建築家として正面から向き合わざるをえなかったわけですが、今回の飛鳥探訪を経てよりそんなことを考えてしまいました。目指すべき「Dの建築」のヒントはこんなところにあるのでは?とおもっています。

 それでは今回はこのへんで。

asuka-yugure.jpg

追伸、真冬の飛鳥の夕暮れです。この日はとてもきれいに晴れた冬の日でした。
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2010年01月09日

記事の更新と電子新人さんの紹介。

 みなさん、こんにちは。渡辺菊眞です。

 小生、新年早々、風邪をひいて熱をだしてしまいました。年末、年始と移動ばかりだったかもしれないですが。早く治したいところです。熱なんかを出すのは2007年、東京出張中に突発的に40度以上の大熱出して以来です。参りました。気をつけたいと思います。

 さて、電子書籍「建築にさかのぼって」の記事を更新いたしました。ご覧いただけたらと思います。

 2-2 東アフリカ・エコビレッジプロジェクト
8shikichi.jpg 

 あと、D研究所の電子部門(?)に加わった新メンバーを紹介いたします。
研究所の電子助手の、D.桜良[sakura]さんです。

sakura0109.jpg

  彼女は「Dの扉」を開け閉めするのがお仕事です。いま、わたしたちの前には、わたしたちが実体をもって活動している実世界と、もう一つの世界:電子世界があります。桜良さんは、電子世界から、わたしたちの活動を一生懸命サポートしてくれそうです。

 実体ある世界、平行してある電子世界、双方から、ワクワクする空間の創造を目指していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。




posted by 渡辺菊眞 at 21:47| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月26日

D-Chronicle:D研究所年代記。

 こんには。渡辺菊眞です。

 師走ということで何かとバタバタしている今日このごろです。

 さて、今日はwebの更新についてのお知らせです。D研究所のwebsiteに「D−Chronicle」という地〜味〜なページがあります。地味過ぎて、当方も2007年分を遥か昔にupして以来、全くいじってなかったのですが、地味とはいえ、D研究所の歴史をつづるページ。このままではいけません、ということで、一気に2008年分、2009年分をupいたしました。

 関連するblogや掲載誌、関連websiteなども記事とあわせてのせてますので、是非ご覧ください。改めてみると、バタバタしながらもいろんな地域でさまざまなことをやってきたんだなぁ〜と、少々ですが、感慨深くなりました。

 D−Chronicle D研究所年代記

 今年も残すところ、あとわずか、みなさま、よいお年をお迎えください。
それでは、また。
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2009年12月20日

電子書籍:「建築にさかのぼって」

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 昨日お知らせした小生執筆のエッセイ:「建築にさかのぼって」ですが、D研究所のWEB上で電子書籍として、紹介させていただくことにいたしました。

 D研究所が目指す現時点における建築の骨格がここにありますので、よろしければ読んでいただけたらと思います。

 全体ではかなりの長文ですので、1週間につき1節ずつご紹介できたらと思っています。

 初回として、

1、はじめに
2、実践の風景から:西インド震災復興住居モデル建設

 をUPしています。当方が土嚢建築にかかわった最初のプロジェクトであり、当方にとって建築の鍵となる「泥曼荼羅」の重要性を深く感じたプロジェクトでもあります。

traverse10上では無理であったカラーの図版や、未掲載の図版も紹介しています。いちど覗いてみてください。

電子書籍:「建築にさかのぼってーBack to an Architecture-」

05earth-mandala.jpg

上はインド泥曼荼羅。現地NGO代表の故タンナさんが、その実現を深く希求した計画です。
posted by 渡辺菊眞 at 14:52| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月19日

「建築にさかのぼって」@traverse10

こんにちは。渡辺菊眞です。

 昨日の早朝、高知の河川敷を歩いていたら、北側の山にうっすら雪が積もってました。
関西から離れたことがなかった小生は、高知のことを勝手に「もっと南国」だと思っていたので、「まっとうに」寒い冬にややとまどいを感じる今日このごろです。

 さて、今回は小生が執筆したエッセイについてのお知らせです。「建築にさかのぼって」という題目で、「traverseー新建築学研究」の第10号に掲載されてます。

 「traverse」は京都大学「建築系教室」を中心とするグループを母胎として、その多彩な活動を支え表現するメディアとして2000年に創刊された機関誌です。今年で10号を迎えます。「traverse」という命名には限定された専門分野に囚われず、自由で横断的な場を目指したいという願いが込められているようです。

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 小生が執筆した「建築にさかのぼって」ですが、基本的には2001年から世界各地(インド、アフガン、ヨルダン、東アフリカ)で実践してきた土嚢建築と、2002年に太陽建築研究所に修行させていただいたことをきっかけにゆっくりながら取り組んできた太陽建築研究ー太陽の家ーの軌跡をまとめながら、それに考察を加えたものをベースにしています。

 そして、ここが肝心なのですが、約10年の特殊な実践を経ることで、建築において何が思考しうるのかということです。ここでは詳しくはいいませんが、小生はキーワードとして「中心」「地形」「重力」「宇宙」という4つの言葉を挙げています。

 これは古来から建築にとって欠くことの出来ない根源的な要素です。それゆえに「建築にさかのぼって」なのですが、それだけでは単に過去へ遡行するだけです。それではあまりにも退行的で、わざわざ取り上げるまでもありません。ここではこの4つの要素に新たな可能性があることを指摘しています。

traverse-inner.jpg

 いま、この時代に「建築をめざして」(お気づきと思いますが、これはコルビュジェの名著 toward an architectureです)いくならば、まずは「建築にさかのぼってーback to an architecture」いくことが必須であり、その根源的な位置からさまざまな問題と可能性を現代に投げ返す必要があることを指摘しています。

 その胸のうちには現代建築が、明らかに根源から切り離され波間に漂いキラキラ光るペットボトルのようだという思いがあります。みなさんはどう思われるでしょうか?

 いずれにしても10年の軌跡をまとめられたのはとてもとてもありがたかったです。ふと思うとD研究所のホームページ、upが滞ってます。これはいけません。ということで、一気にアップする予定ですので、乞うご期待。ではまたよろしくお願いします。

 


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2009年11月12日

ミニ土嚢ドームの解体。

こんばんは。渡辺菊眞です。

 高知は冷えるときはぐっと冷え込み、雨のときは「高知降り」ともいえる外で歩くに歩けない(傘が完全無意味な)土砂降りです。朝晴れててもいつの間にか土砂降りなんてこともよくあります。

 さて、高知工科大学のオープンキャンパスで7月に学生と一緒に積み上げたとても小さな土嚢ドームを先日解体しました。

 世界各地で数々の土嚢ドームを積み上げてきましたが、解体現場をみるのはこれがはじめてです。当方が関わった土嚢ドームの第1号「河口ドーム」(ずっと共同で土嚢プロジェクトをすすめている凄腕の造園家かつ土嚢建設技術者:河口さんの名前とったもの)のみは敷地の事情で解体したのですが、その現場はたちあえなかったので、今回が本当に最初の解体経験となったわけです。ここではその模様をお伝えします。

 とある事情で、写真が著しく荒っぽくって小さいですが、ご了承ください。

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 解体はドーム頂上部から順々におこないます。というより、この順序しか無理なのです。すでに解体がはじまっています。

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 土嚢ブロックをひとつずつ積みおろして木の台にぎっしり丁寧につみあげていきます。

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 台に限界重量までつみあげると、クレーンでもちあげ、トラック荷台に積み上げていきます。

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 全部で木の台は三基。丸い土嚢ドームは三つのキューブになってトラック荷台に鎮座。
計200個で積み上げれた土嚢ドームは完全に解体されました。

kaitai06.jpg

 そして、3つの土嚢キューブを載せた車は、大学を去っていきました。思えば、土嚢を積むための土もトラックで運ばれてきました。時間を圧縮逆転させたような風景が二時間あまりで展開されました。時間の逆転を少し不思議に思いつつ、なくなった土嚢ドームをなんだか寂しく思うそんな時間でした。

 また高知で、今度はもっと大きなドームを作りたいと思ってます。
それでは、今回はこのへんで。




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2009年10月25日

高知:秋からの展開と、D研究所の展開。

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 高知は本格的に秋に突入し、朝夕はずいぶんと冷え込むようになりました。
ずいぶん前に報告した高知のLINE研究会、先日、高知工科大学で開催された学祭にて、まずは第一次展示会を行いました。

 線形領域:土佐山田のLINEに着目し、まずは全体空間の構成を解明。
そうすると、この全体構成を規定するようなウラ構成があることがわかってきました。
今回は、このウラ構成に着目して、ここを改変することで全体空間の問題点を解消し、より魅力あふれる風景が広がるような提案をメンバーが作成、発表した次第です。

 今回は、個々の作品紹介はしませんが、まずは本格的な空間提案の基礎フレームと基礎イメージを提示したといった段階です。

 今後は、これらをより詰めて、全体空間模型の制作や、部分空間の巨大模型制作などに進み、年度末にはギャラリーにて展示会を開催する予定です。

 そのほかにも高知を舞台に、積極的な活動を展開する準備を進めつつあります。
また、そんな活動の断片も、すこしずつ報告いたします。

 D研究所のAFRIKA文化再興支援活動も、少しずつですが進行中です。

 黒い研究員:江崎は、スマトラ大地震の復興支援に飛び立ちました。こちらの活動に関してもまた、彼の帰国後に報告できたらと思います。

 小生が持続的に進めてきた日本建築空間の執筆もまとめに突入していきます。
秋になり、さまざまな活動が大きく動きつつあります。今回はそんな、近況の報告です。

 それでは、また。次回の報告をお待ちください。




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2009年09月07日

Earthbag Building Blog

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 高知はまだまだ日差しが強いものの、時折、涼やかな風が吹抜け、一日一日秋にむかっていることを実感できます。

 さて、前回、EarthbagBuilding.com にて、D研究所の土嚢建築プロジェクトが取り上げられていることをお伝えしました。

 今回はその続きです。同サイトのホストであるKelly Hart氏が、当方のプロジェクトについて、彼のブログーEarthbag Building Blog-でも改めて紹介してくれてます。

 是非、ご覧ください。この夏のウガンダ活動報告も近々行います。お楽しみに。


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2009年09月02日

EarthbagBuilding.comにて。

みなさんこんにちは。渡辺菊眞です。

 またまただいぶんご無沙汰になってしまいました。先月の20日にウガンダから帰国したのですが、その間にたまってしまった業務の処理などで何かとバタバタしておりました(いまだ継続中ですが)。帰国したら梅雨はあけていたものの、どこか寂しげな日差しになっており今年は日本の夏を経験せずして秋へとワープしてしまった気がしています。

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 さて、ウガンダでの活動はまた、追って報告しますが、今回は少し別件のお知らせです。
土嚢建築をはじめとする自然建築の権威、Kelly Hart氏が編集しているWeb site、「EarthbagBuilding.com」にD研究所の主要な土嚢建築作品が掲載(up)されました。

 このページは世界各地で、さまざまな主体によって実践展開されている土嚢建築の代表的な試みを集めたものです。当研究所の以下の実践がとりあげられています。

1、東アフリカエコビレッジプロジェクト
2、ヨルダン南シューナ地区コミュニティセンター
3、ウガンダ:イセゲロ村のモデルドーム
4、「泥曼荼羅」ーマンダラ型土嚢村落計画ー

 このうち、三つ目のイセゲロ村のモデルドームは今年の夏、ウガンダにて建設したもので、最新作となります(上の写真が完成したモデルドームと村の女の子:エリザベスちゃん)。これはまだほんのスタート地点でここから長い時間かけてプロジェクトは進んでいきます。これについては次の機会に詳しく報告します。

 このweb-site、世界各地から数多くのアクセスがあるとのこと。D研究所ですすめてきた活動を世界各地の人々に見てもらえることになるので、とてもうれしく思っています。

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追記 上の写真は、昨年夏から建設継続中の東アフリカエコビレッジのモデルハウスです。あれから継続的に工事は進み、現在8割がた完成しています。これから電気工事、仕上げ工事がはじまります。現地に立つのは一年ぶり。ずっと懸念していたのでこれをみたときに気持ちは、簡単にはいいあらわせないものでした。これからも工事は続いていきます。


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2009年08月04日

高知でのLINE研究会発足。

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 いよいよ、本日ウガンダへ出発ですが、その直前にひとつお知らせ。
小生、4月から高知工科大学へ赴任しておりますが、そこでの出来事を全くお伝えしておらず、「本当に高知にいるのか」という疑惑(?)が発生しつつある今日このごろです。

 そこで今回は大学の有志で発足したフィールドデザイン研究会のお話をさわり程度に少しいたします。フィールドデザインとは、フィールドワークをして、その地区の魅力や問題点を抽出し、それを提案のヒントにしながら新たな空間の在り方を模索するというものです。昨年、小生が講師として加わった滋賀県立大学での「三巨匠をハメル」ワークショップや、小生が運営委員長をつとめた京都CDLでの「京都地区型住宅設計競技」などと同じ位置づけのものです。

  さて、高知の話に戻りますが、大学は高知市にあるのではなく、香美市の土佐山田にあります。高知市はそれなりの大きな城下町で、そこでフィールドワークをすれば、いろんな可能性を紡ぎだせるとは思うのですが、その前に大学のある、より身近な場所で何かできないかと考えました。

 そこで土佐山田の地図を引っぱりだし、それを学生とともにじっくり眺めてみました。
基本的には東西方向の街路が全体を支配する線形都市(都市は大げさかも)であることがすぐにわかりました。中央を背骨のように走る国道とそれに並行する旧街道、北部のJR線。そして最後に物部川の河岸段丘線です。最後のラインにより北と南は崖でくっきりとわかれてしまいます。その他の東西ラインは、地方都市によく見られるものですが、河岸段丘はこの土地の大きな特色をなしてます。あとはこれらのラインとは別に物部川からひかれた水路網が地域を縦横無尽に走ります。

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 このようにラインで規定されるのが土佐山田であることがわかってきたのですが、このライン、かならずしもこの領域を良好な環境に導いているわけではなさそうです。そこで
土佐山田のラインの在り方に改めて着目して、そこに新たな空間改良装置を設置することで土佐山田をより魅力ある空間へと変革しようではないかという機運が高まってきました。

 そうして、発足したのが「土佐山田LINEーPROJECT」です。この主旨に興味を持ったデザイン関係3研究室の有志がメンバーとなっており、小生は監督としてこの活動に積極的に加わっています。先日、このメンバーとともにまずは第一次調査にくりだしました(14キロにわたる前領域歩行調査)。そこでは予想以上に面白い発見がありました。

 これらの発見をもとに、どんな提案が可能かを、まずは学生メンバーだけでこの夏、即日設計をおこないます。そこから「NICE LINE」への道が開けるのを期待しています。ウガンダからの帰国後、それら提案を見るのが楽しみです。またプロジェクトの進行状況をお伝えできたらと思います。それではウガンダへ行って参ります。

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 追伸、土佐山田の水路体系は人工ラインそのものです。巧妙に分岐させつつ見事に田畑を潤していきます。ちなみにこの記事に挿入した写真たちは、このプロジェクト監督代行(修士二年の学生さん)の撮影したもの。勝手ながら使わせていただきました(ありがとうございます)。


 

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2009年06月09日

ユートエコトピア

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 早いものでもう6月。梅雨の動向はわかりませんが、高知は雨や曇りの日が多いです。
晴れるときは日差しが強烈なのですが。

 さて、今回は先月半ばに出版された井上昭夫編「ユートエコトピア」という本について紹介したいと思います。

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 井上昭夫氏は天理大学教授であり、当方が土嚢建築にたずさわるきっかけを作ってくださり、その後、氏を筆頭とする天理大学と共同で世界各地で土嚢建築を通した国際協力プロジェクトをいっしょに展開させていただいた恩師ともいうべき人です。氏と共同との土嚢建築プロジェクトももう今年で10年になります。

 この本では、そんな土嚢プロジェクトはもちろんのこと、氏がそれ以前から持続的に取り組まれてきた地球環境改善活動の軌跡と、その思想、そして氏が関わってきたさまざまな分野の著名な研究者や作家によるユートピアへ向けた世界、宇宙、人間に対する深い洞察がまとめられています。ちなみに下図は「生態環境都市」を唱えアリゾナの地でユートピア実現に向けて飽くなき挑戦を続けている建築家:パオロ・ソレリが描いたアーコサンティーと、宇宙船モデルです。井上氏は90歳を超えてなお挑戦を続けるソレリに今春、アリゾナまで訪れ、会談しています。このほか心理学の分野では河合隼雄氏が執筆しているのをはじめ、本当に興味深い論考が綴られています。

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 小生もこの本の第四章の一節を執筆しています。題して「「泥曼荼羅」の展開と深化ーユートエコトピアのカタチまで」です。小生がはじめて手がけた土嚢建築:「2001年インド西部大地震の復興住居モデル」設計の時点をスタートに、住居が曼荼羅状に複合した集落計画の重要性に気付いたエピソード、そして、それをアフガン、アフリカを経て進化させてきた過程がつづられています。

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 上図はアフリカ泥曼荼羅に仕込まれたカタチの仕組みの解説です。

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 そしてこれは東アフリカエコビレッジ建設を経て、次なるステージへと進んだ「ユートエコトピア」の集落モデルです。その詳細はここでは述べませんが、「癒しのカタチ」である曼荼羅が、住居スケールから集落スケール、そして集落共同体スケールにわたって入れ子構成になっています。人が住む最小限単位である家でも、家が集まる集落でも、集落が集まった大きな単位でも、そこにいる人々がやすらい癒される空間となれるよう計画しています。

 現在、D研究所では建設完了に向かいつつあるヨルダンコミュニティセンターをはじめ、昨年から続いている東アフリカエコビレッジ建設、そして今年の夏からはじまるユートエコトピアモデル建設と、大きな動きのなかで活動しています。

 そのそれぞれが、当地の未来に花を咲かせる種子になってくれることを願っています。
またそれぞれの活動は動きがあり次第、報告いたします。


 
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2009年05月11日

模型制作。東アフリカエコビレッジ。

はじめまして。荒木健です。

 今年度から黄色の研究員としてD研究所の一員となりました。Dの様々な活動のサポートをがんばっていきます。

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 今日は現在行っている作業について紹介します。上の写真の模型は見たことがある方もおられると思いますが、昨年8月に完成した東アフリカエコビレッジの住棟模型です。完成直後、Dの赤い所長:渡辺菊眞とウガンダに渡り、様々な人にその魅力を伝えてきました。しかし、渡航中に壊れてしまった箇所があるので、今回修復しています。

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 前回は断面模型として作成したのですが、写真を見ても分かるように断面線が消えてくっついています。修復と同時に断面の接合も行ったのです。それにより、断面模型のようなダイナミックな魅力は減りますが、断面線やすき間のない模型はスタティックで住棟完成の風景を伝える魅力は増したと思います。そして、もう一つ大事な模型が残っていました。

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 これは、東アフリカエコビレッジの全体模型です。黒の研究員:江崎氏が制作していた住棟4つからなるクラスター模型を引き継ぎ、全体模型を完成させます。140cm×140cmの大きな模型で、完成すればアフリカの大地に描かれる風景の魅力を思う存分伝えてくれるものになりそうです。

 これからDで多くの活動を行っていきますが、まずは今回紹介した初業務で、建築の魅力をしっかり伝えられる模型を作っていきたいと思います。

 
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2009年04月01日

2009年度始動。Dの新体制。


 こんにちは。渡辺菊眞です。

 本日は4月1日。とうとう2009年度がスタートしました。
それと同時に小生は、本日付けで高知工科大学社会システム工学教室の准教授として辞令を受けます。土木と建築にマネジメントが加わるとてもユニークな学科です。ちなみに小生は建築設計と建築史を担当します。

 というわけで、基本的に小生は高知にいることになりますが、D研究所はいままでと同じく奈良に拠点を置きます。

 現在、ヨルダン南シューナ地区は建設の山場。ここは江崎研究員が監督にはりついて奮闘しています。

 高橋研究員は滋賀で葬送地博士研究の最終局面を迎えています。

 また、今年度から、黄色い研究員:荒木氏が加入し、設計はじめ、Dのさまざまな研究活動のサポートをしてくれます。

 小生も、ヨルダン竣工直前に再度、ヨルダン入りし、また夏には東アフリカに行く予定でいます。また高知にいるからこそ可能なことも模索していくつもりです。

 それぞれが距離的に離れた場所にいますが、そのなかで、今後より質の高い活動を展開していけたらと思います。ワクワクするような環境建築、すなわちD環境建築の構築に向けて今後も邁進していきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

 D環境造形システム研究所主宰 渡辺菊眞



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2008年10月01日

帰国して二週間。ウガンダと日本を想う。

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こんにちは。渡辺菊眞です。
ここしばらく雨続きでしたが、本日はきれいな秋晴れです。気持ちのいい季節になってきました。

 さて、なんやかんやとしていたら、もう10月になってしまいました。ウガンダから帰国したのは9月16日。もう二週間が経ってしまってます。帰国してたまっていた業務などをせっせとこなしてましたが、最初の一週間は時差ボケ(六時間の時差です)でポンコツ状態。そこから一週間は、時差ボケならぬ環境ボケ(日本とウガンダとの、もろもろの状況の違いから来るボケ)で、やはりポンコツ感溢れる感じでした。ごく最近になって時差ボケも直り、ようやく日本の生活に慣れてきました。しばらくすればまたヨルダンに渡航ではあるのですが、、。

 冒頭の写真はウガンダでのエコビレッジユニット建設のものです。
写真の彼等はキクング村の高校生です。昨年ウガンダでバイオマスを建設した(当方は昨年は渡航してません)のも彼等を含む、同じキクング村のメンバーです。昨年建設したとはいえ、今回のは規模がまるで違います。大きなドームで高さ8メートル強もあり、ケタ違いの大きさです。しかし、彼等の技術吸収はすさまじく、最初の小さなドーム一棟を建設後、その建設技術は飛躍的に進歩し、正直驚きました。

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 高校生ということからわかるように、彼等は建設業者でないことはもちろん、社会人ですらありません。また彼等の多くは孤児です。彼等はこの技術を身につけて、将来土嚢建築のプロになってウガンダでさまざまな建設をこなしたいといっていました。そういった目的意識があることも彼等の飛躍的技術進歩と当然関わってるのだと思います。

 ウガンダは高原で気候は常に温暖なのですが、日射しは強烈です。ですので作り上げたドームは、完成次第プラスターで固めなければいけません。土嚢袋は日本よりもはるかに早く劣化してしまいますので。上の写真にも小さなドームにはプラスターが施されているのがわかると思います。当地の左官職人さんは曲面を塗るのがとても上手です。曲面を左官するのはやっかい(しかも土嚢は表面が凸凹です)なはずなのですが、涼しい顔で綺麗になめらかにしあげていきます。また、土嚢積みに関しても曲面を積むのが非常にうまいです。

 ここで、気付いたのですが、アフリカの住居は元来は円形、またアフリカのコスモロジーも基本は円であるといいます。現在ウガンダでは彼等の住居は矩形平面のものがほとんどで、円形住居はめったにお目にかかれないのですが、それでも彼等の血あるいは遺伝子には円に対する強い親和性があることを感じました。

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 さて、現場の敷地ですが、この土地は在日ウガンダ大使から提供していただいたものです。そのこともあって、連日さまざまな方が視察にこられました。そして、大きな反響を得ました。概して「この建築は美しい。素晴らしい仕事だ」といった感想で、どうみてもお世辞とかではなさそうです。これに関しても、円形の空間に対する親和感、円を美しく思う審美眼が働いていることを強く感じました。

 建設の方は、当初の予定をはるかに超えて進みましたが、大きなドームを着手する直前でタイムアップ。やぬなく帰国。施主である大使も同じく日本へ。現場はこの後も彼等が建設を進めていきますが、ここからが最も難しいゾーン。当方は気掛かりで仕方ありません。ヨルダン渡航にあわせて、今年に再度現場入りしたいと考えています。

 現場は土嚢建築ならではの楽しさと難しさがあり、特に今回はその規模が大きいこと、そして構成も複雑であることから、幾度も困難な状況に陥りました。その都度肝を冷やしましたが、なんとか克服して進めてきました。何か問題が生じても大きく落胆せず、時には土嚢を積みおろして再度積みなおすような場面でも明るく建設をすすめていく彼等のエネルギーに大きく救われました。また彼等の中にある「円のコスモロジー」が光彩を放つのをみて、その姿に強く惹かれました。

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 さて、ここでいきなり話が変わりますが、帰国後、主にとあるコンペに取り組んでいます。ある寺院の消失した本堂の再建案を募るというもので、提出チームの監督のようなことをやってます。アフリカでは土嚢のことで頭がいっぱいだったわけで、そこから帰国していきなり木造軸組。しかも古建築。その部材の多さと圧倒的な複雑さに目眩に襲われました。目に見える架構と、隠れた架構、そして単なる飾り(化粧材)の複雑極まりない取り合い。木造の国:日本としては当たり前なのでしょうし、当方も木造建築の設計はやってきてますので驚くには当たらないのでしょうが、単純明解な土嚢建築とのギャップが激しすぎて、帰国直後は幾度も頭がフリーズしてしまいました。

 それでも無理して毎日これに取り組んできた結果最近ようやく木造感覚が戻ってきました。円のコスモロジー、円の住居、積石造への親和性を、無意識のレベルといっていいほど深いところで色濃く持っているウガンダの人々。帰国してようやく木造を思いだしてきた僕。
僕の血に流れている無意識レベルのコスモロジーや空間は本当はいったいなんなのだろうかと、ふと考えてしまいます。このコンペに取り組む過程で木造の空間に関しては何かひとつの結論を出したいと思っています。まだどんな結論かはわかりませんが。

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 建設中の大ドームから仰ぎ見た月。何故かこれを見た時に日本の風景を思いだしました。
posted by 渡辺菊眞 at 16:49| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月05日

2008年上半期終わりに思う。

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 8月15日からのアフリカ渡航に向けて黄熱病などの予防接種をしたせいか、身体全体がダルイ日々がしばらく続いたのですが、ようやく快復してきました。

 緑の隊員:高橋からの報告にあったように、先日8月3日には、神楽岡スライド会にて「土嚢と建築」なる題目で講演してきました。

 「左官職人かつ建築家」というユニークな存在で、大学時代の同級である森田一弥氏から依頼を受けたことから始まったお話だったのですが、土嚢建築に出会ってからもう8年。もともと自分で開発した工法でもなく(開発者はイラン人建築家:ナアダ・カリーリ氏)最初は土嚢に振り回された感がありましたが、数々の設計施工、計画案の制作を経て、ようやくこの工法ならではの空間構築法を編み出せる段階にたどりつきました。また、単純な工法ゆえに逆にその根源的な意味を自問自答しつづけて、そこに秘められた建築的意味についての思考も深まってきました。なので、それらに関して一度まとめる必要があると思っていたところでした。そういう意味でもこの時期の講演依頼はとてもありがたいものだったのです。

 昔から森田氏には並外れた嗅覚がそなわっており、こちらが想像もつかないような場所に飛び込んだかと思ったら、急きょ帰還して、結局は建築の普遍的かつ先進的な場所に立っているという、たいへんな傑物でした。今回もこちらの「機が熟した」状態をその嗅覚で探り当てたのか、とても絶妙な時期の依頼だったわけです。森田氏の動物的嗅覚が探り当てるであろう、こちらが予想できないような建築の展開を思うとワクワクします。彼には今後も驚かされそうです。

 この講演では「土嚢建築をとおして、いかに建築の普遍、根源へとたどりつくか」を最も伝えたかったのですが、それをまとまった形でお話する機会がもてて本当に良かったとおもってます。また、8年間ともに土嚢建築に取り組んできた凄腕の土嚢建築職人:河口尊さんにも発表に加わっていただけたことで、彼にしか伝えられないことをお話しいただき、講演内容に厚みがでたこともありがたいことでした。

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 さて、この講演のため神楽岡に向かう時に、研究所のポストに雑誌が送られてきたのを発見。先日、取材を受けた内容が記載された「建築ジャーナル8月号」です。当方、8月15日に東アフリカ入りして、エコビレッジ住棟建設を行い、9月半ばに帰国、その後10月第二週からヨルダン入りして別件の建設に入るのですが、これはそのヨルダンで建設する女性のための研修施設に関する記事です。この研修施設はヨルダンで現在壊滅的な状況にある石造工法を採用し、それに土嚢工法をミックスさせて建設します。彼女たちが自律していくための活動拠点となるとともに、廃絶寸前にある伝統工法の継承のための基地となることも求められます。ヨルダンにとってのちのち大きな意味を持つ建築になるのではないかと思っています。
※※この8月号特集は「設計事務所独立指南」で、森田氏もユニークな若手建築家として紹介されていました。

 こんな風に、目前に迫った海外の二つのプロジェクトのため、かなりおおわらわな状況ではあるのですが、僕にとっては2008年の大きな節目を向かえています。これはもう10年以上続いているのですが、一年のうち前半は大学の非常勤講師で講議科目を担当しているので、この時期は机に座って大量の本を読み講議用資料を作成する時間が多いのです。特に現在抱えているのは「建築論」の講議ですので、「形態の背後にある原理・観念」といったことに向き合うことになります。今年の講議は先月に終了したのですが、週一とはいうものの、その準備はたいへんでした。

 ですが、一年のうち、その半分を建築の原理について考えることができるというのは、とてもありがたくもあります。思えば、土嚢建築という最もモノモノ(物体)しいものを扱う建築に携わりながら、それでもその建築的展開を粘り強く考えようと思ったのは、この生活リズムのせいかもしれません。いま、執筆を続けている「日本建築の空間構成」の研究も、もとはといえば大学で「日本建築史」を教えていたことがきっかけとなったものでした。

 そんな「建築論」的な前期をようやく終えて、海外プロジェクトの実践から後期がスタートします。この実践を経た結果、来年の「建築に向けての思考」がより深い位相にまで達せれたらと思っています。
物体と観念の間に螺旋的上昇を発生させて未知なるステージへと向かうこと。それが僕の、そしてD研究所の願いです。

 海外渡航までの業務はまだまだ山積み。頑張ってこなしたいと思ってます。

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posted by 渡辺菊眞 at 10:23| Comment(1) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月04日

神楽岡スライド会「土嚢と建築」を終えて

 暑い日が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
 緑の研究員、高橋です。

 Dのホームページでもご案内しましたが、昨日は京都の神楽岡工作公司にて「神楽岡スライド会」が開催されました。神楽岡工作公司とは京都を拠点にさまざまな職能の方々が集結して創作活動をされているグループで、そのグループのみなさんを前に、Dの赤い所長の渡辺菊眞が「土嚢と建築-From Earth-bag shelters to Architecture-」と題して講演をしてまいりました。


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 写真は講演会開始前の様子です。右手前にいらっしゃるのは、建築家の森田一弥さん(森田一弥建築設計事務所)。今回の講演会の依頼は森田さんによるものでした。

 気になる講演はというと、土嚢建築の技術習得にはじまり、工法、これまでに建設されたものの紹介、そしてウガンダの東アフリカエコビレッジプロジェクトの紹介などなど、土嚢建築盛り沢山の内容でした。ところどころで質問が飛び交い、終始和やかなムードで進んでいきました。

 さらに、今回の講演にあたって強力な助っ人の方にも登場していただきました。写真左にいらっしゃる、造園家の河口尊さん(天理教営繕部)です。


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 河口さんは通称土嚢建築職人で、世界で三本の指に入るほどの技術の持ち主と言われています。これまでに数々の土嚢建築の建設に職人として携わってこられ、その軌跡を特に職人の視点からお話していただきました。中でも、実際に建設できるようになるまでの苦労話はリアルかつスリリングなものでした。神楽岡工作公司のみなさんには興味深く聞いていただけたのではと思っております。

 さて、盛り沢山の土嚢建築の紹介が終わって、そろそろ講演も終了かと思いきや、いやいやそんなはずはありません。Dの赤い所長による講演の締めは、「Dの建築」についてでした。

 土嚢建築はこれまで幾多の建設を重ねることで、技術や計画は進化してきました。そして今でも進化しています。土嚢建築はあくまでDのめざす建築の一つであります。われわれは、さらなる研究と開発、そして種々の成果の融合を経て、「すぐこことはるかかなたをつなぐ」建築の構築を目指してまいりたいと思います。
posted by 高橋俊也 at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする