2007年11月30日

エコビレッジ国際会議。発表終えて。

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 こんにちは。渡辺菊眞です。

 もう、1週間近くは経とうかとしてますが、去る11月23日と24日に開催された「エコビレッジ国際会議TOKYO2007」で、当方が設計を行っている東アフリカのエコビレッジプロジェクト(上の図が、その全景です)の概要を発表してきました。プロジェクトの概要に関しては近々、ホームページにアップする予定なのでそちらを御覧いただければと思います。今回は会議に参加しての所感です。

 エコビレッジは平たくいうと、「壊れてしまった人間と自然との関係を再び有機的に結びあわせた生活ができる村」です。そういった生活の実現が、壊れつつある地球環境の悪化をくいとめ、豊かな人間関係をも構築できるというわけです。

 あたり前ですが、「村」ですので、人間が生活することが基本になります。そして、ひとりじゃ村にはなりませんから、人間と人間との関係が重要になります。なのでエコビレッジには共同生活の在り方を問うという問題(コーポラティブハウス、コレクティブハウス)が常にあります。

 そして、人間が共同生活を営みながら、自然とどのような関係を結べるのか?という問いが最大の問題としてあります。荒野と化した大地に緑を取り戻す、豊かな自然を見つめる(風景の問題)、自然からエネルギーをもらう、それを循環させる、そして自然から食料をもらう(農業の問題)、自然を敬愛し畏怖する(元-宗教の問題)などなど。

 ですので、「エコビレッジ」という1単語のもとに開催されたこの会議、蓋を開けると発表された方々の立場はさまざまでした。対象としている地域が違えば問題設定も異なります。例えば日本国内でも過疎の村と都市部では、「エコビレッジ」としての反応は大きく違ってきます。もちろんそれぞれに共通する普遍的なること(=自然と親しみ、ともに生きる)は根太くあります。

 いずれにしても2日間参加して、さまざまな「立ち位置」の存在に大きな刺激を受けました。とても有意義な時間を過ごさせていただけたと思っています。当方の発表も反響が大きく、プロジェクトのよりよい実現に向けて大きなはずみとなったのではないかと思っています。

 さて、どうでもいいのですが、発表を終え、宿に帰るといきなり発熱しました。40度でした。熱にうなされ、うなされたまま朝。やっぱり40度。うなされっぱなしで新幹線に無理やりのって関西へ戻り、それでも40度でした。一度下がってホッとして少しでかけると、また40度(この報告が遅くなったのはこのせいです)。病院にかけこんだところ、何らかのウィルスに感染したとのこと。昨日くらいにようやく熱は下がりました。

 自然との豊かな関係を取り戻す。そう、これは当たり前ですが明らかに常に人間から見た場合の「豊かな」関係です。僕たちは人間なので当然なのですが。「美しい自然風景」もそうです。僕たちは当然、人間だから人間の視点をはずせません。熱にうなされぼんやり思っていました。他の生物にとって自然とは、そして人間とはいかなる風景として、いかなる空間として現象してるんだろうと。それは想像を絶するものではないだろうか?そして、僕たちの美しく思う風景は彼等にとってはひょっとしたら、、、

 物好き(?)にも、僕なんかに巣食って、40度の熱をプレゼントしてくれた、よくわかんないウイルスにはどんな風景が広がっているのだろうか?僕と、どんな関係を結ぼうとしたのだろう?僕のからだを敷地にどんなビレッジを形成したかったのだろう?彼らのみる宇宙とは、、、

 そんなことを朦朧とした意識のなかで思ってました。「エコビレッジ」が現在、地球に生きる上で極めて重要で注目されつつあるのは、僕達が地球をぶっ壊してきて、その結果、極めて深刻な環境問題を生み出し、もはや人間が生きられない場所に地球がなりつつあるからだということに改めて気付かされました。地球からすれば人間の自作自演な活動です。僕らが好き勝手に巣食ったせいで地球はいま40度の熱くらいじゃすまない状態に陥っているわけです。地球からすればもっとも厄介なウイルスにやられてしまったいうところでしょう。

 これからさまざまなプロジェクトを進行させていく上で、このことだけは忘れないでいようと肝に命じた次第でございます。忘れたら、50度くらいをプレゼントしてくれるウィルスがやってきそうですけどね(すなわち御陀仏、昇天)。

posted by 渡辺菊眞 at 18:13| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月18日

計画空間の経験を描写すること。

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 こんにちは。渡辺菊眞です。
ただいま、僕が運営委員長をつとめている京都CDLの機関誌「京都げのむ」の原稿づくりを進めています。

 その内容の詳しいことはまた、別の機会に話しますが、京都の境界領域の独特なまちの風景や、特色あるまちのカタチに適応した住宅-「京都地区型住宅」が今回の特集記事です。

 そこで、その設計手法なども開示されるわけですが、記事の中心となるのは、京都CDLのメンバーが構想した地区型住宅を、あたかもそれが、本当にそこにあるかのように探訪する物語です。

 そもそも建築を設計するときには、構築しようとする空間を頭のなかで経験しながら行うので、別段、これは特殊なことではないのですが、いざ、それを物語として書き留めて、そこに挿し絵を添えてみると、単に頭で思い描いていたのではない面白さと難しさが生じてきます。

 頭の中での自由気ままだったものが、絵や文章として具体化される面白さと、それを第3者にも楽しく経験できるように伝達しなきゃいけないという難しさです。

 悪戦苦闘してますが、これをやりきれたら、今後の空間構想にとって、何かいままでにない方法などを開発できるかもしれないなあ、なんて思ってます。

 また追って、いろいろ報告いたします。

posted by 渡辺菊眞 at 22:09| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月24日

Dの秘密基地レポート その3

きょうはとても暑い一日でしたね。
日本も、昼間はもうTシャツでしゅうぶんな季節です。
でも、調子にのってTシャツ半パンで寝てたら朝方死にそうになりました(^▽^;)
みなさんもお身体ご自愛ください!


さて、今日は例の模型の撮影日でした。。。

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パシャ!パシャ!順調に撮影が開始しました。
ん!?一体カメラマンはだれ???

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赤い所長みずから撮影でした。
「Tシャツ紺色やん!」(;`Д´)/
思わずツッコミですよね。
もうひとり静かに撮影を見守る人がいます、、、

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このTシャツの色!?
はい、間違いなく緑の研究員です。

まもなく、プロジェクト内容が明らかになります。
お楽しみに!

では、このへんで。
posted by 江崎貴洋 at 18:59| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月17日

Dの秘密基地レポート その2

今日の緑の研究員はというと、、
なにやら、PCと長時間向き合っています。
最近、とても忙しそうです。。。

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ん!?緑の研究員の机に、
何やら赤い筆箱があります、、、

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まちがいありません!
これは赤い所長がいます。

posted by 江崎貴洋 at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Dの秘密基地レポート その1

ご無沙汰していました。
みなさん、GWは如何でしたでしょうか。
当方は、みっちりジョグジャカルタ出張でした。。。
強行スケジュール、、、疲れました↓
出張レポートもアップしようと思っているのですが、、、

さて帰国後、毎日、Dの秘密基地に足をはこんでは、

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カッターナイフをつかって、まーるく切り抜き、

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紙ヤスリで磨いて、、

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こんな感じで、だんだん模型ができあがっていきます。
何やらドームやボールトらしきものが見えます。。。
一体!?なんの計画???

まだ内緒です。。。
posted by 江崎貴洋 at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月21日

迫りつつある実利線(小林邸報告001)

 こんにちは。渡辺菊眞です。久しぶりの「扉」です。

 大規模区画整理などに伴う、計画道路敷設などの暴力的な「実利の線」に関して折に触れて話してきました。

 秋田の角館の計画「めぐりめぐる家」もそれに絡むものでしたし、単なるレポートでは、「暴君な実利線。(赤窓011)」のお話がありました。

 今回からの報告もそんな線に絡むお話です。

 天理大学教授で陶芸家の小林正佳先生の家の前に、布留川という小さな川が流れています。

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 写真右手の川が布留川です。また左手の平家木造の家の奥にある2階建ての建物が小林先生の家です。

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 この「うだつ」のついている家が小林邸です。その前に流れる布留川、どうみても水量のない、小川なのですが、来るかもしれない大水時に備えて河川幅を拡張するという計画が奈良県の方から持ちかけられたようです。そうなるとこの川に面する家の敷地は大幅に削られることになります。

 まだ、計画が確定したわけではないのですが、これが実行されてしまう場合は人によると奥行き1メートルしか敷地が残らないなんて事態もあるようです。

 今回、小林先生のお宅を訪問したのは、この河川計画がどうなるかわからないにしても、ひょっとしたら姿を消さざるを得ないかもしれない家を見に来て欲しいとの依頼があったからです。当然家の簡単な実測も行いました。今日はそのレポートとなります。

 家の様相を写真で、見て行くことにしたいと思います。

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1階外観です。赤い扉のあるところから玄関に入ります。

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 玄関を入ると1.5間幅の土間廊下にでます。その右手に6畳と4.5畳の和室があります。土間と和室との高低差は約40cmです。

 この家は築70年です。ちなみに小林先生が引っ越してくる前はここはカレー屋さんだったそうです。

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 2階へ行くには土間廊下を渡って階段へ行かねばなりません。この飛び石は小林先生の奥さんが買ってきて、ここに据え付けたもの。先生のお嬢さんたちはみなここをポンポンって渡って2階にあがっていたそうです。

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 2階への階段です。

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 2階の内観です。ここには4つの和室があります。

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 2階窓から軒の出を測定する高橋研究員(緑の研究員)です。

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 小林邸ですが、2階建ての母屋と、その奥の平家部分からなります。平家部分は先生の陶芸の工房や風呂などの水回りとなってます。

 もし河川拡幅工事が実施された場合は母屋はまるまるなくなってしまうことになります。要は敷地の半分まで河川敷のラインが食い込んでくるのです。

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 これが母屋と平家の接合部分ですが、ここまで河川敷が迫ることになるわけです。

 「実利な」線などといってきましたが、この計画、本当に誰にとって「実利的」なのでしょうか?ほとんど水量のない河川の大規模は拡幅。そして極めて機械的な線引き。

 布留川はここからすぐ南に南流もあり、昨年までにその南流を莫大な費用をかけて拡幅したそうです。今回持ちかけたのと同じ論理で。にもかかわらず、この北流拡幅後は、南には水を流さないというなんだかよくわからないことになるみたいです。

 D環境造形システム研究所では、今後もこの実利線をめぐる話しを報告していきたいと思います。

 実測を終えたあと、この家をめぐるさまざまな話しを、小林先生の手料理を御馳走になりながらうかがいました。そんな話しをうかがいながら秋田角館横町の拡幅後の悲惨な風景を思い出していました。今後どうなるにせよ、僕達に何が可能かを真摯に考えなければいけないと痛切に感じた1日でした。

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posted by 渡辺菊眞 at 18:39| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月07日

赤い窓が開きました。

こんにちは、渡辺菊眞です。

報告です。D研究所の赤色な所長(要するに僕なんですが)のblog
「dなる赤い窓。」が開きました。

http://dnaruakamado.seesaa.net/


「Dの扉から」は研究所公式ブログですが、「赤い窓」は私的な報告がメインの日記です。

この日記で報告したものから、のちのちDなる風景が花咲けばいいなと思っています。

 「Dの扉から」ともども応援よろしくおねがいします。

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posted by 渡辺菊眞 at 13:51| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月25日

電子美術館

こんにちは。渡辺菊眞です。

 今日はお知らせです。「渡辺菊眞電子美術館」がD研究所ホームページにて、第1展示室から第4展示室まで、そのすべてがオープンいたしました。ちなみに

「第1展示室 風景批評建築の部屋」
http://www.d-ken.info/kikuma-bijyutukan/kiku-bijyutukan.html

「第2展示室 機能解体の部屋 住居と建築の部屋」
http://www.d-ken.info/dai2tenji/dai2tenji.html

「第3展示室 大地に還る家 土嚢建築の部屋」
http://www.d-ken.info/dai3tenji/dai3tenji.html

「第4展示室 造形システム実践の部屋」 
http://www.d-ken.info/dai4tenji/dai4tenji.html

 です。このうち第1第2展示室は、造形システムの開発実験作品という位置づけになります。なので相当、へんてこで強引なものがラインナップされておりますが、ここで開発されたものが、実践の場で適用されて第4展示室に展示される作品となるわけです。

 事実、第2展示室の「お隣さんは惑星住宅」制作を経て、実作である「角館の町家」を設計したので、前者は後者のモデルともなったものです。もちろん、実作にするにあたって整理しつつ構築しなおすのですが。たとえば、「角館の町家」の一旦登って、すぐにまた降りる「板の間」は、「惑星住宅」に随所に見られる不条理な階段から導入されたもの、というのがその種明かしだったりします。

 ですので、今後は実作も増えていきますが(でなきゃ、困るし)、それと平行して、造形システム開発も積極的に行おうと思っております。実は、1998年からいまだ実験完了してない、プロジェクトなんかもありますし。

 また、実際にからだを動かし、土をこねて、土を袋に詰めて、積み上げる土嚢建築建設活動も、どんどん展開させていきます。
これも単なる仮設建築としてではなく、発見性、そして魅力ある空間を提示できるものとして計画の深度を深めていくつもりです。

 そう、自分でいっておいて、今さらなのですが、どの活動も、不思議でワクワクするような「Dなる風景」を創出するのが目的なのですから。

 そんな風景をたくさん現出できることを願って、今後も活動を展開させますので、よろしくお願いいたします。

posted by 渡辺菊眞 at 12:34| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする