2016年08月13日

Architecture Asia Awards 2016 とFloating School version02

こんにちは。渡辺菊眞です。大変ご無沙汰してしまっております。前回の記事は2月でした。。
半年も前です。その間はというと、何もしていなかったわけではなく、ただ記事をあげられないだけでした。
そこで、このお盆を活用(?)して、この半年にあった出来事をアップしていこうと思います。まずはその第一弾。

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去る7月23日に、Architecture Asia Awards 2016の結果発表と表彰式がマレーシアの首都、クアラルンプールでありました。これはアジアの建築家によるアジアに建つ建築を対象とした、建築新人賞です。25作品のFinalistがクアラルンプールに赴きプレゼンをして、その数日後に結果発表がある、といった流れです。この度「タイの孤児院兼学校:虹の学校学舎天翔る方舟弐号ーFloating School version02」が、同賞のWinners(計9名がWinnersとなりました)を勝ち取りました。

「天翔る方舟ーSchool Floating in the Sky」は幾つもの国際賞をいただいた作品ではありますが、今回はVersino02での受賞であったことに大きな意味があります。「方舟」は2013年に竣工しましたが、上部の竹床や草屋根は永続的なものでなく、2年〜3年に一度は改修が必要です。Version02は、2016年3月に行った大改修の結果、力強く蘇った「新生方舟」なのです。改修を含めた全取り組みが評価されてのWinners獲得です。

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改修では、劣化した屋根材や床材をただ取り替えるのではなく、3年の月日を経て、開発された(片岡鉄男氏とガリアン族の大工さんたちによります)竹の新しい工法や、よりよい屋根材、そしてより根源的な空間構成への遡行、それらすべてが統合された果てのVersion upされた姿が「Floating School version02」です。今回はその改修風景を紹介いたします。

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傷んだ屋根材をとりはずします。この手の仕事は学校の子供たちにとってもお手の物。身軽に単管をよじのぼってヒョイヒョイと屋根材をはずしてくれます。

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屋根材はがしと並行して、単管の錆び止めを再塗装します。これは高知工科大学環境建築デザイン研究室メンバー(渡辺菊眞研究室)のお仕事。

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屋根はすっかりはがされ、時間の逆戻しを感じます。

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「方舟初号」の床材は竹を6分割した板材を敷き詰めていましたが、今回は丸太のまま敷き詰めます。この方が強度や耐久性があがります。

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乾季の日射は殺人的なので可能な限り迅速に屋根材を敷き詰めます。前回敷き詰めた「ヤーフェ」よりも丈夫で補修のしやすい「バイトン」を採用しています。

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竹は近隣から切り出します。小生も竹の切り出し現場に赴き、運びだしをしましたが、肩に4、5本の竹(幹に水がたまっていて超重たい)をかかえて800mほど歩かねばならず、5往復目になると肩に激痛が走りました(大工さんはヘッチャラなようでした)。

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改修をはじめてほぼ一週間で屋根は葺き終わり、

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殺人的日射から逃れて床を敷き詰めるとともに、階段に小さな小口の竹を敷き詰めます。この「小さい竹丸太」も以前の竹板に比べて耐久性の高い材料です。

このように書くと耐久性の高い材に変更しただけのように見えますが、核心はそこではありません。

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この学舎のメインコンセプトは上図のようなものです。「母なる大地」の延長として土嚢ドームが下部にあり、強烈に過ぎる「父なる太陽」から身をまもってくる大きな天蓋が上部に、そして空と地の間に浮かぶ水平な場が「人」のためにあります。この構成の純度を極限まで高めることが今回の空間変革の目標でした。そのため、初号にあった細々した意匠ははぎとり、純度の高い人間のための水平面を大屋根の下に浮かべました。

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10日あまりで改修を終え、新しい姿で蘇った方舟。その後、ふたたび教室として、さらには近隣の村の子供の遊び場として、活用されているようです。

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今回は一度目の大改修でしたが、これで終わりではありません。子供たちの場でありつづけながら、幾度も改修を重ねて生き続けていく建築として方舟は続いていきます。方舟は単なる建物でなく、豊かな未来に向かう道筋ーArchitecture as the way to a bright future であらんことを、切に願っていますし、そうあるために更新を続けたいと思います。

方舟だけでなく、宿舎棟も現地の片岡鉄男氏の指揮のもと見事に建ち上がって来ています。その話も近いうちにご紹介できたらと思います。
posted by 渡辺菊眞 at 11:33| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月07日

「天翔る方舟」の雑誌掲載。

こんにちは。渡辺菊眞です。
11月に一時、とんでもない冷えこみがあり、これからどうなることやらと心配していましたが、
それ以降は比較的温かい日々。気付けば12月で、この温かさ。これはこれで心配です。。

さて、2013年夏に竣工したタイ国境の孤児院兼学校「天翔る方舟」。昨年から今年の前半にかけて数多くの建築賞をいただき、大変うれしく感じていました。そのうれしくも慌ただしかった展開が夏くらいに落ち着きましたが、秋以降にアジアの国から雑誌掲載の依頼をいただきました。

ネットを介してデータのやりとりなどをやっていましたが、ようやく発刊の運びとなりました。

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まずはインドの建築雑誌「IA+B」。特集名は「Power of the Hand」の「手仕事の力」とでもいったところでしょうか。

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現場の風景紹介にも力がはいっています。

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次に韓国の建築雑誌「C3」。

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こちらの特集名は「Regionalism and Global Diversity」。「地域主義と世界の多様性」です。条件が厳しく制限されたなかで建築する時、その地域の土着技術の在り方に注視し、それを取り入れながらも、そこにグローバルな建設技術(代替建築を含む)をいかに導入しながら、新たな展開へ導くか?そんな試みが数多く紹介されています。

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「天翔る方舟」もまさに、そんな状況で構築したものでした。「方舟」だけでなく、同じような状況のなかで「いかに建築が可能か?」という問いに対する応答を、さまざまに知るのはとても刺激的で、今後の展開の上でも、考えるべき事の幅が広がるように感じています。

今年度末は「方舟」の竹床と壁、草屋根の大補修をします。単なる維持ではなく、改善するべきところは改善し、よりよい建築へ発展させながら維持を続けていきたいと考えています。

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蛇足ですが、C3の建築家紹介欄。ひとりだけ現場のヘンテコなおっさん状態です。。。
posted by 渡辺菊眞 at 10:58| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月23日

「天翔る方舟」のwebsiteーD研究所のHPを更新ー

こんにちは。渡辺菊眞です。

9月もあっという間に時間が過ぎて本日は秋分の日。この日を境に夜の方が長くなっていきます。やや寂しくはあるものの、暑いよりは寒いほうが圧倒的に得意な小生としては、うれしい季節のはじまりです。

さて、D環境造形システム研究所のProjectページを更新しました。「天翔る方舟」ページの開設です。

http://d-ken.info/projects/rainbowschool/raibowschool.html

竣工写真はもちろんのこと、建設中の様子や、模型スタディーの変遷などもアップしています。是非、ご覧ください。

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また、EarthbagBuilding.com でも「天翔る方舟」が紹介されています。こちらもご覧いただけたらと思います。

以上、ご報告でした。


posted by 渡辺菊眞 at 15:48| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月27日

プラットホームと仏壇。

こんにちは。渡辺菊眞です。

2週間苦しみ続けた喉の痛みがようやくひきました。イロイロ試みましたが、治らず、最後は結局、病院のお世話になってしまいました。。何にせよ治ってよかったです。

さて、完成直前の「天翔る方舟」ですが、今回はプラットホームと仏壇設置のご報告です。

「天翔る方舟」は3つの土嚢ドームを高基礎にして、その上に高床的な2階がのるという構成です。3つのドームは島のように互いに距離をとって配置されていますので、上部の高床の床下と土嚢ドームに挟まれた半屋外の空間が生まれます。

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その半屋外空間は地面から一段あげたプラットホームとしています。このような半屋外空間はタイのような熱帯地域ではとても重要で、土着の建築でも半屋外空間と屋内空間は五分五分くらいの面積配分です。こういう場所で風に吹かれながら過ごすわけです。とうとうドームの入り口にも建具がはまりここも完成です。

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また、仏壇には、仏さまが鎮座されました。ことの発端はこどもたちが時折みかける「お化け」騒ぎでした。真っ黒で目が爛々としてドン!と音をたてて落ちて来るヤツです。それが恐くてたまらないこどもたち。たぶん、土地の霊なのでしょう。その霊を鎮めるために仏壇を設けたのです。単なる形式ではなく、本当に精霊が宿る場所での礼節としての仏壇。改めて「場所に住まう」ことの意味を深く思い返した次第です。

「方舟」も、日々こどもたちの場所になってきています。完成まで、本当にあとすこし。より良い場所となっていくよう尽力していきたいと思います。



posted by 渡辺菊眞 at 07:16| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月21日

大人気の滑り台ー虹の学校:「天翔る方舟」ー

こんにちは。渡辺菊眞です。

しつこくなおらない喉の不調ですが、これで鬱々するのも嫌なので、2時間走の大会に出走しました。22kmほど走り、思ったよりはいけましたが、身体の一部が調子悪いとやはり走るのもきつく、どんなものごとも全体で支え合って成り立っているんだと、変に実感しました。

さて、前の記事で、虹の学校の新学舎「天翔る方舟」が完成間近であることを報告しました。そこで滑り台も完成した旨をお伝えしましたが、この滑り台、予想以上に大人気で、日々、空き時間を見つけては子供たちが遊びにかけつけているようです。今回はその模様をお伝えします。

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「方舟」の2階から広場に向けて伸びる、赤い滑り台。すでに子供たちが上方に集まってきています。

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上から一気に、わーっと滑りおります。

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小さな男の子だけでなく、大きなお姉さんも、わーーと、滑り降りるのです。
滑り台といえば、一瞬の滑降の快楽と、そのあとの宿命的な登り。当たり前ですが登らないと滑れませんから。

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と、いうわけで、集団で登っていきます。

小さいころ、住んでたまちに新しい公園ができて、そこに滑り台がありました。特にこった滑り台ではなかったですが、とても嬉しくて毎日毎日滑りにいってました。ノーマルな滑り方に飽きてもこんどは、別の遊び方を思いつき、やはり滑り台を中心に遊んでいました。滑り台は公園の花形でした。滑り台には何だか、そんな子どもを惹き付けて止まない不思議な魅力があるように思います。

そんなことを、この情景をみて憶いだしていました。





posted by 渡辺菊眞 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月15日

完成間近の「天翔る方舟」と、これからのプロジェクト。

こんにちは。渡辺菊眞です。
梅雨という確信をもてないままにあけてしまった(らしい)梅雨。というわけで季節はいきなり夏に。クマゼミがやかましく鳴き出しました。僕はというと、日射にやられて体調不良に。早くなおして元気に活動再開させたいところです。

さて、昨年12月に着工したタイ国境の孤児院兼学校「虹の学校」の新校舎「天翔る方舟」がもうすぐ完成しようとしています。

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小生は5月末から6月初頭にかけて現場の確認と建設作業でタイに渡航。この時は主に2階の竹の造作と土嚢ドーム外壁の土壁塗りがメインとなる作業でした。この時点で9割近くまで校舎はできていました。

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小生が帰国後、雨季に入った鬱陶しい天気の中で片岡監督(彼は現場がはじまれば常駐し、現場の完了とともに高知に帰還する、を早くも3現場もこなしています)のもと、建設はすすみ、、とうとう滑り台が完成しました。

これは、ずいぶん前にこどもが描いたという「空飛ぶ校舎」と、そこから滑り降りる「滑り台」が着想となって設計したものです。3m近い高さから一気に滑り落ちます。

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小生が帰国直前にお化け騒ぎ(黒くて、目が爛々と光って、ドーンと音をたてて落ちて来る)があり、ここの霊を鎮魂する意味をこめて3階の吹抜け上部には仏壇も設置しました。お化けにもここの活動を許してもらえたらと思います。

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校舎が完成していくのにともなって、2階でご飯を食べたり、その後、遊び回ったりと、早くもこどもたちはこの空間を楽しんでいるようです。たぶん、もっともっといろんな遊びを開発してくれると思います。

完成は7月末。当初の予定よりも随分長引いてしまいましたが、そのぶん、とてもいい場所ができたのではと思っております。

さて、これからのD研究所ですが、ひとつ、とても興味深いプロジェクトのお話をいただきました。

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「古墳銀座」の山辺の道の東にそびえる竜王山。その中腹に望楼をつくるというものです。
はるか昔には湖だったという大和盆地。その「湖畔」にある山辺の道の古墳群。湖畔の奥の山は死者の領域です。この異界から大和盆地を眺めるための空間は、単なる展望台ではあろうはずもありません。では、どんな空間が相応しいのか?ただいまそれを構想中です。

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この場所は大きな楠の木が1本。この木も構想の肝になりそうです。
また、これに関しては展開次第、報告します。

というわけで、完成間近の「方舟」とこれからのプロジェクトのお話を少し、、でした。












posted by 渡辺菊眞 at 08:03| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月13日

ガーナのエコビレッジ国際コンペ。

こんにちは。渡辺菊眞です。

南国高知といえど、冬は普通に寒く、しかもここ数日は普通を超える寒さになってしまってます。山の頂あたりは雪化粧。風邪引かないようにしたいものです。

さて、年末年始にかけて小生が審査員をつとめていた、ガーナのエコビレッジ国際コンペの審査も終わり、結果も発表されました。
以下のページをご覧ください。

http://www.nkafoundation.org/competitions.html

審査はスコアボードのさまざまな評価項目につき、1〜5点を割り振るというもので、その芸術性、経済性、技術移転としての意味、現地文化のリサーチ、未来へ向けての可能性など、建築を支えるあらゆる観点が網羅されたものでした。

小生は、東アフリカエコビレッジの設計者ということ、そして、ありがたいことに、その設計がアフリカで高く評価されているということもあって、この審査員に選ばれたわけですが、東アフリカエコビレッジ設計と建設の時の経験、そして通常考えていることから、特に以下の点を重視しました。

1、現地に潜在している根源的なカタチが空間転換されているか。
これは当方が進めてきた「泥曼荼羅」的な思考のこと。通常、気づいてはいないが、潜在意識の中にある根源的カタチは、現地の人々の想像力を刺激し、また本来的な意味で癒されることにつながります。今回エントリーしている作品のなかで、現地のシンボルから着想を得てマスタープランを作成している案がいくつかありました。ただ、これがプランの単なる絵模様に終わっているケースがほとんどで、そのシンボルから建築空間へ転換されてあるものは1作品のみでした。

2、現地で展開可能な技術が数種あること
当方、ベーシックには土嚢建築を主にエコビレッジ等を設計してますが、現地にて使用可能、あるいは展開すべき技術は積極的にとりいれ、混淆構造にすることを心がけています。インドやアフリカでは草葺き屋根を導入しましたし、ヨルダンでは石造+RC造+土嚢建築の混構造を手がけました。現地ではさまざまな事情があり、こちらが用意した単一の技術だけでは、後々うまくその技術移転が展開しないことが多いです。すでに使われているもの、これから使えるものを、新たな、しかし、自力で展開可能なように提示するのはとても重要なことです。それゆえ、単一技術のみでの建設を提示しているものは例え、美しいデザインのものでも評価はしませんでした。

3、中間スケールの魅力ある空間の提示
規模の大きなエコレビッジ建設の場合、ユニットの決定とマスタープランの決定だけでは不十分です。ユニットが幾つか組合わさってできる中間スケールにおいて、魅力ある空間が形成されることが重要です。というのも、ユニットの建設は早く進むものの、それがマスタースケールまで完成するには相当の年月を要します。そんな中、幾つかのユニットが完成した状態だけのときは互いに疎遠な無機的なユニット集合になってしまう時期が建設期間のほとんどになってしまいます。ところが中間スケールでの有機的複合空間を用意しておけば、建設の比較的早い時期に、コンパクトな集住空間が得られ、それが小さな村として機能していくこともできます。ただ、今回のコンペでは中間スケールの空間提示は1作品しかありませんでした。

応募された作品はそれぞれに魅力的で、何よりしっかり現地文化や現地建設技術をリサーチしているものが多く、空疎なデザイン戦のレベルを超えていたので、この審査をさせていただけたのはとてもありがたいことですし、楽しかったです。このプロジェクト、コンペ作品の実現だけにとどまらず、さまざまな展開が今後もあるようで、おそらく小生も現地にとぶことになるかと思います。その時には、より魅力ある、そして現地の未来を切り開いていけるような建築空間の提示ができたらと、思っております。

それではまた。
posted by 渡辺菊眞 at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月05日

南シューナ施設の写真アップ。

こんにちは。渡辺菊眞です。

高知は日中はやや暑いくらいですが、夕刻を過ぎるとグッと冷え込みます。日夜の温度差で体調を崩さないように気をつけたいと思います。

さて、今更の感はあるのですが、南シューナ・コミュニティセンターの写真をアップいたしました。しばらく中途半端な状態でページを放置していたので、やっとスッキリできました。雑誌にも紹介されてはいるのですが、そこでは公開されてない写真もアップしています。

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この施設、ヨルダンではもうほとんどいなくなってしまった石工さんを探し、彼と協力しながら手探りで石造建築の設計をし、そこにRC造と土嚢建築造を混淆させ、さらにはパッシブシステムを採用するなど、かなり画期的な試みとなった建築でした。そのこともあり、とてもとても思い出深い建築であります。

今後は、施工中の写真、そして竣工から数年経った写真なども適宜、ご紹介したいと思います。
まずは、ご覧戴けたらと思います。

それでは、また。
posted by 渡辺菊眞 at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月02日

ハイチ復興支援の現場から。

こんにちは。渡辺菊眞です。

D研究所の黒い所員/7+4 代表の、江崎貴洋氏は現在、ハイチにて震災復興支援の活動中です。
その支援活動模様についての写真とコメントが同氏から日々発信されています。

→ http://twitpic.com/photos/sevenplusfour

海外の緊急支援の模様が、twitterを介して送られてくるのは、どこか不思議な気分ですが、こういう電子環境の変化が、支援活動にとってプラスに働くような事態を誘導できたらと感じております。

何はともあれ、是非、ご覧ください。
posted by 渡辺菊眞 at 05:32| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月26日

生き抜くための建築を

ご無沙汰しています、江崎貴洋です。
現在、4度目のハイチ出張中です。

ここのところ、3週間〜4週間ごとに日本とハイチを往復しており、
やっとブログをアップできる時間ができました。
関係者の皆さまには大変ご迷惑おかけしています。

衛生事業としてのトイレ建設などにひきつづき、
現在、技術協力しているのは学校再開の為の、仮設校舎建設です。

昨年末のインドネシア・スマトラ地震支援の集会所再建で挑戦した
日本人大工から現地大工への技術移転プログラムに手応えを感じ、
今回も株式会社海賊の高柳鉄平氏にご協力いただき、
これから復興をてがける現地建設業者組合への技術移転をおこなっています。

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写真は3度目の出張時に撮影したもの。
インド・アフリカを共にした土嚢建築施工技術者である河口尊氏との
恊働もそうでしたが、大工である鉄平さんだからこそできる確かな
ワークショップを今回も展開できました。

今回のハイチ支援では、
紙筒で有名なユニーク建築家さんなんかもおり、
パフォーマンスな建築家や、被災地を実験地として教育展開、
広報展開する建築系大学の研究室が多いのが実情です。

隣国ドミニカでしか入手できない資材を用いて、
その後、住民たちはどうやって資材を入手するのか???
ただただ疑問です。

壊れた自分たちの家には何が足りなかったのか?
どうやったら自分たちでも強い家を建てることができるのか?
被災者は復興へ向けて毎日を真剣に生きています。

紙筒のようなメディアに取り上げられやすい、もの珍しいものを
広報的に展開するのではなく、彼らに根付いていたこれまでの技術の
確認作業こそ大切だと思うのです。

彼らが今後、自分たちの力で生き抜いていくこと、そして、それを
可能にする建築技術は何かということを現地でともに考えていくこと、
そしてその技術を確実に移転していくこと。建築家として、このことを
忘れないよう、改めて肝に命じながら、ハイチでの支援活動を継続して
いきたいと思います。

posted by 江崎貴洋 at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月03日

Dの建築展ー大地と太陽の家ーin JORDAN UNIVERSITY

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 長かった梅雨もようやく明けたようでほっとしています。とはいえ、明日夜にはウガンダに発つので、あまり関係のないことになってしまいましたが、、。

 さて、今回は前回お伝えした南シューナコミュティセンターの竣工にあわせて開催した「Dの建築展ー大地と太陽の家ー」の模様についてお知らせいたします。

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 展示会はヨルダン大学の図書室前ロビーにて開催。図書館ですのでいろんな人がこの前を通りかかります。模型や写真などは建築専門でない学生でも目を引くようです。当たり前ですが展示をながめる女学生の姿を見ると、この国がイスラム圏であることを改めて強く感じます。

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 手前の模型は昨年から建設をはじめた東アフリカエコビレッジのモデルハウス。Dが手がける「大地の家」の主要作品です。

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 これは、この時、竣工間近であった南シューナコミュニティセンターの模型。自国に建つ建築だけあってみなさんの関心が高まります。奥に見える眼鏡をかけた女性は、この図書館の館長さんである、Hind Ghassan Abu-Sha'ar博士。とても聡明な女性でパネルと簡単な説明だけで建築の概要や、当研究所が開発している建築の主旨を完全に理解していただけ、しかも深く共鳴していただきました。

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 上の写真は現在Dで開発中の「太陽の家」。パッシブソーラーハウスに日時計建築(cosmic architecture) が組み込まれたもの。単なるエネルギー源としての太陽ではなく、大きな宇宙的存在としての太陽を生活のなかで感じられるような空間を開発しています。

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 今回の展示では「大地と太陽の家」ということで、その二つを主としたものでしたが、これにあわせて、昨年制作した安土山内にある織田信長が創建した総見寺本堂の復元案も
展示しました。異なる二つの中世建築を上下に接合して建立されたと仮定して復元した、異形の本堂建築です。ヨルダンは組積建築文化圏。複雑に編み込まれた軸組の模型は大きな注目を集めました。

 ヨルダン大学ではさまざまな展示会を行っているようですが、建築の展示会を開催するのは初めて、そして日本人による展示も初めてということで、展示会開催期間中はたくさんの人が訪れたとのことです(竣工式前の忙しさで当方は展示会にはほとんど足を運べませんでした)。館長さんもとても喜んでくれました。今後も何かあれば是非、コンタクトして欲しいとのこと。とてもありがたく感じています。

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 最後に館長さんと、D研究所3人で記念撮影。

 思えば、小生の建築展覧会は、大学博士過程一年時に開催した「渡辺菊眞建築展ー「風景」・建築−風景」以来、11年ぶりです。あの頃とは当面の関心がずいぶん違ってきましたが、「ワクワクする建築」を目指すその1点において、変わらぬものを強く感じています。


 また、定期的に、いろんな国で展示会が開催できたらと考えています。それでは今回はこのへんで。



 
posted by 渡辺菊眞 at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月29日

ヨルダン南シューナ地区コミュニティセンター。

こんにちは。渡辺菊眞です。

 ヨルダンから帰国して早くも一月あまりが経過しようとしています。
南シューナ地区コミュニティセンター完成の報告を早くしたかったのですが、7月は猛烈に忙しく、こんなに遅くなってしまいました。昨年まではあまり月日が関係ない活動をしていたので、そのコントラストが激しいです。それはともかく、そんなこんなで、関西も高知もクマゼミがやかましい季節に突入です。ようやくゆっくり夏を満喫、、かと思えば、あと一週間で今度はウガンダへ渡航です。というわけでヨルダン完成の報告を筆頭に、Dからお伝えしたいことをこれから一週間で矢継ぎ早に報告したいと思います。短期高密度の「Dの扉から」。しばらく「要注意」でお願いいたします。

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今回は(ほぼ)完成した南シューナコミュニティセンターのお話です。上の写真は石造アーチとその上にかかるRCヴォールト屋根内観です。近隣の建物が夏猛烈に暑いのに対してこの施設の中はずいぶん涼しいです。分厚い石壁と屋根の外断熱がきいています。

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これが施設の南側外観。ガラスの大開口が石壁から突出しているのが、ひときわ目立ちます。こんな大開口だと、中が強烈に暑くなるのでは?と思われるかもしれません。しかしここでは庇の出によって太陽光の入射と遮断を調節(夏は遮断。冬な入射)しているので
夏期は涼しく、冬は暖かい状態を提供してくれます。また、部屋の内部はとても明るいです。石造では無理だった明るい室内が実現できてます。窓は断熱性を高めるため通常のサッシを二重にもうけ、その間に花などのプランターを設置します。パッシブソーラーシステムの導入です。

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今度は北側外観。南側外観とうってかわって、とってもマッシブな風景です。石と土嚢の複合様態が迫ってきます。中央の大きいドームが直径5メートル、高さ6メートルです。ここは応接室となります。床にアラブ圏特有の長い座布団を壁際にならべて、そこに座ってくつろげるスペースとなっています。その右横の小ドームが直径4メートル、高さ5メートルとなります。ここではこの施設の主役である女性活動団体;アルジャワスレのみなさんが制作した素敵なグッズが販売される予定です。

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 小ドームに接続する石垣に子供たちが腰かけてます。まんまるい土嚢ドームはどうやら親しみがもてるようです。

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 二つの土嚢ドームと湾曲石壁に囲まれた中庭。そこを女の子が疾走してます。

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親方が苦心して積み上げた連続アーチのある内観です。連続アーチは空間に動きや流れを生み出します。

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 こちらも連続アーチ。連続アーチのある矩形空間がふたつあり、二つのウィングとなってL型にクロスしてます。上の写真のウィングには南側大開口が開きます。これまでこの地域にはなかった新しい空間です。ここで女性たちは手工芸品を制作したり、地域開催のワークショップなどが行われます。L型ウィングは二つの小さなトンネルを介して中央土嚢大ドームへと接続されます。

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上の写真で子供たちが出てきているのがそのトンネルです。その奥に土嚢大ドームが接続されるわけです。土嚢大ドームか介して子供たちはグルグルと走りまわれます(別にそのためにこんなプランにしたわけではありませんが)。

 さて、ここまでコミュニティセンターの建築を紹介してきましたが、まだ容器がなんとかできあがったばかりです。ここで女性たちが活動し、心をこめたグッズを作り、大開口で挟まれた温室に花を置き、庭でいろんな樹木や果実を栽培して、、そんな活動の積み重ねのなかでこの施設は徐々に本当の意味で完成していきます。この容器は地域のひとびとにどのように感受され、そこからどんなインスピレーションを与えて、活力ある風景がうみだされていくのかとても楽しみです。またそういう活力ある風景を生み出す装置となりうることを深く信じています。

 そんないきた空間、いきた風景と化したとき、もう一度、この地を訪れたいと願っています。そのときはまた改めてご報告いたします。

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 追伸)竣工式前日に施設屋根の上から撮影した夕日。落日前、施設はしばしオレンジ色に染まり、そのあと暗がりに同化していきます。もし夜間にこの施設が活用される場合は南側大開口が地域の灯火のようになるのではと感じています。




posted by 渡辺菊眞 at 10:20| Comment(1) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月02日

ヨルダン南シューナ研修施設竣工。

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 日本は完全に梅雨まっさかり。暑さと湿気が苦手な小生にとってはかなりきつい季節です。まだまだ雨模様は続きそうですが、相当フライング気味に梅雨明けの到来を願う今日このごろです。

 さて、だいぶんご無沙汰しておりましたが、これまで約8ヶ月にわたってお伝えしてきたヨルダン南シューナコミュニティセンター(当初、「研修施設」と呼んでおりましたが、正式には「コミュニティセンター」です)の建設がようやく完了しました。若干の残工事はありますが、、。

 ヨルダンは現在バリバリの乾季。日中の気温は45℃以上にも上りハンパない暑さです。しかし、最後の工事追い込みのため真っ昼間に工事を進めざるをえない日もあり、正直死ぬかと思いました。

 8ヶ月間ヨルダンに常駐していた黒い研究員:江崎氏によるとこの気温はすでに2ヶ月あまり継続中とのこと。江崎氏のこの間の苦闘は、ちょっと想像を絶します、、。

 というわけで、次回からは建設記録の最終段階、竣工模様をお伝えしたいと思います。

 また、この竣工にあわせて、ヨルダン大学でD研究所の展示会を開催いたしました。
これは南シューナの研修施設だけでなく、アフリカプロジェクトや現在計画進行中の「太陽の家」も含めた総合的な展示会です。この模様についてもあわせてお伝えしたいと思ってます。

 では、今回は取り急ぎのご報告まで。

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 上の写真は、女性活動グループ:アルジャワスレの仮事務所から眺めたコミュニティセンター。背後の風景と溶け込みながら、それでもどこか不思議な新しさと懐かしさが漂います。

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2009年05月01日

ヨルダン南シューナ研修施設建設記録16 第1アーチ完成。

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 本日から五月に突入です。南国高知は日中は日差しが強いものの、朝夕は風もあり、存外涼しく関西の蒸し暑さと比べたらずっとすごしやすいです(真夏の高知を知らないですが)。

 さて、またまた前回から間があいてしまいましたが、南シューナ研修施設の建設記録の続きをお伝えします。前回は石工事の醍醐味、アーチ建設着手までお伝えしたかと思います。今回はついにそのアーチが完成します。ちなみに今回の建設時期は3月第二週目となります。

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この施設の石造部分はL型平面をしていますが、それがはっきりとわかるようになりました。上の写真の一番奥には型枠に支えられたアーチが小さく見えるかと思います。

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これが計8つあるうちの1つ目のアーチです。型枠にそって大小さまざまな石がとても滑らかに配置されてます。石同士を連結するモルタルももう固まってます。というわけで、、

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 とうとう型枠を外します。大きさがまちまちな石で組まれたアーチです。無事とりはずせるのかと、ふと不安がよぎります。型枠が中央で二つに分離され、その一方をアデム親方がとりはずしてます。

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 両手を高く伸びあげて、型枠を支える親方。

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さて、第一アーチの出来映えが気になるところですが、まずはその前に、外した型枠をスライドさせて、再度設置せねばなりません。そう、これが第二アーチの型枠となるのです。アーチ等の造形言語の繰り返しは内部空間にリズムと律動感を与えますが、これは設計側の視点です。一方、施工側からいうと、繰り返し造形は同じ材料を使い回せるという利点があるわけです。これは予算が潤沢でない工事ではとても大事なポイントとなります。

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 スライドさせた型枠の中央を、(ほっとくと真ん中で分離ですので)結び合わせて、フィックス完了です。これで第二アーチへと建設を進めることができます。

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さて、既に完成した第一アーチへと目を転じてみましょう。ご覧の通り、とても奇麗なアーチ壁です。全体で支え合って力を受け流すので、ランダムな大きさの石で作られててもがっちり組み合って、びくともしません。改めてアーチ構造はすごいと思いました。

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このように現場はアーチ壁をひとつずつ型枠をスライドさせながらつくりあげる段階へと突入したわけです。これが完了したらいよいよコンクリート屋根。そして土嚢大ドームの完成へと工事は移行していきます。

 今回はここまでといたします。ではまた。




















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2009年04月17日

ヨルダン南シューナ研修施設建設記録15 土嚢大ドーム着工と石の醍醐味へ

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 4月になって、いきなり新体制に突入してとってもバタバタしておりました。そんなこんなでご無沙汰になってしまい、気付けばもう葉桜の季節です。高知県は昼間はだいぶん暑いです。

 さて、そんなことなので、報告のタイムラグは大きくなるばかりですが、前回からの続きをお伝えします。ちなみに今回お伝えするのは2月下旬から3月1週目の模様です(えらく前ですみません)。

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 あれから石造壁はドンドン進み、ほぼ完成に近づいてきました。積み上げる場所が高所になって、ドラム缶の上にコンクリートブロックを積んで、その上にのって作業しています。

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 壁の表面はもちろんのこと、エッジ部分も見事な施工です。親方をはじめ石工衆の情熱と意気込みが伝わります。

 さて、石壁が完成に近づいたということで、土嚢工事も大工事へと突入可能になります。それはどこかというと、、。

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 石造部分は全体がL型を描くのですが、その角部に応接室を土嚢ドームで作ります。上の写真のサークルがその位置です。こやつは直径5メートル。そうとう大きな土嚢ドームです。

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 土嚢と石造、工法が違いますが、この二つの空間は渡り廊下を介して接続します。ですので、土嚢ドームと石造の床高をそろえねばなりません。この土嚢壁はその調整部分となります。これが済むといよいよ、大ドームに建設に突入となります。

 さて、土嚢建設も大工事へと向かいますが、石工事の醍醐味ともいえる段階が石側にも残されています。石工事の醍醐味、それはもちろんアーチ、ヴォールト、ドームといった
組積曲面工事です。

 というわけで、ふたたび石工事に目を転じてみましょう。

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 そう、アーチ壁工事がはじまるのです。土嚢ドームではないので、しっかりとした型枠が必要となります。型枠を組んで、その上に石を積んでいくわけです。

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 型枠にそって、とても奇麗に石を積み上げていきます。これはとても期待できそうです。美しいアーチの出現が待ち遠しいばかりです。

 さて、とってもいいところですが、今回はここまでといたします。次回はそんなに間をあけずにご報告いたいと思うので、楽しみにしていただけたらと思います。

 ではまた。








 
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2009年03月25日

ヨルダン南シューナ研修施設建設記録14 土嚢WSと進む石造。

こんにちは。渡辺菊眞です。

 前回からだいぶご無沙汰になってしまいました。年度末ということで、日本側もバタバタ。ヨルダン側もバタバタ。という理由で、ご無沙汰だったわけです。前回、梅の花が咲いてる話をしてましたが、とうとう桜が咲き始めました。もう完全に春です。

 そんなこんななので、今回報告するお話は、今から遡ること一月前の出来事です。タイムラグ申し訳ないですが、悪しからずご了承ください。

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 さて、当方が帰国後間もなく、土嚢建築のワークショップが始まりました。指揮をとるのは江崎研究員(彼が撮影しているので彼の姿はどこにもありません)。上の写真で土嚢に土をつめるのに男女協力してやってますが、イスラム圏ではなかなかこんな風景はみかけません。女性は自分たちの拠点構築のため、男性たちは町のコミュティーセンターをつくること+土嚢建築という技術をみにつけるために、慣習を超えて協力しているわけです。

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 そんなわけですので、建設なんかにたずさわることはない女性も自ら土嚢を積み、レンガで整形したり、上からたたきあげたりの力仕事をこなしていきます。

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 江崎隊員の弟子を含む近所の子供も現場によくやってくるようです。

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 こうして土嚢ワークショップは、朝から夕方まで、終日、そして連日行われるのです。

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 さて、このように土嚢建設が進んでいく一方で、石造部分もどんどん建設が進んでいきます。この指揮をとるのはもちろん、アデム親方。

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 壁には小窓などの開口部もしっかりあきはじめています。開口の上には開口幅をまたぐ大きくて平らな石が据えられるわけです。

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 石壁はどんどん高くなってきてるので、隣家の塀とすでに積んだ石壁との間に材木をかけわたして足場を組んで石積みを続けていきます。石壁は小生がいたときとは比較にならないほど高く高くなってきてます。

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 このように土嚢建築、石造とも本格的に進展してきてます。二種類の組積造が面白いコントラストをなしています。ここにさらに鉄筋コンクリートがくわわるわけです。マッシヴ素材の三連星です。

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 土嚢工事もどんどん進み、無味乾燥だった敷地の風景が明らかに変わってきました。
ちなみに、敷地の窪みは土嚢に詰める土を採取した結果できた窪地です(これをD研究所では「陰の土嚢建築」とよんでます)。

 建設を通して、敷地の風景、それをめぐる人の気持ちがすこしずつ、しかし確実に変わりつつあります。今回はここまで。また進展を報告いたします。

 



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2009年03月01日

ヨルダン南シューナ研修施設建設記録13 現場本格始動。

こんにちは。渡辺菊眞です。

 いつの間にか三月になってしまいました。ヨルダンでは桜の花そっくりのアーモンドの花がきれいに咲いてましたが、日本では梅がかわいらしく咲いてます。まだまだ寒いですが、少しずつ春は近づいてきています。

 さて、前回は着工式のお話を報告しましたが、今回はそれ以降のお話、つまり現場の進行について報告します。式典めいたことは竣工式まではなし。ということで、あれ以降本格的に現場が動き出しました。

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 式典の次の日から石造壁の建設にはいったのですが、これが思った以上に早いです。あっという間に石の壁が立ち上がっていきます。

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 開口部には板で仮枠をくんで垂直を保持し、あとは、どんどん積み上げていくわけです。

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 親方は、当然この日も本気服。くわえタバコをふかしながら、どんどん石壁を積み上げていきます。軍服を着込み現場で指揮をとる親方はとても格好いいです。

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 軍服の人が親方以外にもうひとり。よく見ると江崎研究員です。親方にあわせて同じ軍服とヨルダンターバンを巻いています。この軍服、軍服だけあって動きやすく丈夫で、しかも強烈な日射の中でも案外涼しく、現場服としてとても合理的なのです。

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 軍服の人がさらに、ひとり。これは小生です。現場指揮する人物はこれで全員軍服になってしまいました。親方と石壁の細部に関して打ち合わせしています。

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 彼は親方率いる石工集団の職人さんです。凄腕の職人で、とてもとても奇麗に石を積み上げます。

 さて、親方をはじめ石壁工事はとても順調。何の問題もありません。というわけで、当方が担当するもうひとつの組積工事に入ることができます。そう、土嚢工事です。

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 まずは墨出し作業から。しかし、そこには大量の小石の山が。まずは地道にこれらをどかします。近所の子供たちが好奇心にあおられてやってきます。

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 さて、子供たちに眺めてもらっているだけではもったいないので、手伝ってもらいます。この地区の子供たち、素早く手伝ってくれるのはいいのですが、すぐにスタミナがきれてしまいます。今後もっと鍛えたいところです。

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 そんな英才教育(?)の一環として、江崎研究員が弟子(第二号)に図面の読み方を叩き込みます。

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 江崎研究員の弟子三連星(右から一弟子、江崎氏はさんで三弟子、二弟子)。

 というわけで、急ピッチで進む石壁工事と並行して土嚢工事も開始です。土嚢工事は現地の住民を交えてワークショップ形式で行います。その模様に関してもまたお伝えいたします。

 さて、それから数日後、、、。

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 石工事以外のコンクリート工事などを統括するガイス親方が現れました。石工のアデム親方、Dの小生と江崎研究員が軍服をきて指揮するのがうらやましかったらしく、とうとう、彼まで軍服になっちゃいました。

 軍服を着込んだ輩がどんどん増えてますが、この施設、中東の平和に寄与するためのものです。誤解なきようお願いします。











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2009年02月16日

ヨルダン南シューナ研修施設建設記録12 着工式

こんにちは。渡辺菊眞です。

先日、2月14日夕刻にヨルダンから帰国いたしました。現在時差ぼけで、日中いきなり眠気に襲われたりしてます。あと、こっちはやはり寒いです。建設地の南シューナは初夏のような陽気でしたから。

それはさておき、今回は前回の続き、2月8日に開催された着工式の様子をお伝えします。

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前日、日暮れまでかかって、女性活動グループ:アルジャワスレのみなさんが設営したテント。いまはただ、式の開始を待つばかりです。

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石工の親方も朝一から会場にやってきて、準備に余念がありません。やる気満々です。

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さて、そうこうしているうちに、ヨルダン社会開発省大臣と、在ヨ日本大使:塩口氏の会場入りです。背中を向けている紫のスーツが社会開発省大臣。この大臣、ヨルダンで大の人気の大臣で、雑誌の表紙を飾ることもしばしば。ですのでこの写真にはうつってないですが、少し離れた場所に大量のSPさんが配備されてます。

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この他の来賓の方も続々と会場入り。開会します。まずはアルジャワスレ代表のスピーチ。小生がヨルダン視察したのが2年前なので、待ちに待った着工なのです。

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小生もスピーチ。施設設計者として、設計趣旨とこの建築の特性、意義などを説明します。このあと数人のスピーチを終え、着工記念の石積み儀式です。

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大臣と日本大使がそれぞれ、石をひとつづつ置きます。これをエスコートするのはもちろん石工の親方。親方の晴れ舞台です。

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この後、来賓のみなさんに模型を披露、基礎だけでは、施設の全貌がわからなかったので、模型を前にしてようやくみなさん、これからできあがる建築のイメージがわき、がぜん盛り上がります。テレビカメラもこの瞬間を逃しません。

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アルジャワスレのみなさん、あこがれの大臣と記念撮影。みなとてもうれしそうです。
とても華やかな一枚となりました。さすが、人気大臣、とても素敵な笑顔です。

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こちらは土台上で職人さんたちと記念撮影。男くさく、まったく花がありません。
親方が持つ小さなヨルダン国旗がかっこいいのか、かっこわるいのか、その効果のほどがまったくわかりません。

こうして、つつがなく着工式は幕を閉じていきました。短い時間でしたが町はお祭り騒ぎ。

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しかし、小生たちは浮かれてはいられません。この後、早速現地コンサルや親方をまじえ、今後の工事の打ち合わせです。そう、建設はここからが本番です。
また、工事の進行に関しても報告いたします。

以下、追記です。

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これは、着工式に先立って行われたプレスリリースの新聞記事(Al-Arab Al Yawm 新聞
2009年02月06日)。

以下のアドレスでは、別の大手新聞、Petra Agencyのweb記事が見られます。

http://petra.gov.jo/Artical.aspx?Lng=2&Section=8&Artical=85718














posted by 渡辺菊眞 at 20:52| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月11日

ヨルダン南シューナ地区研修施設建設記録11 着工式に向けて。

こんにちは。渡辺菊眞です。

 ヨルダンに渡航してから早くも10日あまり。この間、着工式+記者会見など、さまざまなことがあったのですが、現場監督をはじめ、基本的に一日中出っぱなしでした。しかもホテルのネット速度がとてもとても遅くて、ブログをあげることがかないませんでした。

 ですので、内容にタイムラグがあるのですが、まずは渡航してから着工式直前までの模様をおつたえしようかと思います。

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 まずは、必死で運び込んだ模型を女性活動グループ:アルジャワスレのみなさんにお披露目です。イスラムの女性たちは基本的にとても恥ずかしがり屋(すくなくとも男性がいる空間では)なのですが、自分たちの活動拠点の将来像が立体化されているので、いつになくテンション高め。とても喜んでもらえました。ぼんやりしていたイメージが具体化して、やる気がさらにアップした感じです。

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 さて、現場ですが、連日の雨などで少しペースダウンしてたようですが、雨もあがり再度動きはじめ活気づいてきました。しかも数日後にはここで着工式があるので、急ピッチで施工が進みます。

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 工程は基礎打ち最終段階。現場には石工の親方も連日顔を出してます。ジーンズをはいて長い髭を蓄えているのが親方です。彼は純然たる石工さんなので、基礎打ちは彼の専門外なのですが、現場が気になって仕方ない様子。いろいろ細かにチェックをしてまわってます。石を積むのが待ちきれないような感じです。

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 10月末から現場に入りっぱなしの江崎隊員。いつの間にか、小さなお弟子さんが彼に師事しているようです。彼は現地で大人気。たくさんの弟子が今後も増えそうです。

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 さて、着工式の前日、工事概要を示す看板も敷地手前にかかげられました。

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そんななか南シューナの市長さんが、施設におとずれました。敷地と周辺の清掃を無償で手配していただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。とても静かな、でも、すごく風格のある市長さんです。

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 この日、とうとう親方は現場服(なぜか軍服)を着込み、完全に戦闘態勢で現れました。着工式ではヨルダン社会開発省大臣と在ヨ日本大使が基礎上に石をおかれます。そのセレモニーのエスコートを親方がすることになるので、完全に石工魂が着火状態です。

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 現場チェックの姿勢も、これまでとは明らかに違います。無茶苦茶前のめりです。

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 別に必要ないであろう、小さなアーチ建設デモンストレーションなんかもやっちゃってます。

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 魂に火がついた親方、江崎隊員と地域の小さなお弟子さんたち、やる気満々の女性たち、完全サポートの南シューナ市。そしてさまざまなことの手配や中継ぎを細やかにしていただいているNICCOスタッフのみなさん。この建設を通して、少しずつとてもよいエネルギーの渦がまわりにまきおこりはじめてきました。

 小生はひと月半ぶりのヨルダンですが、その風景を目の当たりにしてとても、とてもうれしくなりました。そんな着工式前日でした。



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2009年01月28日

ヨルダン南シューナ研修施設建設記録10 第二回目渡航へ

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 こんにちは。渡辺菊眞です。

 本日、1月28日から2月14日まで、ヨルダンへ渡航いたします。
現地常駐の江崎研究員から報告があったように、現場では基礎打ちと土台づくりがすでにスタートしております。

 今回の渡航のメインは施設着工を祝しての着工式と、それに先立つ首都アンマンでの記者会見です。このために、頑張って制作した巨大模型とパンフレットを当地へ持参せねばなりません。

 というわけで、一人での渡航なのにえらく大荷物です。手前の旅行ケースもかなり特大(このケースに荷物を詰めるだけで前回帰国時には25キロ超を記録しました)なのに、背後の模型セットはその大きさを軽く凌駕してしまってます(重くはないですが、かさがすさまじいです)。

 持ち込むのはたいへんですが、これがないと始まりません。しっかりと当地へ運び込みたいと思います。記者会見をこなすのは大切ですが、それ以上に動き出した現場を見れる喜びの方が大きいです。

 明日29日午後には、アンマンに到着します。ヨルダンに入ってからの活動は、また折に触れて報告させていただきます。

 それでは、いってまいります。

渡辺菊眞

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