2007年03月17日

ジャワ活動報告005-耐震構造ワークショップと小学校再建事業

2006年9月28日(木) 工事39日目(8:00-16:00)
■工程:鉄筋コンクリート工事(配筋検査)・左官・中間ミーティング
■工数:36名(助監督1名 技術者1名 石工10名 大工7名 近隣住民17名)
■日報:本日よりスコラメに復帰。不在時に進捗した施行箇所のチェックを行う。ちょうど中間期ということもあり、現地統括・佐藤さんを含め全員でプロジェクトの主旨の確認・士気の確認・技術の確認を三時間かけて行う。また、修正箇所の説明を行い、施行修正にとりかかる。ラマダン期間中で士気の心配もあったが、皆変わることなく真剣な姿勢だったことがうれしい。やや、体力面に不安はあったが問題はなさそうだ。そして何より、当方が復帰したことで、更に皆の士気が上がったことが大変うれしい。やりなおし箇所が多いにも関わらず、施行修正に大変前向きで技術移転・技術向上に向けて後期も良いスタートがきれたといえる。まちがいなくスコラメは生まれ変わる。

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ミーティング風景

2006年9月29日(金) 工事40日目(8:00-16:00)
■工程:鉄筋コンクリート工事(梁配筋修正)・左官
■工数:36名(助監督1名 技術者1名 石工10名 大工7名 近隣住民17名)
■日報:本日も施行修正にとりかかる。主に梁部の継手位置の修正を指示。時間も手間もかかるが、徹底して間違いを正す。合わせて、第二回ワークショップ(鉄筋コンクリート工事)の補講を開催。前回使用したレジュメを使用し、理論+実践形式を何度も繰り返し、正しい知識・技術を学んでもらう。

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まちがった箇所は徹底してやりなおしです。苦笑いのスディハルジョさん。

2006年9月30日(土) 工事41日目(8:00-16:00)
■工程:鉄筋コンクリート工事(梁型枠設置/コンクリート製造・打設・養生・左官
■工数:39名(助監督1名 技術者1名 石工10名 大工8名 近隣住民19名)
■日報:さて無事、梁配筋の修正も終え、コンクリート打設を開始。バケツリレーでどんどん打込む。新しい参加者も増え、過去行ったワークショップを補講として再度開催する必要がある。来週から忙しくなりそうだ。高校に行くことの出来ない16歳の若者(スマルノ君)も参加。ヒアリングでは「将来は大工になりたい……」と言っていた。次世代のスコラメの大工…しっかりと育ててやらねばならない。ただ技術も経験もない。残り二ヶ月で彼に伝えてやれること……。後期も従来のやり方ではいかないことがいろいろありそうだ。

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先輩職人パルジミンさんに左官を習う16才のスマルノ君

○2006年10月1日(日)
■日報:日曜日のため現場は休み。今日は8月26日(土)に訪問したワギマン邸が補強工事を行ったということで再度訪問。前回の訪問では現実的な案としてバットレス(控壁)の導入を指示したが、ワークショップの成果か、構造部全てを改築。平面計画といい、配筋計画も完璧で屋根部も見事なトラス。スコラメの現場が終わった後、毎晩自宅を改築していたようだ。黙って工事を進めるあたりが職人。予算的に未完成なので、今後も工事を見守りたい。続いて、近隣住民のテムさん宅を訪問。

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ワギマンさん宅は立派なトラス構造になりました!

□訪問先:テム家(14:00-15:00)
□参加者:テム・妻・息子(21)・息子(15)計4名
□構 造:コンクリート+レンガ造平屋
□指摘事項:バットレス(控壁)の導入
      火打梁の導入
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化
posted by 江崎貴洋 at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月16日

ヨルダン視察報告005(0219最終日)

視察5日目。早いものでもう最終日である。

 今日は午後2時半にはアンマン空港に向かわねばならない。最終日は、アンマン市内の女性によるクラフトセンターの視察。そして、今回の視察で大活躍したヨルダン農村建築をまとめた書籍の著者でもある建築家:アンマール氏と会談することである。

 この日まで、日々その日その日にすべきことで頭がいっぱいであり、ホテル近辺をブラブラ出歩くこともなかった。せめて最終日はと思い、いつもより早めに起床。街を歩く。

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 ヨルダンのマクド(関西的ものいい)である。こちらではマクドに入ってダベるのは、若者のある種のステータスらしい。要はお金持ちの若者しか入れない値段ということである。おなじみの「I'm loving it」の文字。当たり前だけどどこでも一緒だ。僕は愛したことないけどね、マクド。

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 こちらはスターバックス。こちらもオシャレでリッチな若者の溜まり場だそうである。

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 僕が滞在したホテルあたりはまだ開発中のゾーンであり、建設中の建物が目につく。アジアではお馴染みのフニフニとなまめかしくまがった木のサポートによってコンクリート片枠が支えられている。

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 建設前の空地は、駐車場として使用されている。日本の都市部では建築更新の過程で見られる風景である。何十年かのサイクルを経て同じ風景があることに、少し不思議な気分に襲われる。

 ヨルダンが現在向いている方向をこの目で確かめつつ、朝の散歩を終えた。

 ここからが本番、まずはクラフトセンターに向かう。

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 ここは、相当大規模組織のクラフトセンターであるため、作品の販売と、製作風景の展示が行われている。なので女性が集団でものつくりに励む姿を見ることはできず、少し残念であった。今回計画する研修施設は10人ほどの女性団体のものであるので、見たい風景とはややずれていたからだ。ちなみに上の写真はモザイク画を製作している様子である。いろんな色の石材をハサミでチョキチョキ切って丁寧に配置しながら画面を形成していく。とっても根気のいる作業だ。

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 クラフトセンターから望むアンマン市街風景。急斜面にボックス型コンクリート住宅がひしめく。

 さて、時間があまりないため、そそくさとクラフトセンターをあとにし、アンマール氏の事務所へと向かう。

 アンマール氏は、とてもこころよく僕達を迎え入れてくれた。NICCOスタッフの大塚さんが、今回、計画を考えている研修施設の概要と、今回の施設で農村建築を探訪したこと、そしてその建設技術を使用した建築を計画したい旨を彼に伝える。

 研修施設の計画については、賛同してもらいつつ、以下の点に留意するようアドバイスを受けた。

 1、伝統技術を使用することの意味を考えること。たとえばクロスヴォールトの建築は柱に過大な過重がかかるため柱も基礎も巨大なサイズとなる。本当にそれがベストな選択かを判断せねばならないだろう。

 2、伝統様式の建築を、単なるノスタルジーのみで賛美して採用するのは避けること。未来へ向けた計画でなければならない。

 3、石造や、日干し煉瓦のみに固執するのではなく、現在入手できるさまざまな材料を工夫してミックスさせながら使用して合理的な建造法を考案すること。

 おおまかには以上であった。アドバイスというふうに記したが20世紀を経て、21世紀を迎えた建築家にとっては共通に持つべき認識であったため、新たな知見を得たわけではないが、共通の土俵の上で考えられることをなんだか嬉しく感じた。

 その後、壷やコンクリートブロックなどを活用した工法のアイデアをスケッチを交えて丁寧に説明していただいた。そこで常に重視されていたのが、断熱をしかっりとることであった。現在ちまたに溢れ出しているペラペラのコンクリート住宅は夏期に40度を超える室温になってしまうらしい。当然予想されることではある。ともあれ短い時間ながらとても充実した時間を送ることができた。アンマール氏に感謝の意を示し、彼の事務所をあとにした。

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 ふたたび、ホテル近郊の風景。ここに現在ヨルダンが向いている方向が如実に示されている。この方向を向いた状態で、現在、みんなが廃棄しようとしている石造伝統様式の住居をそのまま建造しても、何の希望もいだけないのかもしれない。それどころか薄暗い憂鬱を背負ってしまう気分にすらなるかもしれない。

 なので、異国の人である僕が単なるノスタルジーや異国趣味をないまぜにした計画を提示するのは最悪である。だが、このままでは完全に姿を消してしまうであろう石造建築の環境的性能や空間性の高さは、この国で進化してきた遺産かつ資産であるのも確かである。

 ヨルダンの人たちが、見慣れて、見飽きてしまったはずのこの工法と造形が、いままでにない配列をともなって、ワクワクするような未来を描くことが可能な空間となること。そんな空間の作り方を考案、明示することが僕の役割なのではないかと強く思った。

 それはクロスヴォールトの壁面に大きなガラス開口をはめただけのような建築でないことだけは確かである。

 何にせよ。ここからようやくスタート地点に立つことができる。なすべきことは簡単ではないが、これからじっくり腰をすえて建築家として提示すべきことが可能なことをなしていこうと思う。

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 最後は、5日間滞在したホテルの窓から。この窓からの風景が、何十年後かには、これではない風景となることを願って。そうでない未来の一翼を担えたらと想って。

 本当に最後になりましたが、
NICCOヨルダンスタッフの大塚友子さん、
同じくNICCOローカルスタッフのマジダさん、
そして、お世話になったみなさん、強行軍にもかかわらず、当方の意図を十二分に汲んで、視察を臨機応変に組み替えながら、充実したものにしていただいて、本当にありがとうございました。

 ここから描く未来が、とても魅力的なものとなるよう、これから頑張りますので今後ともよろしくお願いいたします。

 渡辺菊眞
 
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2007年03月13日

ジャワ活動報告004-耐震構造ワークショップと小学校再建事業

2006年9月4日(月) 工事18日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(鉄筋加工・組立)
■工数:26名(助監督1名 技術者1名 石工8名 大工6名 近隣住民10名)
■日報:鉄筋相互のあき、帯筋間隔に注意して、量産した帯筋を主筋に堅固に緊結していく。

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どんどん組立てていきます。

今日は大工のラギミンさん宅を訪問。今回の地震ではコンクリート+レンガ造の家が全壊。木造での再建終了、今後は補強工事を見守っていこうと思う。

□訪問先:ラギミン家(12:00-13:00)
□参加者:ラギミン・妻・息子(17)・娘(9)・ラギミン母・妻母 計6名
□構 造:木造平屋
□指摘事項:筋交い・火打梁の導入
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化
      基礎・土台の重要性


2006年9月5日(火) 工事19日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(鉄筋加工・組立・配筋)
■工数:26名(助監督1名 技術者1名 石工8名 大工6名 近隣住民10名)
■日報:配筋作業開始。明日予定の第二回ワークショップの打合せ。そのため訪問は休み。当初の計画では鉄筋工事・型枠工事・コンクリート工事それぞれでワークショップを行う予定だったが、鉄筋コンクリート工事としてまとめて一回で行い、適宜補講を行うことにする。

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村人の家にはしっかりと耐震建築ワークショップで配布した資料が貼ってあります(でも何で外に!?)


2006年9月6日(水) 工事20日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(鉄筋加工・組立・配筋)
■工数:26名(助監督1名 技術者1名 石工8名 大工6名 近隣住民10名)
■日報:第2回ワークショップ(鉄筋コンクリート工事)を開催。今回もイラストを多く用いた資料を作成し、理論+実践形式で行う。講義の後は、みんなで工事を通して要点を押さえていく。大工のスディハルジョさん宅を訪問。

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耐震建築ワークショップで配布した資料を見ながら配筋のポイントを押さえます。

□訪問先:スディハルジョ家(12:00〜13:00)
□参加者:スディハルジョ・妻・娘(29)・孫(8) 計4名
□構 造:木造+レンガ造平屋
□指摘事項:火打梁の導入
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化
      基礎・土台の重要性


2006年9月7日(木) 工事21日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(鉄筋加工・組立・配筋/型枠加工)
■工数:26名(助監督1名 技術者1名 石工8名 大工6名 近隣住民10名)
■日報:平行して型枠の加工も開始。明日予定の第3回ワークショップの打合せ。そのため訪問は休み。作業的にもまもなく大工中心にトラス(三角形に組んだ構造)制作にはいることと、村民がトラスの特性を理解していないことを考慮して第3回目はトラス構造について開催する。

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型枠の加工もはじまりました。


2006年9月8日(金) 工事22日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(配筋検査)
■工数:26名(助監督1名 技術者1名 石工8名 大工6名 近隣住民10名)
■日報:本日は配筋検査。手直しは多かったが、配筋検査を通して工事精度の大切さが伝わったと思う。第3回耐震建築ワークショップ(トラス構造)も開催。今回もイラストを多く採用した資料を作成し、トラスの構造と性質をみんなで学習。今後も補講を適宜行い、実践を通して習得してもらう。

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配筋検査


2006年9月9日(土) 工事23日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(型枠加工・組立)
■工数:27名(助監督1名 技術者1名 石工7名 大工6名 近隣住民12名)
■日報:第2回ワークショップ(鉄筋コンクリート工事)の補講を開催。講義後、配布したプリントをもとにかぶり厚さ等、型枠組立における要点を押さえていく。

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型枠を組立てていきます。


2006年9月10日(日)
■日報:日曜日のため現場は休み。8月23日(水)に訪問した石工のヤディテグさんと8月30日(水)に訪問した大工のンガディキンさんが指摘箇所の補強を行うということで指導の依頼を受ける。村人の前向きな姿勢に心撃たれ、コーヒー1杯を報酬条件に一緒に補強工事を行う。訪問講座を続けてよかったって思える瞬間である。限られた予算のなかで限られた補修しかできない状況には補強箇所の優先順位など、計画がとても大切。そのためには家族構成や収入源、収入額など、各家族とのコミュニケーション中での聞き取りが重要。そして大黒柱である彼らと改築計画を一緒に考える。

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作業のない日曜日は自宅の修復にあたります。
posted by 江崎貴洋 at 19:31| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月12日

ヨルダン視察報告004(070218)

視察4日目。

 昨日の視察で、ヨルダン伝統的農村住宅の典型である「アーチ直列型」住宅とクロスヴォ−ルトの家に遭遇した。本日はより本格的に農村巡りに集中する。生きた住居としての農村住宅にひとつでも多く出会いたいからだ。

 そこで昨日の視察を終えたあとに、次にどこを探訪すべきかを現地スタッフとヨルダンのまちや建築に造詣の深いJICAの大山氏を交えて議論を交わした。その結果、以下のあたりを探訪することに決定。

1、ダナ→渓谷が有名。トレッキングの拠点であるが、その一体に伝統様式建築が群集した農村があったように思う(NICCOヨルダンスタッフの大塚さんの提案)。

2、タフィール→比較的まとまった形で伝統様式住宅が群集している(大山さんの提案)。

3、カラック→先日入手したアンマール氏著の書籍に農村建築の事例が紹介されている。大山さんも、それらが散在しているのを見たことあり。

 この3つの地区を上記順番で探訪すると、何とか1日で見てまわることが可能だとのこと。昨日の活きたクロスヴォールトの家の記憶がまだ鮮明であり、新たな活きた住居との遭遇への期待は膨らむばかりである。早速車に乗り込み現地へ向かった。

探訪01:ダナ

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 これが観光地として有名なダナ渓谷である。確かに絶景、かな?この渓谷を望む地に近年ホテル+現地農村女性によるクラフトセンターを併設した複合施設がオープンした。各客室テラスから渓谷風景を満喫できるホテルは非常に評判が高いとのこと。下の写真は併設されたクラフトセンター作業風景。

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 今回の視察は、そもそも南シューナで頑張ってクラフトやピクルスなど作っている女性団体のための研修施設をつくるのを見据えてのものである。なので伝統様式の建築視察のみならず、同様の活動をしている団体の活動風景の視察も行う。とても楽しそうに工芸品を加工する姿を見て、なんだか嬉しく感じた。

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 さて、ダナの住居群であるが、実はそのホテルへ向かう前に見つかった。崩れ落ちた壁からアーチが覗く。そう「アーチ直列型」住宅群である。

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 現在、この石造住居に住んでいる家族もいくらかはいるようである(クラフトセンターに通っている女性はこの村の女性とのこと)が、大半は家畜小屋となっている。今回は3つの農村を巡るのでダナでは住居群風景を見るにとどめることにした。

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 それにしても建築における「アーチの発見」は偉大である。壁がすべて崩れ落ちてもアーチのみで残存しているのだから。

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 これは普遍的住居様式ではない特殊な例であるが、その印象が強烈だったのでつい写真におさめたもの。巨岩の下の窪みを石造で囲いこんで住空間化している。住むことへの執念を感じる。そんなことを思いつつ次の視察地へと向かう。

探訪02:タフィール

 ダナを去り、車で約1時間北上。タフィールに到着。

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 早速、伝統的農村住居群に出くわす。ただ、どうも廃虚くささが否めない。

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 やはり、廃虚ではあったが、中に侵入。「アーチ直列型」の典型である。アーチにはさまれたサイドの場所は一段高くなっており、床上は寝室、その床下は倉庫として使用される。

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 また、そうでない場合は壁をつくり、家畜をその中に飼う場合もある。この穴から家畜が出入りするわけだ。

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 さらにもうひとつ住居跡を発見。外観から見てわかるように大小二つのアーチが並んでいる。

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 この外観は当然内部にも反影されている。2連アーチをひとつの単位としてこれが直列して内部空間を形成している「2連アーチ直列型」とでもいえようか。

 これらの住居群を見ているあいだに、通りがかった近隣住民に話をする機会がもてた。この住居群のうちまだ生活しているものはあるかとたずねたところ、現在、生活しているものは皆無であるとのこと。20年前は住んでいる住民もいたそうだが、皆ここを去り、近くの新しい場所で家を建てて住んでいるのだという。しかたないので、この近くでまだこのような住居に住んでいる村はないかと問う。確信は持てないが、ここから一時間ほど車を走らせたところに位置するエイマという村なら、その可能性があるとのことだった。

 当初の予定ではカラックに移動するつもりであったが、エイマに行くならカラック探訪は無理。決断を迫られることになった。昨日、サルト近郊でおばあちゃんに案内されて、活きたヴォールト住居に出会ったことを思い出す。ここは活きた情報を選択しようということになり、急遽、エイマに向かうことにする。

探訪03: エイマ

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 さて、エイマに着いたものの、どうみても廃虚くさい。先ほどのタフィールにも増して廃虚臭がプンプン漂う。

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 田舎ゆえか、外国人の来訪がとても珍しいらしく、村の多数の少年たちが廃虚となった村を案内してくれる。上の写真の穴はパンを焼く窯だそうだ。

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 廃虚と化して露天となったスペースにはこのように鶏がえさをついばむスペースとなっている。仕方ないことなのだろうが、やはり寂しい。

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 廃虚の村の信仰の中心であったモスクにも案内してもらった。やっぱり廃虚だけれども。

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 上の図面はモスクではないが、アンマール氏著の書籍で紹介されていた、とある村の教会である。教会建築の基本構成をベースにして造られたものではなく、どうみても「アーチ直列型」住宅の構成と工法を基本にして、それを教会空間にあてているのが如実にうかがえる。このモスクもおそらくこのような種類の建物であったろう。

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 すべてが廃虚と化した村の向こうに新しいコンクリート造のボックス型住宅が見える。いずれ家畜のためのスペースですらなくなって瓦礫の山となり、この斜面全体を、ボックス型住宅が埋めてしまうのかもしれない。

 何もせず、今、ヨルダンに流れている流れをただ見つめているだけだったら、間違いなくそうなっていくであろう。そう想いながらエイマを後にしつつ、計画すべき研修施設の意味を考えていた。
posted by 渡辺菊眞 at 13:40| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月09日

ヨルダン視察報告003(070217)

視察3日目。

 当初はヨルダン伝統建築技術を使用した現代建築家設計による建築探訪を中心とした予定だったが、昨日の書籍との出会いにより、完全に予定変更。本日から農村めぐりを開始することにした。

 ただ、その前にヨルダンの古都的な町、サルトを探訪。ここは現地スタッフのマジダさんの故郷である。100年前くらいまで遡ることが可能な石造建造物も多く残っており、是非見てもらいたいとのことだった。

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 これが町の全景である。斜面都市の圧倒的迫力。基本的にヨルダンの都市はアンマンも含めて斜面上に展開される。

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 斜面都市ときたら、当然予想はつくのだが、複雑に入り組んだ階段街路がはり巡らされて各住居へとアプローチすることになる。ちなみに写真の女性がサルト出身のマジダさんである。

 さて、サルト自体の都市空間は非常に面白く、しかもその急傾斜の斜面特性を巧みに活かした地理特性バッチリ適応な傑作:カキッシュ邸にも出会うことができた。これはとんでもなくワクワクするような代物であったのだが、今回の視察目的とはややズレてしまうので、ここでの詳述は避けることにする。

 そう、サルトの面白さに惹かれつつも、やはり僕がずっとひっかかるのは農村住居の現況であり、早くその現物(いまはないのかもしれないのだが)をこの目で見たかったのだ。そんな気持ちを察していただき、予定より少し早くサルトを去り、その近郊の農村をこれといったあてもなく巡る行程へと移行する。

 どんどん建築密度が低くなり、明らかに田舎へと車は進んでいるのに、いっこうに石造土着建築は見当たらない。ときおり目につく「石造風成り金コンクリート別荘:ポストモダン風味」に変に苛立ってしまう。日も大分傾いて来て、本日もやはり農村建築には出会うことができないのかと、半ば諦めてしまった、そんな時。

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 道端にいきなり石造の建造物を発見。車を急停車させ、中をうかがう。

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 確かに石造の建造物ではあるが、陸屋根である。書籍で見た、もっとも典型的なアーチ構造(「アーチ直列型」とでも呼ぶことにする)のものとは違う。おそらく現在、ヨルダン中に溢れるコンクリートボックス型住居の直接的祖形となったタイプのものであろう。厳密にはわからないが住居の型として「アーチ直列型」の方がもう1段階古いものではないかと思われる。

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 この住居の場合は鉄骨の梁を架け渡し、それに竹材を直交させ、さらに小枝を葺き、その上を泥で塗り固めて陸屋根を形成している。写真では天井の一部が抜け落ちちゃってるが、、。木が支えるには、重たいもん。そりゃ抜けるよね。

 この後、もうひとつ石造陸屋根住居を発見するが、やはり「アーチ直列型」の住居は見つけることができない。石造陸屋根ですら、ほとんど見つけることができないのだから、その1段階古い型の「アーチ直列型」は現存しないじゃんないかと、またまたとてつもなく寂しい気持ちに襲われた。ぼんやりした気持ちで前方に目を向けると一群の石造建築が。

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 ただ、ここからではその内部様相はわからない。半分は陸屋根を想定しつつ(もう、がっかりするのいやだから)近付く。

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 きました、きました!これですよ。このアーチ!!そう、やっと見つけた「アーチ直列型」の住宅。廃虚ではあるけれども、その型はばっちり確認できるものである。廃虚を前にしつつも、とんでもなく高いテンションへと急上昇。まるで宝探しでひとやま当てたかのよう。

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 僕のせいで同じような不安な気持ちを共有させてしまったNICCOのスタッフのみなさんにもようやく安堵の表情が。ほんとよかった。

 さて、とりあえず、今日のところは大満足と思っていたところ、近隣のおばあちゃんが、「こんなタイプの古い家屋にまだ住んでいる家族がいるよ」と教えてくれた。半信半疑で彼女のあとをついていく。

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 大アーチが外観にそのまま表れた住居。これはどうみてもインチキポストモダンではない。中から家族が出てきて親切にも招待していただいた。

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 この家、「アーチ直列型」ではなく、クロスヴォールトの住居であった。この写真ではわからないが2連のクロスヴォールトがあり、1方を応接に、他方を寝室などにあてている。

 家族一同にとても温かく迎えられ、トルコ式コーヒーと紅茶、そして果実をたくさんいただき、この家の思い出をとてもとても楽し気に語っていただいた。

 視察3日目。思いもかけず生きた伝統様式の住居に出会えた。この村で、伝統様式の家屋に住むのは、この家族のみだ。世代が変わっても補修をしつつこの家が愛されつづけたらと、つい願ってしまった。

 さて、こんなものを見てしまったら、欲が出てしまうのが人間の避けがたい特性。明日は丸1日、農村巡りをしようとスタッフのみなさんと決意した。また生きた家が見つかることを想って。
posted by 渡辺菊眞 at 16:14| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月07日

ヨルダン視察報告002(070216)

視察2日目。

 2日目の目的は、ヨルダン伝統建築様式の設計建設をてがける2人目の建築家マアイ氏と会談し、いろいろお話をうかがうことである。

 ただ、そのこと以上に昨日の重たい不安を吹き飛ばすような事態が到来してくれた。現地スタッフが、ヨルダン農村建築をまとめた書籍を手渡してくれたのである。そう、昨日架空ではないかとさえ、思えてしまっていたヨルダン土着様式の住居建築なるものが確かに存在することがわかったのだ。

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 これがこの書籍の表紙。著者のアンマール氏は、ヨルダンを代表する著名な建築家のひとりであり、今回の視察最終日に彼との会談を予定している。この表紙からわかるようにヨルダン伝統建築の形態タイプは大きく4種に分類できるらしい(おそらくイスラム圏に共通の特質ではあろうが)。
1、アーチ
2、ヴォールト(かまぼこ状の屋根)
3、クロスヴォールト(かまぼこ状の屋根が直角に交差する屋根)
4、ドーム

 ただ、上記4つの中でも1のアーチを連続して並べた形式の住居がもっともポピュラーなものらしい。書籍内に紹介されている住居も、そのほとんどが、この形式だ。

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 この形式の住居の特色は、アーチによる矩型全体空間の分節であり、世帯ごとに1アーチ空間を所有するということである。そして世帯が増えた場合は、アーチを増設して空間を拡張するシステムをとるらしい。

 この本との遭遇により、今回の視察の目的が改めてはっきり見えてきた。まずはこれらの農村建築を実見して、その特色を把握し、その上で今後計画する建築にこれらの技術をどのように適用できるかを考察する素地を形成することだ。

 マアイ氏のオフィスを訪れ、今回の視察の目的を告げる。マアイ氏はヨルダン伝統様式の建設技術を使用していくつかの施設をものにしている。またヨルダン国内にある農村土着建築に関する知識も有している。そこで例の書籍を彼女に示し、これらが今現在も見ることが可能かどうかを問うてみた。答えはやや微妙なものであった。「あるとは思うが確信はもてない」とのことである。

 この書籍が書かれたのが1986年。20年も前である。安定期の20年だとたいした時間ではないのだが、ヨルダンは高度成長期である。この20年での劇的な変化は予想してあまりあるものだ。またまた不安に襲われた。

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 書籍中の写真にも「この家は、もはや現存しない」とのコメント。重たい空気に包まれてしまう。

 この後、マアイ氏が手掛けたクロスヴォールト屋根のレストハウス、そして
ローマ時代からオスマン朝時代にかけての遺跡である、ウムケイクを探訪。
それらの空間を味わいながらも、やはりあるかどうかわからない農村建築のことを、ただただ想っていた。

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 上の写真がマアイ氏が関わったクロスヴォールトのレストハウス。下がウムケイク遺跡。ローマ時代まで遡れる建築には、イスラム建築の特色である尖塔アーチではなく正円アーチ構造が随所に見られる。

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ジャワ活動報告003-耐震構造ワークショップと小学校再建事業

2006年8月28日(月) 工事12日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(水締め・突き固め)
■工数:24名(助監督1名 石工6名 大工7名 近隣住民10名)
■日報:割ぐり地業も順調に進み、再び砂を入れ水締め・突き固めを行う。現場監督で現地建築家のデゥイ・助監督のトゥーリマンと明日予定の第1回ワークショップの打合せ。そのため訪問は休み。それぞれの意見を交換しワークショップの内容を決める。

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今日も現場は順調です。


2006年8月29日(火) 工事13日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(水締め・突き固め)
■工数:25名(助監督1名 石工7名 大工7名 近隣住民10名)
■日報:第一回ワークショップ(土工事・基礎地業工事)を開催。イラストを多く用いた資料を作成し、小学校のホワイトボード使用して建築理論から講義する。その後、実践で工事の要点を押さえる。村の大工・石工の技術レベルを確認。

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ワークショップ講義風景

大工のムジオノさん宅を訪問。
□訪問先:ムジオノ家(12:00-13:00)
□参加者:ムジオノ・妻・娘(14才)・両親 計5名
□構 造:木造+竹造平屋
□指摘事項:筋交い・火打梁りの導入
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化
      土台の重要性


2006年8月30日(水) 工事14日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(捨てコンクリート地業)
■工数:26名(助監督1名 石工8名 大工7名 近隣住民10名)
■日報:捨てコンクリート地業に進む。

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捨てコンクリート地業開始。

大工のンガディキンさん宅を訪問。今回の地震ではレンガ壁が倒壊、現在修復中。応急措置として控壁(バットレス)の導入を指示。今後も修復工事を見守っていこうと思う。
□訪問先:ンガディキン家(12:00-13:00)
□参加者:ンガディキン・妻・娘(6才)計3名
□構 造:コンクリート+レンガ造平屋
□指摘事項:バットレス(控壁)の導入
      火打梁の導入
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化


2006年8月31日(木) 工事15日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(捨てコンクリート地業・鉄筋加工)
■工数:26名(助監督1名 石工8名 大工7名 近隣住民10名)
■日報:今日から平行して鉄筋加工を開始。

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鉄筋を切断していきます。

大工のミスカンさん宅を訪問。今回の地震で半壊、現在修復中。今後も建設を見守ろうと思う。
□訪問先:ミスカン家(12:00-13:00)
□参加者:ミスカン・妻・息子(18)・息子(8)・両親 計6名
□構 造:コンクリート+レンガ造平屋
□指摘事項:控壁(バットレス)の導入、木造屋根の推奨


2006年9月1日(金) 工事16日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(鉄筋加工)
■工数:26名(助監督1名 石工8名 大工7名 近隣住民10名)
■日報:人力のみの鉄筋加工。帯筋、あばら筋の量産開始。

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もちろん折曲げは人力です。

石工のサギミンさん宅を訪問。今回の地震で屋根が半壊、現在修復中。今後も建設を見守ろうと思う。
□訪問先:サギミン家(12:00-13:00)
□参加者:サギミン・妻・息子(16) 計3名
□構 造:木造平屋
□指摘事項:控壁(バットレス)の導入
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化


2006年9月2日(土) 工事17日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(鉄筋加工・組立)
■工数:26名(助監督1名 石工8名 大工7名 近隣住民10名)
■日報:今日も現場は順調。帯筋、あばら筋の量産はつづく。

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毎日、道具の手入れ・数量確認を欠かしません。

建設地近くに住むサルジオノさん宅を訪問。
□訪問先:サルジオノ家(12:00-13:00)
□参加者:サルジオノ・両親・弟(15)・妹(14)・妹(10) 計6名
□構 造:木造+レンガ造
□指摘事項:控壁(バットレス)の導入
      火打梁の導入
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化


2006年9月3日(日)
■日報:日曜日のため現場はお休みです。
posted by 江崎貴洋 at 16:07| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月05日

ヨルダン視察報告001(070215)

 御無沙汰してます。渡辺菊眞です。

 今回からヨルダン視察に関する報告をさせていただきたいと思います。
視察は2007年2月15日から19日の5日間で行いました。ですので1日ごとの視察内容を記事にして報告できたらと考えています。よろしくお願いします。

 視察初日2007年2月15日

 関西空港からドバイ経由でアンマンに到着。日本との時差は7時間。しかし、時差にとまどう間もなく本日から視察は開始である。なんせ5日間しかない強行軍なので。

 とりあえず、余計な荷物を置きに、まずはホテルに向かう。長旅でぼんやりした頭に飛び込む車窓からのアンマン都市風景。近年のアジアの主要大都市の風景には、ほとんど地域性を感じることはない。特にいま高度経済成長期のただ中にある都市風景は、本当に均質化している。モダンをいきなり通りこして変に華やかなだけのポストモダンな市街風景。実はモダンを経ないポストモダンっていうのは何とも仕方ない代物になってしまうんだが(「ポストな」意味がわかんないから、単に何でもありの「ポスト」を装飾に託しただけの看板建築になっちゃうのだ)。

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 ともあれ、荷物を置いて、早速視察に向かう。本日の主目的は、ヨルダン伝統的建築技術を継承・採用しながら、建築制作活動を展開させている建築家エクリマ氏と会談することである。もちろん、彼が設計した建築作品も見せていただくことになる。

 実は今回の視察を要請いただいた、NICCO(社団法人 日本国際民間協力会)のパイロットファーム内の研修施設を設計したのが、このエクリマ氏なのである。とういことでパイロットファームのある南シューナへ向かう。

 南シューナは荒漠とした土地が広がる田舎なのだが、車窓からいくら見渡しても、いわゆる土着的な建築は見当たらない。そもそも今回の視察前にヨルダン土着建築の写真等を見る機会が持てず、その具体的なイメージが掴めずにいたままだったので、伝統的建築を知らずして、その継承者(ということらしい)エクリマ氏の建築を見てしまうことになってしまい、何とも居心地の悪い気持ちに襲われてしまう。

 そうこうしているうちに、パイロットファームに到着。エクリマ氏は先にファーム入りしていた。彼と通訳の方に案内され、研修施設を案内していただく。

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 尖ったドームにヴォ−ルト(クロスヴォ−ルト)屋根、そして石造の建築。
これらは、イスラム建築のメインボキャブラリーであり、伝統的な様式であることは容易に想像はつく。通訳を介してエクリマ氏はこの建築が、伝統的建築技術の集積であること、そして環境的建築としても極めてすぐれた工夫がなされていることを力説された。環境的とは、
1、石と泥による厚い壁体によるすぐれた断熱効果。
2、丸屋根の部分的温度差から誘導される内部空気の対流。
3、風向きと、気化熱による冷却を考慮いた通風システム。
これらの項目を満たしているということだ。

 実際、研修施設を目にして、上記項目が実現されているのはわかるし、これが伝統様式に起因した建築であることも了解できた。ただ、これのもととなるのが、具体的にはどのような建築物であるかを問うても、エクリマ氏ははぐらかしてしまい、「独学でつみあげたもの」という何とも「しんどい」回答しか得られずじまいであった。そして現地に到達しても全く目にすることができない土着の石造あるいは日干煉瓦造の建築。

 ここであることが脳裏をよぎった。


研修センター-.jpg

 これがエクリマ氏設計の研修施設の平面図である。

カスルアムラ宮殿-.jpg

 そして、これはヨルダンの砂漠に立地するカスルアムラ宮殿の写真と平面図である。両者の部分空間結合方式や空間構成が極めてよく似ている。もちろんここで、エクリマ氏がかの著名なモニュメントから影響を受けた受けないの話しをしたいわけではない。そうではなく、ヨルダンの土着的家屋なるものは実は不在で、遥か昔(上記宮殿は8世紀のもの)のモニュメントを頼りに、それこそ「独学で」その技術を現代に適用すべきもの、として復興してるのでなないかという疑念がわいてしまったのである。そう、建築家の意志と創意のなかにしか「ヨルダン伝統的建築」なんてものはないのではないかと思ってしまったのだ。

 南シューナに来る途中にみかけた、夥しい数のボックス型のコンクリ−ト住宅がひしめく風景。同行したヨルダン人スタッフが、このボックスこそが未来のヨルダン伝統様式になるんじゃないかと漏らしていたのが、変に重たくリフレインする。

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 ヨルダン伝統的建築(おそらく住居としての土着様式)と、僕が2001年からてがけ始めた土嚢の建築。これを組み合わせて、新たに研修施設を建てるのを見据えた今回の視察。その一方が、実体を持たないものなのだとしたら、、。そんな不安と、黄昏れの死海がシンクロした視察初日だった。

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posted by 渡辺菊眞 at 16:41| Comment(1) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月26日

ジャワ活動報告002ー耐震構造ワークショップと小学校再建事業

2006年8月21日(月) 工事6日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(根切り)
■工数:27名(助監督1名 技術者2名 石工10名 大工6名 近隣住民8名)
■日報:現場は今日も順調。

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掘削は順調に進む。

2006年8月22日(火) 工事7日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(砂地業)
■工数:28名(助監督1名 技術者2名 石工10名 大工7名 近隣住民8名)
■日報:掘削も順調に進み、砂地業に進む。昼休みに石工のパルジミンさんからお宅に招待される。

家族親戚一同集まってきたので、この機会に一時間ほど簡単な耐震補強講座を行う。主に家の構造チェックを行い、補強箇所など素人でもわかりやすいように指導する。予想以上の好評に驚いたが、地域住民の要求により事業期間中の昼休み時間を利用して引き続き訪問耐震補強講座を行おうと思う。この訪問によって村のコミュニティの理解に努め信頼関係を構築できればと願う。

○訪問先:パルジミン家(12:00-13:00)
○参加者:パルジミン・妻・娘(1才)・母・叔母・叔父・甥(7才)計7名
○構 造:木造平屋
○指摘事項:筋交い・火打梁の導入
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化



2006年8月23日(水) 工事8日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(割ぐり地業)
■工数:25名(助監督1名 技術者2名 石工名 大工7名 近隣住民8名)
■日報:今日から割ぐり地業に進む。

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基礎からしっかり指導することが大切。

今日は石工のヤディテグさん宅を訪問。ヤディテグさんは子どもが3人いる。上の2人は嫁いだため今は3人暮らし。3人暮らしにしてはとても家が大きいので家屋の規模縮小案(使用しない家屋を解体して、その資材を現在使用する家屋への耐震補強材として使用する案)を提案。部屋数が多いので寝室からの補強を指示。

○訪問先:ヤディテグ家(12:00-13:00)
○参加者:ヤディテグ・妻・息子(10才)計3名
○構 造:木造平屋(一部竹造)
○指摘事項:筋交い・火打張りの導入
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化
      家屋の規模縮小案


2006年8月24日(木) 工事9日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(割ぐり地業)
■工数:28名(助監督1名 技術者2名 石工8名 大工7名 近隣住民10名)
■日報:今日も現場は順調。今日は石工のンガディヨさん宅を訪問。しかしながらンガディヨさん宅は今回の地震で全壊のため、現在はテント住まい。隣のご両親の家も併せて訪問。ンガディヨさん宅は現在再建中(基礎工事)で、スコラメ小学校建設で学んだ技術を必ず導入するように指示。また、両親の家の耐震補強箇所も指示。再建中のンガディヨさん宅は小学校から近いため、今後も建設を見守ろうと思う。

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無事、道具も揃う。

○訪問先:ンガディヨ家+両親の家(12:00-13:00)
○参加者:ンガディヨ・妻・息子(14才)・娘(10才)・息子(7才)・両親 計7名
○構 造:コンクリート+レンガ造平屋
○指摘事項:控壁(バットレス)の導入(両親宅)
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化(両親宅)
      基礎工事を指導(ンガディヨ宅)


2006年8月25日(金) 工事10日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(割ぐり地業・解体)
■工数:26名(助監督1名 技術者2名 石工7名 大工6名 近隣住民10名)
■日報:今日も現場は順調。平行して一部残った校舎の解体も開始。

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一部残った校舎も倒壊の危険性があるので解体を指示。

○訪問先:スギラン家(12:00-12:30)
○参加者:スギラン・娘2人(21才と24才)計3名
○構 造:木造平屋
○指摘事項:筋交い・火打張りの導入
      トラス屋根(特に登梁・母屋)の強化
      土台の重要性

○訪問先:パルディミン家(12:30-13:00)
○参加者:パルディミン・妻・両親 計4名
○構 造:木造+コンクリート+レンガです構造平屋
○指摘事項:特になし(パルディミン宅は構造に欠陥なく良好)


2006年8月26日(土) 工事11日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(割ぐり地業・解体)
■工数:26名(助監督1名 技術者2名 石工7名 大工6名 近隣住民10名)
■日報:解体の方も順調に進む。

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解体した校舎の木材は再利用する。

今日は石工のワギマンさん宅を訪問。施行レベルの高さに感心。トラス屋根の特徴も理解している。小学校再建では先頭にたって地域住民を引っ張っていってもらいたいものだ。やはりレンガ壁には危険性がみられるので補強を指示。

○訪問先:ワギマン家(12:00-13:00)
○参加者:ワギマン・妻・息子(11才)計3名
○構 造:コンクリート+レンガ造平屋
○指摘事項:控壁(バットレス)の導入


2006年8月27日(日)
■日報:日曜日のため現場は休み。ワークショップの日程を検討。

posted by 江崎貴洋 at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月22日

ヨルダンから帰国しました。

渡辺菊眞です。
ヨルダンから帰国いたしました。

 今回の視察では、主にヨルダン伝統様式の住宅を知ることが主目的だったのですが、これが思った以上にたいへんでした。

 そして、伝統様式の住宅を追いかけている過程で、ヨルダンという国が現在おかれている状況というものも、少しずつ見えて来ました。

 何にせよ。この視察から、全てが動いていきます。次回から改めて、この視察模様を御報告していきたいと思います。

 御期待ください。

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 写真は黄昏の、死海です。対岸の灯りはイスラエルです。ヨルダンからはいつも、対岸が眩しく映じます。
posted by 渡辺菊眞 at 02:35| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月14日

渡辺菊眞、ヨルダン視察へ。

 こんにちは。渡辺菊眞です。

 唐突ですが、本日2月14日から2月20日まで、ヨルダンへ出張いたします。

 ヨルダン南シューナ地区で活動を続ける女性NGOのための研修施設を建設するのが最終目的なのですが、今回はそのための第一歩として、現地視察を行います。

 ヨルダンの現況を把握すること、彼の地で培われた伝統建築を探訪し、その技術や空間感覚を体感しつつ理解すること、そして当の女性NGOのみなさんの願いなどを聞いて参ります。

 伝統建築の技術を有する現地の建築家とも、いろいろお話する機会がもてそうです。

 この視察を経て、今後、ヨルダンでどんな計画が展開され、どんな空間が立ちあらわれるのか、その全てがここから始まります。

 また逐次御報告いたします。では、行って参ります。

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 写真はヨルダン、サルト地区の伝統的個人住宅です。今回の視察予定地でもあります。
posted by 渡辺菊眞 at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月26日

ジャワ活動報告001ー耐震構造ワークショップと小学校再建事業



研究員の江崎貴洋です。
ご挨拶が遅れましたが、本年もどうぞよろしくお願いします。
早速ですが2006年7月28日〜11月24日までのジャワ島での活動を報告します。


◎依頼主
社団法人 日本国際民間協力会(NICCO)

◎依頼内容
ジャワ島地震で被災した村民が耐震構造建築の基礎をワークショップで学ぶと同時に、実際に自分たちの手で小学校を再建することにより、現地の建築家や技術者、また伝統的に小学校の建設・修復などを行なう住民自身が、基礎のしっかりとした建築方法を習得するサポートをしてください。技術と最低限の資機材を提供し、住民自身による実際の建築作業を応援してください。

◎実施期間
2006年7月28日〜11月24日

◎回答
2006年7月28日〜8月13日
■工程:設計図書のチエック

2006年8月14日(月) 工事1日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(根切り)
■工数:15名(石工6名、大工4名、近隣住民5名)
■日報:2006年8月15日の着工式に先駆け本日より工事を開始。根切り開始。人力のみで1メートルほど掘削する。

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2006年8月15日(火) 工事2日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(根切り)
■工数:16名(石工 7名、大工4名、近隣住民 5名)
■日報:11:00-12:00着工式。単調作業ではあるが終始和やかな雰囲気で今日もひたすら掘り続ける。一掘り一掘りが次の地震に負けないための大事な土台作りだということを彼らも理解している。

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2006年8月16日(水) 工事3日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(根切り)
■工数:16名(石工7名、大工4名、近隣住民 5名)
■日報:今日もひたすら掘り続ける。現場は日中すごく暑い。安全面と日射病防止を兼ねて竹笠を購入。みんなでお揃いの竹笠を冠ることで一体感が生まれ現場はますます活気に満ちる。

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2006年8月17日(木)
■日報:インドネシア独立記念日のため現場は休み。現地スタッフと作業道具の見積のために道具店の調査を行う。作業道具は職人にとってとても大事だ。一店舗一店舗慎重に値段と品質を確認。安ければいいというものではないので見積検討はとても重要な作業といえる。今後三社にしぼって更に最終見積を行う。

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2006年8月18日(金) 工事4日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(根切り)
■工数:24名(助監督1名、技術者2名、石工7名、大工5名、近隣住民9名)
■日報:本日より現地助監督1名、現地技術者2名(大工・鉄筋)が合流。言葉の壁で伝えにくい細かい部分を彼らが助けてくれることと期待。近隣住民の方が5名増える。掘削はさらに加速。

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2006年8月19日(土) 工事5日目(8:00-16:00)
■工程:土工事・基礎地業工事(根切り)
■工数:23名(助監督1名、技術者2名、石工6名、大工5名、近隣住民9名)
■日報:第一週目をなんとか無事終える。村民との信頼関係を築くには時間がかかりそうだ「村」という閉ざされたコミュニティのなかで関係性を築くのは容易ではないが村のパワーバランスを見極め適度な距離を保ちながら信頼を獲得する必要がある。


2006年8月20日(日)
■日報:日曜日のため現場は休み。
posted by 江崎貴洋 at 18:07| Comment(0) | TrackBack(0) | International contribution by architecture | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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